2014年12月23日火曜日

格付け会社はしょせんビジネス

格付け屋さんがビジネスなのは、私も機会あるごとにいろいろなところで書いているつもりなのですが、さすがに、プライベート・エクイティの投資対象になるとちょっとびっくりですね。

12月22日付のニュースですが、DBRSという、それなりに知られているカナダの格付け会社を、カーライルとウォーバーグ・ピンカスが買収するんですって。LBOで用いられるバンク・ローンやジャンク債を格付けする会社を、LBOで買収する側が買収するってどうなのよ?という気もいたしますが、結局、カネ儲けのためには、独立性を保っておくほうがよほど賢いわけで、そのあたりはプライベート・エクイティのディシプリンのほうが信頼できるような感じはしますね。

アメリカのメディア会社ハーストが、フィッチへの出資比率を80%に高めたため、フィッチは英仏系ではなく完全に米系ということになりますが、なんか、面白いですね。

2014年12月22日月曜日

アクティブ運用

FT紙によると、今年、米国ではアクティブ運用でインデックスに買っているのは10%程度に過ぎないとか…。記事にあるとおり、アクティブ運用やっている人たちの中で、勝っている人もいれば負けている人もいるんでしょうけれど、皆がフィーを取るのだから、結果としてはアクティブはパッシブに負けるということなのでしょう。

ただ、パッシブの魅力は、アクティブをやる人がいるから際立つというのも事実であって、みながパッシブになったらそれはそれで大変なんですよね。どこかで、誰かが「賭ける」ことがないと、市場が成立しないわけで。

個人投資家が頑張ればいいのですが、アメリカだとやはり、個人は投信に行けという感じなのでしょうか。それはそれでとても健全ですが、となると、だれが「勝ったり、負けたり」という役割をするようになるのかしら…、ということですよね。

2014年12月6日土曜日

日本の人口

FT紙でこの記事を見るまで気付いていなかった自分が情けないのはともかく…。

日本の現在の60歳未満人口は、1960年と同じだとか。

60歳未満人口は1985年にピークで、そこから17%減少したとか。

15歳未満人口は、1978年から41%減少したとか。

構造改革

特に政権支持・擁護派でもなければ、反対・攻撃派でもないつもりなのですが、一般論として、いわゆるアベノミクスなるものにはなんの実態もないと思っていますし、なので、特になにも期待していません。「デフレ退治」を言い続けて、少なくともリフレの邪魔にならなければいいのかな、と。

エコノミスト誌(イギリスのです)のこの論調も、基本的には同じなのでは?と思ったりもいたしました。

2014年11月29日土曜日

スタンダード・チャータード格下げ

イギリスの(って言うんですかね)スタンダード・チャータード銀が格下げになったというニュースが出ていたのですが、格下げそのものよりも、AA-だったというのにびっくりしました。

しかし、原油価格も下がっているし、大丈夫ですかね、世の中(金融の話ですが)。

2014年11月28日金曜日

債券を取引するには相手が必要

デリバティブや外国為替の場合には、まだ、なんとなく知っている人が多いようですが、債券の場合も、多くの取引は取引所ではなくて相対で行われています。で、デリバティブや外国為替の場合には取引対象が少ない(日本の場合、ドルを円でなんぼ、ユーロを円でなんぼという取引が大半)ので流動性は非常に高く、一般の金利スワップや通貨オプションのボラティリティについても同様なのですが、債券の場合は種類が非常に多く、一部を除くと決して流動性が高いとは言えません。特に、金融危機後は当局による「自己取引」の抑制策もあって、業者側が流動性の提供をするキャパが小さくなっているのも事実です。

業者側としては、規制を戻せばいいということになるでしょうが、当局のほうは逆だというのがFT紙に出てまして、いろいろなことが考えられるということのようですね。

国債を含め、たとえば、奇数年の12月20日と偶数年の6月20日を償還日とするもの以外は発行してはだめだということにして、すべてを取引所取引にすれば改善するのでは、と思ったりもしますがどうでしょうね。

金融商品と忠実義務

FT紙のコラムを見て思ったことですが…。

日本でも、業者は一定の忠実義務を負うのではないかという議論もないわけではないものの、一般論としてはそれは否定されていると思います。というのも、少なくとも法律という議論では、売主と買主という利益相反があるのは明らか、あるいは、取引さえあれば手数料がもらえるのだから顧客の利益を最優先するはずがない(少なくとも最良執行義務以外の分野では)ということなのだと思います。

ただ、「助言」を飯のタネにしている人はまた別ですよね!というのが話なわけで、昨今の保険販売屋さん(って、正確な言い方ではないのは承知で敢えていいますが)の議論がまさにそこにありますよね。

もっとも、街の保険屋さんが契約者に忠実義務を負っているわけではないことは、少し考えれば携帯電話屋さんと同じだという感じもいたします。しかし、それが理解できるのもリテラシーがあるからだけなのかも、と考えると、ちょっと寒いです。

2014年11月26日水曜日

サマータイムは和製英語?

