固定払いの金利スワップは、トレーディング(MtM)の観点から見ると、金利上昇によって利益、金利低下によって損失となります。ただ、イールド・カーブには一般的にローリング・ダウン効果があるので、固定払いの側から入るとローリング・ダウンに勝たなくてはいけません。また、受け取る変動金利よりも支払う固定金利のほうが高いので、キャリーもネガティブになります。
短期金利と比較した上で固定払いの金利スワップの効果を「ヘッジ」という観点から見ると、金利スワップは別に金利上昇のためのヘッジにはなりません。というのも、イールド・カーブはある程度の金利変動を織り込んでますから、それを超えて短期金利が上昇しない限りは金利スワップなどやらないほうがいいわけです。
「金利スワップで固定金利を支払う側になるのは、金利上昇のヘッジになる」という表現は、一般論としては正しいのですが、実際には、金利が上昇したからといって別にヘッジになるわけではなく、金利が一定以上の水準を超えるリスクのヘッジになるだけなのです。金利スワップ裁判では、控訴審でこの議論がなされているのですが、説明の方法が情緒的過ぎたのか、なんか、ボタンの掛け違いになっちゃいましたよね。
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