2014年1月30日木曜日

中国の影の銀行救済について

これって、日本で大きな話題にされてましたっけ?

中国では、信託を利用して資金を集め、信用度の必ずしも高くない会社に融資をする『影の銀行』商品を、銀行が扱っているという(ウソのような笑い)話があるのですが、そのでっかいのがヤバいのではという話がありました。結局、金利の一部はおしゃかになったけれども元本は守られたという話なのですが、これについてモラル・ハザードというか、結局、問題先送りじゃないのという話を格付け会社がしているとFT紙に出ていました

格付け会社に指摘されるまでもないとは思いますが…。いちおう、フィッチS&Pムーディーズ(P12)、それぞれ元ネタを見つけたので貼っておきます。

2014年1月29日水曜日

コンティンジェント

コンティンジェントとつくものに、ま、ロクなものがないのは金融界では常識でして、コンティンジェント・ライアビリティーズ(偶発債務)は、もっとも現れて欲しくないときに現れますし、一時期某保険会社が得意にしていたコンティンジェント・キャピタル(投資先の自己資本比率が低下したときに引き出される出資義務)も、相手が潰れかけたときに引き出されるわけですから大変ですよね。

CoCoと呼ばれるのはシャネルとは全然関係なく、コンティンジェント・コンバーティブルと呼ばれるヨーロッパの銀行が発行している超劣後債で、銀行の側が勝手に自己資本にしちゃうかもしれないというすごいやつです。ところが、通常の株式と違い、配当原資がある限りは固定利率で配当を支払うため、特にアジアでクレジット投資家に人気なんですね。

世の中に美味しい話がないというのは、80年代後半から90年代前半にかけてリース会社向けに大量に発行されたVRNでみんな気付いているでしょうに、と思っていたら、そもそも90年代のこと覚えている人自体、世の中では化石化しているんですよね。アジア通貨危機とかLTCM危機とかロシア危機とか、みんな、歴史の教科書で読む話だったりするわけで、我々の世代にとっての中南米債務危機やS&L危機と同じなのかもしれません…。

2014年1月27日月曜日

モバイル端末に食われるか…

ソニーの格下げが今日ムーディーズから発表されていましたね。Ba1というのは、それほどひどい格付ではないのですが、投資適格と投機的格付とはやはり異なりますから、それなりのインパクトということになるでしょう。

文章を見ると、ようするに、ソニーのメインのビジネスであるエレクトロニクスはモバイル端末に浸食されてしまっていて、どんどん儲からなくなると…。大型画面なんてそんなに必要ないということを悟った消費者は手軽さに流れるということなのかもしれませんね。

ま、海外の格付け取ったら投機的格付けになるから日本の(しかもJCRだけだったりする)格付けしか取らない会社も多い中、あまり気にしなさんなと思いますけれど。格付け下がったことで騒ぐのは、財務分析能力がないことをひけらかすようですしね。

2014年1月18日土曜日

邦銀の国際プレゼンス

別にプレゼンスが高いことに意味があるとは必ずしも思いませんが…。

日本の銀行は、いわゆるリーマン・ショックに際して「周回遅れ」であったために大きな被害を免れ、その後、国際金融市場ではそのバランス・シートの健全さで括目されているのは報道のとおりです。

しかし、プレゼンスってなんですかね? というのも、日本はいまだに貿易量としては相当な国であり、当然、それに伴って為替の実需取引は沢山あるはずですし、日本の投資家の海外投資、海外の投資家の日本投資と、資本取引も活発なはずなのですが、日本の銀行の為替の取引ってどうなんだろうとあらためて思わされるのが、昨今の外為スキャンダルです。HSBCとシティも取引担当者を停職処分にしたというのが報道されています

確かに、市場を操作しようとするのが悪いことなのはそうなのでしょうし、それをやっていなかったことが悪いはずはありません。しかし、実際には周回遅れの件と同じで、結局、国際的な為替取引のお仲間には入っていなかったというのが実情ですよね。なんかちょっと情けないと思うんですけど。

アイルランド格上げ

ムーディーズがアイルランドの格付けをBaa3に格上げしたそうです。機会ある度に書いているのですが、投資適格と投機的格付けの分けかたに本質的な意味はまったくないと思っていますが、ま、アイルランドにとってはいいニュースですね。ダブリンは一度だけいったことがありますが、いいところでした。

2014年1月17日金曜日

オランダ風ユーモア

Call me madam: Chairman’s bank lessons - http://www.ft.com/cms/s/0/156fa152-7ece-11e3-8642-00144feabdc0.html

日本で同じことが起きるか想像すると…。

2014年1月16日木曜日

ヨーロッパで不動産投資熱が再燃とか

Investors pour into European property - http://www.ft.com/cms/b86aa254-7dd8-11e3-b409-00144feabdc0.html

過剰流動性のひとつの帰結ですよね。株高だってバブルと言えなくもないわけで。超デフレと比較したらこのほうがいいんでしょうけれど。

2014年1月14日火曜日

日本の『証券化商品』の格付け動向

どうも『証券化商品』という日本語は好きではないのですが、他に、いろいろなコンセプトを簡単にまとめることができないので、やむを得ないのでしょう。ちょうど、CMBSを「商業用不動産証券化」と訳すようなものというか、商業用不動産ってどういう意味だかよくわかりませんし、不動産証券化ってなんのことなのか実は理解不能ですが、直訳と、言葉のまとまり具合で、しようがなくみんなが使っているんでしょうね(って、もちろん、なにも考えていない人も沢山いるでしょうが)。