サーカスという人たちのヒット曲の話ではなく…。

和製英語に気を付けようという話のときに、よく「サマータイムは通じない」って習いませんでした? 確かに、アメリカではデイライト・セイビング・タイム(しまった、今調べたらsaving単数なんですね…)ですよね。でも、イギリスではサマータイムと言いますよね。

という話を、さっき、『TVの「朝刊チェック」にNYタイムス東京支局長「ありえない」』という記事を見つけて思い出しました。イギリスだと、BBCの朝のニュースでふつうに新聞記事の紹介しているのになぁーって。

レバレッジド・ローンは危ないのか

調査によれば、今年の大型LBO融資は、いろいろな側面からリスクが高めだと言えるとか。融資額のEBITDA(収益性)倍率とか、コベナント・ライト(財務特約が甘い)の比率が高いといった要素が挙げられています。

一方、ではデフォルトの確率が高いのかというと必ずしもそうではないらしく、「利息は払える」というストラクチャーが多いとか。それも、PIKトグルとかそういった類のものがあるからと想像できますが、それはさておき「会社はコベナンツ違反でデフォルトするのではなく、カネが払えないからデフォルトするのだ」ということであれば、なるほど、確かに、デフォルトはしにくいのかもしれません。

もっとも、早期にデフォルトさせたほうが社会的にはプラスなのかも、というのがたとえば破産法とかの考えかたなわけですから、ちょっと、ちょっとなぁーという感じもいたしますが。

2014年11月25日火曜日

プライベート・エクイティと投資家

プライベート・エクイティ会社は、キャリード・インタレストといって成功報酬部分がものすごく大きいフィー体系になっているわけですが、そもそも論として、他人のおカネを運用しているという点では出資者(=投資家)が不可欠です。ところが、最近、大手の投資家は、PEファンドに投資しながら、PEと競争関係にもなるようになっています。これは案件を見ていれば明らかで、大手PE投資会社が、ソブリン・ウェルス・ファンドや年金基金と組んで企業買収をする例が増えています。この記事(ブログですかね)によれば、かつてはPE投資会社同士が組んで大型案件の買収に取り組んでいたところ、最近は、SWFは年金を連れてくることになっているのだとか。ふむふむ…。

欧米の事業債市場

米国で事業債の市況があまり芳しくないという話がWSJ紙に出ています。ひとつの要因は米金融政策の変化によるものと思われ、あとは、原油価格の下落によって米ジャンク債市場の16%(!)を占める同セクターの影響が出ていると。

ついこないだまでは、欧米の事業債市場の動き(国債との信用スプレッドですね)はほぼ同じだったのが、ここにきて米国だけが不芳というのがキナ臭いというのが結論のようです。しかし、そもそも米国の事業債市場が不芳というニュース自体、日本ではほとんど流れず、同じ発行者・債務者を対象にしているバンクローン投信の発行は続いてますね。

リスク文化

金融危機を防ぐのは自己資本比率ではなくてリスク文化だ!という話がFT紙に出てました。「計測は大変だけど、だからといって重要性が薄いわけではない」と。

でも、これっていろいろなことに言えるというか、恣意性の排除がものすごく難しいですよね。たとえば、金融商品の勧誘・販売姿勢について顧客保護をどこまで徹底しているかというのは、多分にポリシー(紙になんと書いてあるか)よりも態度の問題なわけで…。

2014年11月22日土曜日

フィッチが日本の銀行の格付けを確認

っていうニュースを見たら、タイミング的に、選挙とか、政権の経済運営の影響とか考えちゃいますよね?

実際はそうではなく、発表のタイミングもたまたまだったみたいですけれど。

2014年11月15日土曜日

市場の過熱~クレジット投資編

機会があるたびに申し上げていることではあるのですが、債券投資というのは、本質的にオプションの売りの性格を有しています。儲かってもそこそこ、損をするときはとことんというものです。なるほど、マイナス金利が出てきたので、儲かってもそこそこというのは理論的には言えないというのはあるので相対的な話でしかありませんが、たとえば、10年国債の利回りが0.5%だとすると、どれだけ儲かっても、この国債を保有していることによる利益は額面の5%(0.5%/年×10年)が最大です。一方、利回りが2%になれば、単純計算ですが、額面の15%の損をすることになります。「儲かってもそこそこ、損をするときはとことん」というのは分かりやすいものの言いかたでしかありませんが、別の言いかたをすると「利益と損失とで、損失のほうに偏っている」となるでしょうか。

これはクレジット投資でも同じです。クレジット投資の場合、投資の対象は金利そのものではなく、無リスク金利(たとえば国債利回り)との差です。10年で利回り1.2%という社債があれば、国債の利回りが0.5%だとすると、投資の対象は両者の差である0.7%というわけです。この差の部分についても利益と損失の間に偏りがあることはあきらかで、社債の発行会社が倒産しない場合にのみ、最大の利益である7%が得られますが、倒産したら損失は大きいわけです。

ところで、他の市場と同じようにクレジット市場も過熱します。不動産関連と異なり、金融危機時も企業の信用度は相対的に安定していたこともあり、また、米国では事業用不動産に限れば金融危機前の水準に回復しているという背景もあり、企業に対する融資はまさに過熱状態ということのようです。

私は、専門がクレジット分野なので、こういうときこそ銘柄選択の見せ所だとも考えるのですが、いかんせん、市場が過熱しているときには、銘柄選択=投資しない銘柄がある=おかしい、という議論になりやすく、真面目な人ほど苦労しているという状況が容易に想像できます。

それにしても、こんな状況でも、喜んでジャンク債投信を買ったり、バンクローン投信を買ったりする人がいるわけで、それが個人投資家なのだとすると販売している側が売っているからなのですが、この辺の状況、理解しないで販売することってどうなんでしょうかね。

プライベート・エクイティと長期安定保有

ヨーロッパのプライベート・エクイティ大手スポンサーのひとつCVCが、一般的なPEファンドではなく、長期保有による安定的なリターンを目指したファンドの組成をしているという話がFT紙に出てました。

もともと、年金基金のような、長期的な資金を有している人の投資先としてPEファンドは向いているのでしょうけれど、その投資先が短期(とはいっても5年くらいでしょうけれど)の投資回収ばかり気にしているというのは、エコシステムとして不自然というのは確かなんでしょう。ソブリン・ウェルス・ファンドとなると、あるカネを増やしたいという目的しかないわけでしょうから、投資ホライズンは一層長く、このような投資形態にも意味があるということですね。

2014年11月13日木曜日

日本のプライベート・エクイティ

WSJ紙の「プライベート・エクイティ・ピート」欄に、日本でのPE投資は盛り上がりを見せているようだが、LP(投資家ですね)のノリがいまいちというのが出てました。ま、これを見るまで、カーライルがSBIモーゲージを買収したことを知らなかったというのはどうなのよ、と自責の念もあるわけですが…

それにしても、TPGの日本の責任者の方がお辞めになって、自らファンドを立ち上げようとなさっている話は相当な話題なんですね。ま、先進国の中ではPE投資活動が相当低調なのは間違いないわけで、もう少しなんとかなってほしいですね。私の専門はクレジットなので、クレジット投資ももっと活発になってほしいのですが、それはちょっと無理そうです。

2014年11月4日火曜日

黒田総裁の会見を見て

株高もびっくりしましたけれど、それよりも円安ですかね。こんなすごい動きかたは初めてではないにしても、久しぶりに見たような気がします。

必要があって黒田総裁の会見の冒頭部分を見ていたのですが、わかる人にはわかるものの、わからない人にはチンプンカンプンかも、と少し思いました。おっしゃっていることは、要するに:

① デフレは諸悪の根源である
② デフレの原因はデフレ期待である
③ デフレ期待の反対はインフレ期待である
④ 日本にインフレ期待を植え付けなくてはならない
⑤ 日本ではインフレ期待が持続するためにはインフレにならなくてはならない
⑥ 消費税増税後の若干の景気停滞と原油価格安で、(実際の)インフレ率が(総裁の望むほど)高くない
⑦ モノの価格が上がるような手を打たなくてはならない

ということですかね。で、④、⑤の説明として、アメリカではインフレ期待として2%のアンカーがある(世の中の人が、中・長期的には当然のように物価上昇を期待していて、それ(予想値)が2%を下回らない)一方で、日本にはそのようなものがないというか、長期・慢性的なデフレによって深層心理としてデフレ期待が形成されてしまっているから、実際のインフレを見ない限りはインフレ期待を形成できないという考えのようです。

ま、そうなんでしょうね。というか、まず①を声高に言ってくれる日銀総裁が今までいなかったこと自体が問題なんでしょうけれど。

2014年10月28日火曜日

金利オンリー住宅ローン

正しい借金があるのだとすると、借りたお金を使うアテがまともで、その「使うアテ」の対象を楽しむ期間と返済期間がマッチしていて、かつ、返済が平準化しているというものでしょうね。典型は住宅ローンで、一部の分割払いはそれに近い性質を持っているのかもしれません。