ところで、昨年第4四半期の日本の証券化商品の格付け動向についてのレポートがフィッチから出ているのを見つけたのですが、なんで英語しかないんですかね? 筆者の方はお名前から判断すると日本人の方だと思うのですが、最初から英語でレポート書いているんでしょうね。

もはや日本は輸出大国ではない

"Japan No Longer an Export Powerhouse - Real Time Economics - WSJ" http://feedly.com/k/1drTVW0

そうでしょうね。そんな気がします。所得収支がプラスならいいんですけどね。

米司法省と円Libor

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/January/14-crm-038.html

ちょっとびっくりですね

現金で買収

サントリーが『現金で買収』と聞くとすごいですが、買収対価に株を交付しないということですよね。しかも、融資も利用するということですし。言葉のインパクトほどは凄くないのかもしれませんね。

2014年1月13日月曜日

スコットランド独立と英国債

仮にスコットランドが国民(っていうんでしょうね、気質を考えると)投票で英国(っていくか『連合王国』ですか)からの独立を選択したとしても、英財務省は既発行の英国債(ギルト)の元利払いを保証するという声明を現地時間の今日(13日月曜日)発表するそうです。スコットランド独立の可能性はあまり高くないらしいですが…。

バーゼル3

いわゆるリーマン・ショックのあとで金融機関の経営が不安定化したのはもう5年以上前のことなのですが、類似のショックに対応するための銀行の自己資本・流動性規制はまだ策定中なんですよね…。FT紙に、レバレッジ比率規制で若干の緩和が図られるというニュースが出ていたので久しぶりにBISのホームページを見てみたのですが、レバレッジ比率の話のほか、流動性リスク対策の「安定調達比率」なるもののも出てますですね。

レバレッジ比率については、一定の相殺を認めるという話で、ま、これまでのレバレッジ比率が若干きつすぎるきらいがあったのでバランスをとったということかと思います。安定調達比率もそうですけれど、若干あらすぎる気がしますが、そもそもルールを細かくするとその分、頭のいい人たちがよからぬことを企てるという側面があるのは確かなので、やむを得ないということなんんでしょうね。

<追加>
WSJ紙にも(当たり前ですが)ニュースが出てますね。論調はほぼ同じです。

2014年1月12日日曜日

デリバティブの教科書

いわゆるデリバティブが金融機関の中枢業務のひとつになってから四半世紀ですが、デリバティブ関連の入門書とか通信教育は、いまだに、金利スワップ、通貨スワップの2つがスワップの中心であって、クーポン・スワップは通貨スワップの亜流という考えかたをしている一方、いわゆるベーシス・スワップについてはほとんど触れないという状況が続いていますね。少なくとも日本で対顧客ビジネスをやるという意味では:

① 金利スワップ → 確かに、ブート・ストラッピングとかディスカウント・ファクターとかの金融工学の基本を知る上では有効な考えかたが多いし、市場での(=銀行間での)取引量は圧倒的に多いので有用

② 為替予約

の2つを教えた上で、実際の取引量としては多いクーポン・スワップを中心に説明すべきなんでしょうね。だって、世の中の多くは中小企業であって、中小企業相手のデリバティブなんて、ほとんどがクーポン・スワップ(というか長期平均為替)の変形ばっかりですもんね。

もちろん、ちゃんと教えたからといって担当者がちゃんと理解するとは限らず、ちゃんと説明できるとも限りませんし、まして、レシオだギャップだノック・アウトだなんていうのを顧客に覚悟させるだけの説明ができているかどうは別の話なのですが。

ただ、業者の側がちゃんと説明しているのに、顧客の側が凝り固まって聞く耳持たない(リスクの説明を聞かずに、メリットばかり追求する)ときがあるのも確かなので、それはそれでどうしようもないらしいです。

グリーン・ボンド?

ワクチン債とか、なんか日本の証券会社が個人向けに販売しようという債券は胡散臭いに決まっていると思っていたのですが、グリーン・ボンドなんてあるんですね。ただ、一応ちゃんとした発行体がちゃんとした目的ではっこうするならいいということなのでしょうか。

販売する側にも矜持が必要だし、その意識をきちんと発行体に認識してもらいたいと言うのが、業界基準設定の趣旨のように思われます。ひどいのも(昔は)あったということを示しているだけという説もありますが…。

2014年1月8日水曜日

確かにロンドンはいいところだけれど

ロンドンへの外国人の不動産熱ってなんなんですかね? もちろん、アメリカと違って政治的に中立性が強いので、中国やアラブの人たちが投資しやすいっていうのはあるんでしょうけれど(ユーロ・ドルの歴史?)…。

って、私も、機会があれば住みたいとは思います。冬はやですけどね(って米東海岸もちょっとツラいですかね)。

2014年1月7日火曜日

なかなか円安一本やりとはいかないようで

日商会頭が継続的な円安に否定的に受け止めているやの報道がロイターに出てましたね。「円安で株が上がるのがおかしい」というのはごもっともなのですが、ま、市場なんてそんなものなんでしょうという気もいたします。

ま、ドル円のリスク・リバーサルを見ると、プット優勢が収まらないどころか若干加速しているところでもあり、この水準だと安くなったプットを買う動きが出ているっていうことなのかもしれませんね。