ということは、資産価格が上昇する(あるいは下がらない)ことを前提におカネを借り、元本が減らないというのは相当避けるべきということになります。もちろん程度問題ではあるのですが、そのような借り方はたいていの場合トラブルの元であって、それはLBOであっても、不動産担保融資であっても同じです。

という話を、FT紙のこの記事を見ていて思いました。話としては住宅ローンで金利オンリーのものがそれなりに広まっている話なのですが、見ていてすごいなと思うのは、一部の債務者は、自分の借りている住宅ローンが金利オンリーであることに気づいていなかったというところでしょうか。

集中か多角化か

会社って難しいですよね。いろいろなことをやっているほうが株主にとってリスクは小さくなるものの、評価が難しくなって価値が下がるということもあり得るんでしょうね。多角化がもてはやされたのって20~30年前でしょうか…。時代は機敏さを求めているということなのかもしれません。

NYT紙のディールブック・コラムによると、マジソン・スクエア・ガーデン社がスポーツ・チーム(バスケット・ボールのニックスとアイス・ホッケーのレンジャーズ)部門を分社化することを検討中とか。日本のいろいろな会社も見習ってほしいと思ったりもしますが、もともと日本の株主は企業価値の向上とかほとんど興味がないので、こんなことはなかなかおこるまいという気もいたします。

2014年10月25日土曜日

プライベート・エクイティ・ファンドと流動性

プライベート・エクイティ・ファンドは「ファンド」という名前はついていますが、実際には投資組合であって、かつ、組合出資は「確約ベース」、つまり、必要なときに必要な金額を(上限に達するまでは)払ってねというやつです。発想自体は、株式の「引き受け」と出資の履行と同じ感覚ではあるのですが、投資組合の場合は確約(引き受け)期間が長いんですね。なので、通常の「投資」という感覚には馴染まないのはもちろん、投資家の側では、形式的なだけではなく、実質的にも管理が難しいという点があります。それもあって、米国で401K(確定拠出型ですね)の対象にはなりにくいと。

で、スイスのパートナーズ・グループっちゅうところが、それを打ち破ろうと。具体的には、四半期ごとに換金できるPEファンドと、上場PEファンドを中心に投資するそうです

ただ、結局、流動性と長期的なリターンは基本的には反比例するわけで、そんなに流動性がほしければPEに投資するなというか、流動性を求めたら上場株式と同じリターンに収束するのでは?という気もいたします。ま、それだけPEっていう世界が謎に包まれていて、みんなが投資したがっているということなのかもしれませんけれど。

恥知らずな宣伝

こんな本出しました。

http://www.kunimoto.co.jp/contents/accounting/s_lawyers.html

買ってください。

「借金返しまへん」宣言

私も、基本的にはデフォルトは早くすべきだという考えなので、このような考えには大賛成です。

ABSなのに、実質はオリジネーターの担保付社債

ムーディーズが「消費者ローン債権 ABS の格付手法」というレポートを出していて、そこには「非リボルビング型消費者ローン債権を裏付けとする証券化商品に対する、ムーディーズのグローバルなアプローチについて解説するもの」と書いてあるのですが、なぜか「付録 4: 日本の個品割賦債権案件のキャンセルリスクおよび既払金返還リスク」というのと「付録 5:日本の消費者ローン債権 ABSにおける過払金返還請求リスク」というのがありました。

付録4のほうはさして面白くなかったのすが、付録5のほうは、結局、過払いの可能性がある債権を対象に証券化したら、そのABSの格付けはオリジネーターの格付けに拘束されるという趣旨でした。カバード・ボンドっていうことですよね…。ま、当然といえば当然の反応なのでしょうけれど。

2014年10月24日金曜日

市場変動そのものが資産クラス?

先週、米国債利回り(≒価格)が大きく変動したことを米投資銀行業界が問題にしていて、その背景には規制が強化されていることがあると主張しているようですが、それはちゃうんじゃないのというがFT紙のアルファビル欄に出てました。要は、米国債なんてもともとすごい流動性が高いんだし、電子取引も以前からあるんだからということのようですね。

同じアルファビル欄に「今や、世の中みんながボラティリティの売り手」という話も出ていて、これは非常に好感度が高いというか、要するに、ボラティリティが上がると困る人というのが世の中にたくさんいて、それを意識するか否かはともかくとして結果としてボラティリティの売り手になっている人がたくさんいるということです。たとえば、日本で盛んに売られている仕組債はオプションの売りが組み込まれているという意味で直接ボラティリティの売りですし、カバード・コール投信も「カバード・コール戦略」とは言えオプションの売りをしているわけですから、やはりボラティリティの売り手に回っているわけです。

さらに言えば、ジャンク債投信やバンク・ローン投信も同じで、クレジットという資産クラスはもともとボラティリティの売りという性質を持っている(儲けは少し、損は大きいというのはオプションの売りの性格)んですよね。オプションの売りは危険だというのが最高裁H17判決の意味なんだとすると、みんなダメじゃん、ということにもなりかねませんが。

2014年10月23日木曜日

ファンド・マネージャーの腕

ファンド・マネージャーに銘柄選択や、特別な運用手法の腕などあるはずがないというのが私の基本的な考えなのですが、FT紙に面白い記事が出ていました。

それによると、本当に腕のいいファンド・マネージャーがいたら、皆がその運用手法を真似するはずであり、そんなファンド・マネージャーがいないということ自体、運用の腕などないという証拠だというのです。なるほどですね。

ただ、毎月分配型とか、バンクローン投信とか、カバードコール投信とか、運用の腕とは関係ないものの、つねにコピーキャットが出てくる日本の業界はどう考えるのでしょうか…。FT紙が日本の投信業界に興味がないことは明らかなので、追加の記事を書いてくれという気はいたしませんが。

2014年10月19日日曜日

有権者身分証明書

アメリカで、投票に際して身分証明書を提示せよというとき、写真付きのちゃんとしたやつじゃなきゃだめよん!というのを共和党側が押していて、それは形を変えた差別だ!というのが民主党側の一般的な主張らしいのです。なぜなら、ちゃんとした身分証明書を持っているのは金持ちが多く、黒人やスペイン系の住民は相対的にそのような身分証明書を持っていないケースが多いからだとか。

11月の中間選挙でテキサス州が身分証明書の提示を義務付けることにしたのに対して連邦政府側が抗議していたらしいのですが、結局、連邦最高裁が当面の続行を認めたそうです。3人が反対ということは、通常の5人対4人とは異なるんですね。

2014年10月18日土曜日

嗚 ジャンク債

FT紙を見ていたら、株式だけでなくて、ジャンク債も結構売られたというが出ていました。われわれからすると、株式とジャンク債がある程度連動して動くというのは常識の範疇なのですが、ジャンク債投信とか買っている日本の投資家さんはどこまでご存じなんですかね。

そういえば、最近あまり話題にならなくなりましたが、バンクローン投信の投資先って、ジャンク債の発行会社と基本的に同じなんですよね。ま、それ自体も、我々プロにとっては常識、素人さんにとっては聞いてびっくりという話なのかもしれませんが…。

2014年10月1日水曜日

ABS 購入と中央銀行

-- Asset-backed securities: Back from disgrace - http://www.ft.com/cms/s/0/7d9d25f0-4729-11e4-ba74-00144feab7de.html

日本で同じような話があったときも思ったのですが、そんなまどろっこしいことしないで、銀行つくっちゃえばいいんですよね。で、銀行からすべての資産を10%ずつ買うとか。変な仕組みを作ると必ずレギュラトリー・アービトラージが出てきますし、また、フェアな資産買い取りとか債務者審査はありえませんから。

本質的には、資本注入や保証でも同じことですが…。あとは、企業と名が付けば、バランスシートの規模に応じて低利で政府が融資するぐらいですかね。

自分で自分の…

-- Private equity managers face growing competition for deals - http://www.ft.com/cms/s/0/8d29f282-47b5-11e4-be7b-00144feab7de.html

プライベート・エクイティの大手投資家が、ファンドを通さず、直接投資しているという話。フィーが高いという理屈はわからないわけではないものの、本文にもあるとおり、自分で自分の投資対象を狭めているという感もありですね。

2014年9月27日土曜日

フランス料理と金融規制

FT紙のアンダーカバー・エコノミスト欄に「規制は難しい」という話が出てました。

フランスで、工場で作られた飯を温めて出しているだけという例が増えているというのはよく報道されている話だと思うのですが、それに対応する形で、レストランはメニューに「この場所(レストラン)で作りました」マークをつけなくてはいけなくなったそうです。蓋付ソースパンがそのマークらしいのですが、それはさておき、どんな規制も同じで、そもそも自家製とはなんじゃという話のほかに、本当にそれでフランス料理の質が守れるのかという話も出てます。確かに、ヘタなパン屋さんの食パンよりもスーパーで売っている食パンのほうがおいしいかもしれないし、ベーグルも専門店で買うよりもも冷凍ベーグルのほうがおいしいかもしれないですよね。でも、それを区別しないじゃんという話でもあるわけです。

で、レストランというか食い物については、結局、高くてまずいものを食わない消費者ばかりになればいいという話になるわけですが、それに対して、へんな金融商品は買わないやつがいればそれでいいという話ともつながります。「そりゃそうなんだけど、消費者ってそんな賢くないよね、だから、政府が守ってあげることも必要だよね」という立場が出てきます。このコラムの結論は「なかなか難しいよね」でしかなく、金融商品についても同じなのですが、ま考えさせられますよね。

ローンで買った車にGPSが装着されていたら

という話が以前NYT紙に出ていたのですが、その反響がすごかったという続報がまたまた同紙に出てました。ストラクチャード・ファイナンス屋という立場から見ると、担保資産の価値を保つためにはこの程度のことは当然のような気もするのですが…。

日本では、一般論としては自動車ローンの証券化では担保価値はほとんど考慮されていないので、証券化のためにこのような手法が必要なのかは懐疑的です。ただ、結局のところ、自動車ローンと自動車リースとは同じ経済効果ですし、リースとレンタ・カーも同じだという考えると、レンタ・カー会社が貸した自動車をこのように管理していても不思議ではないわけで、であれば納得ですよね。住宅ローンを安心して貸せるのは、担保である家が動かせない(不動産)だからというのもあるわけですし…。

ICチップが小型化すれば、割賦販売の対象とかみんなこうなっちゃうのかもしれませんよね。もっとも、現金一括払いで買ったときに装置を外す手間とかを考えると、そんな世の中にはすぐにはならないのかもしれませんが。それより、飲酒した人は運転できなくすることを考えるほうがいいのかも…。

資産運用とコスト

他人に資産を運用してもらおうと思うのであれば、一定の手数料がかかるのは当然ですよね。タダで働く人はいないわけですから…。ただ、一般論としてサービスはタダだと思っている人が、一方で、投資運用商品のコストには無頓着だというのは非常に面白い現象ですね。結局、どこかで手数料を得ない限りサービスを提供する人はいないわけで、目に見えるあるいは意識できる手数料を納得づくで払うほうが安上がりなのに、目先のおカネを払いたくないから隠れた手数料をたくさん払っているというのが、一般的な姿なのでしょう。

カルパースがヘッジ・ファンドの運用をやめるというのが結構でっかいニュースになりましたが、1週間経ち、「やっぱり手数料よね」という話があちこちで出てきているようです(たとえばこれ)。カルパースは納得づくで払っていて、その効果がないと思って手数料払うのをやめる(つまり、運用委託をやめる)わけですが、私たちはみな、こうあるべき、あるいは、こうありたいという気がいたします。

2014年9月26日金曜日

ヘッジ・ファンドがいつも成功するわけではない

シアーズの大株主がヘッジ・ファンドだとは知りませんでしたが、NYT紙のディール・ブック欄によると、結構大変みたいですね。

ま、ヘッジ・ファンドが常に成功するわけではないし、本当にリスク・リターンが見合っているのかというのは、カルパーズのこないだの発表からも懐疑派が増えているということなのでしょうけれど。

2014年9月20日土曜日

デフォルトのリスク

社債には、発行会社の倒産リスクがあります。これは、理論的には誰でも知っているのですが、たいていの場合、倒産はそんなに滅多に起こることではありません。もちろん、ファイナンスに関係のない統計専門職に言わせればそれは「確率的」なものであって、滅多に起きなくても確率的には必ず起きるわけですし、ファイナンスの専門家であれば(本来であれば)どの社債がデフォルトしないかを事前に知ることは不可能のことを知っているべきです。

なので、社債投資で儲けるためには、予言者であるか、ラッキーであるかいずれかである必要があります。ところが、後者の場合は、それは「投資」ではなく「投機」のカテゴリーに入ることは言うまでもありません。それをわかっていて社債を買うのは自由ですが、わかっていないのであれば(覚悟ができていないのであれば)どうだかなぁーと。

WSJ紙に、ヨーロッパのジャンク債市場でリスクが再認識されているという話が出てまして、フォーンズ・フォー・ユーという会社の社債が100円から20円程度まで数日で急落したそうです。100円の社債が180円になることはあり得ませんから、以下に非対称的かわかりますよね。それでも社債を買うんですか…。私は親には絶対に勧めませんけれど…。

2014年9月15日月曜日

猫債

WSJ紙のHeard on the Streetコラムに、再保険会社が大変だわなというが出てました。米国のハリケーンといった、保険に対する需要が強く、高い保険料を取りやすいリスクについてはCAT債との競争になっており、従業員や経営者のリスクについては保険への需要が低くて保険料が取りにくいと。しかも、金利が低いので、後者の保険料の運用で稼ぐのも難しいんだそうです。

ただ、同コラムで面白かったのはCAT債の例で、ドイツの宝くじで「あたりが出過ぎる」リスクに対する保険が債券になったんだそうです。個人や素人投資家が買うのでない限り、許容範囲なのかもしれませんよね。仕組債も同じようなものだという説明をすれば、仕組債の不思議さを納得してもらえる足しになるのかもしれませんけれど。

2014年9月12日金曜日

社債価格の暴落

WSJ紙のコラムに、担保付き社債のほうがディストレスト(価格暴落)になりやすいというのが出てますね。

http://blogs.barrons.com/incomeinvesting/2014/09/11/secured-bonds-are-more-likely-to-end-up-distressed-fridson/

担保付きでないと社債を発行できないような会社は、結果として経営破綻しやすいという傾向があるのではと。ま、そうなんでしょうね。直接は関係しませんが、バンクローンに投資するときにはこういうことも知っておいたほうがいいですよね。

2014年9月7日日曜日

スワップのルールを逃げるには

米国の話ですが、米銀がCFTCのきっついルールを避けるためにロンドン現法を活用しているという話がWSJ紙に出ています。保証を付けなければ米ルールの対象とならないという話なのですが、おそらく実態にはそぐわないですよね。ま、ルールというのは、きちんとつくればつくるほど穴ができるわけですが。

2014年9月5日金曜日

証券会社の事業年度

アメリカでは、銀行・銀行持ち株会社・金融持ち株会社の事業年度は1月1日から12月31日までと決まっていまして、ゴールドマンやモルガン・スタンレーが金融危機に際して銀行持ち株会社となることを選択し、事業年度末が11月から12月に変わったときには、少し寂しくなったものでした。

日本でも、銀行、証券会社の事業年度は4月1日から3月31日までと法律で決められていたのですが、証券会社については、先般の金融商品取引法改正で、今後、月初を開始日として、翌年応当日の前日(=月末)を終わる日にすれば、3月31日じゃなくてもよくなるんですね。なんか、不思議な感じです。

2014年8月20日水曜日

低利回りとリスク

日本で個人投資家がEB債に投資をするようになり、機関投資家(プロとは限らない)がクレジット・リンク債とかCDOと買うようになった理由は、単純に言えば他の資産の低利回りです。もちろん、株価が上昇しているときは(正しいかどうかは別として)みな株を買うわけですが、株も上がらない、そして、(株が上がらないからという哲学的な、つまり、全体的な主観的期待リターンの話はともかく)安全資産の利回りも低いときには、みな、すっごく妙なリスクを取りに行くわけです。

本来であれば、国債利回り低下=金融資産の(名目)期待リターンの全体的な低下ですから、見た目の利回りが高い債券(の形を採った複雑な金融商品)の確率的な元本毀損は高まっているだけなのですが、素人はそれには気づかないか、あるいは、確率の高さをなんらかの(誤った)理由で正当化しているわけです。

ここにきて、世界的に国債利回りが低下しており、さらに、ボラティリティが下がっていますから、以前と同じような名目利回りを得ようとすると、なおさら妙なリスクを取る必要があります。確かに、ボラティリティは、市場が判断するリスクの価格ですから、現在の低ボラティリティを誤っていると断言することはできないのですが、それにしてもちょっとねぇーという印象を持っている人は多いのではないかとも思います。

FT紙に、クレジット・デリバティブのリスクが再度広まっていて、リーマン・ショック前よりももしかするとひどい状況かもしれないというのが出ていましたが、そういった文脈でとらえなくてはいけませんね。某国の経済新聞とちがって、業界の提灯持ちになっていないのはさすがです。

2014年8月18日月曜日

リパッケージそのものは悪くないのでは?

WSJ紙に、ポルトガルのエスピリト・サント銀の資金調達に、オフ・ショアのSPCが使われていて、リテール顧客に売られていたというのがスキャンダラスに書かれてますね。

SPCを用いて、無邪気な顧客に、安全でない資産を安全であるかのようにしたというのであれば確かに問題なのですが、それは本質的にはSPCの問題ではないようにも思います。こんなことに絡んだとされる投資銀行は、気の毒な感じも少ししますよね。

2014年8月16日土曜日

基本的な金融知識と企業経営

ビジネス・スクールでは、金融教育が軽視されていて、受講生や実際の経営陣も「金融」というのは主要な問題ではないと思っているという話がFT紙に出ています

日本では、金利スワップについて最高裁が「企業の経営者であれば理解は容易である」などと説示していますが、ということは、日本では金融教育はそうとう進んでいるということなんですかね、欧米と比較すると…

2014年8月15日金曜日

ジャンク債のスプレッド拡大

NYT紙のディール・ブック・コラムで、ジャンク債のスプレッド(米国債との利回り差)が拡大、つまり、計算・理論上の信用度が悪化しているという話が出ています。2か月で80bp拡大というのは、結構でかいですよね。

日本で個人向け(だけではないかもしれませんが)に売られているバンクローン投信では、バンク・ローンはジャンク債よりも安全だとか言われているのかもしれませんが、実際には債務者は同じわけで、ちょっと気になりますね。

2014年8月13日水曜日

ジャンク債とヨーロッパ

ヨーロッパでジャンク債が広まるのは時間がかかったけれども、ここにきて(銀行が引いているというのもあり)市場が活性化しているという話がNYT紙のDealBookコラムに出てました

「自分の発行する社債が『屑』といわれるのは嫌だ」というあたり、日本の状況と似てますよね。だから銀行の力が強いまんまなわけですが。ただ、日本の場合、投資家も含めた予定調和が図られているため、格付け会社がトリプルBという実質ジャンク分類を作っているという説もありますね。

2014年8月12日火曜日

証券会社のリサーチ

確かに、リサーチのコストは間接的に投資家が負担しているんですよね。運用会社が残高で手数料を計算する「ファンド」の場合、リサーチのコストは株式の手数料とか、債券の売買価格の差の形でファンドそのもの、つまり投資家が負担していることになりますが、そこにどれだけのメリットがあるのか確かに不明瞭ですし、さらに、リサーチの内容に色はないので、運用会社の自己勘定(が仮にあればですが)も用いることができますよね。なので、本来であれば、リサーチは運用会社が自ら抱えるべきだし、外部から購入するのであれば、運用会社のバランスシート(でもP+Lでもいいですが)から支払われるべきですね。

という理屈が欧米では広まりつつあるようですが、日本では、情報はタダだと思う人が多いわけで、どうなりますかね。

2014年8月11日月曜日

最高裁判所のホームページから

金利スワップの事件として、H25.3.7とH25.3.26のふたつがあり、どちらも最高裁のホームページに掲載されていたのですが、後者がなぜか消えています…。集民の番号で検索しても出てこなくなっていて、ちょっと不気味

ゴールドマンと三井住友海上

格付け会社がレポートを出しているということなのでじっくり見てみようとは思っているのですが、ゴールドマンと三井住友海上が「フィックスト・インカム・グローバル・ストラクチャード・カバード・オブリゲーションズ」なるものの販売を企図しているとか

コラムの趣旨は、絶対金利も低い、クレジット・スプレッドも縮小しているという理由で、投資家が妙なリスクを取り始めているといういつものやつですが、このGSの案件は面白いかもしれませんね。みたところ、GSのプロップ取引に超過担保を備え、それに三井住友海上が保証、この担保付保証を信じて投資家がどれだけ資金を出すのかという話なんでしょう。すっごい金融危機がこなければよし、そうでなくても三井住友海上もGSも潰れなければまたよしということですよね。トリプルAが付されるかどうかというのが本質的な議論ではないような気はしますが…。このあたり、ストラクチャード・ファイナンス屋としての血が騒ぎます。

2014年8月7日木曜日

デリバティブと銀行の自己解体計画

欧米の大金融機関は、みずからが危機に陥ったときに、金融危機を起こさないような自らの解体・清算の計画を立てておかなくてはいけないのですが、米当局からダメが出たそうです。

WSJ紙の「Heard on the Street」コラムでは、不充分なのはデリバティブで、ISDA上、カウンターパーティの破たんは自動的に解約権が発生、担保の売却もできるのですが、それがまずいということのようです。つまり、米当局は、実際問題として「支払い停止」を強制したのと同じという読みですね。

CNNやBBCを見ていて思うのですが、世界的には、日本ってもうどうでもいい金融市場なんですね。CNNは香港、BBCはシンガポールが拠点で…。

2014年8月6日水曜日

リスクの高い債券を個人投資家に販売するな!

というルールが、イギリスの金融行動監督機構から出されています。

日本では、仕組債はともかく、信用リスクについてはマイカルの件以外、あまり訴訟になっているケースはないようですよね。社債なんか安心な投資なんだから、適合性も問題ないと考えることも多いようです。

私は、個人は社債など(格付けが高かろうが低かろうが)買うべきではないという考えであり(極端すぎる意見だと、消費者系の弁護士の人からあきれられたことがあります)、程度の問題はともかく、まともな国の金融当局が同調してくれたのはうれしいことです。

債券投資はオプションの売りである

金融理論的には、社債投資は、発行会社の(会計上というよりは時価としての)資産の価値を対象としたプット・オプションの売りであるという解釈が可能です。会社が倒産すると、資産を売却して、まず債務に充当されるのが理屈ですが、社債(を含めた負債)が資産の(売却)額を下回っている限り、社債は償還されるからです。

その意味では、格付けが低い(信用度が低い)というのは、オプションでいえばイントリンジック・バリューが大きいと意味になります。また、ボラティリティ(世の中のごたごた度でしょう)が高まればオプションの価値は高くなります。つまり、このような場合、オプションの売りの対価を表す社債の利回りは高くなります。

ということを、ポルトガルの銀行の話で思い出しました。日本でも少しずつ広がり始める新型劣後債とか、もっと言えば、個人向け社債も、程度が異なるだけで、リスクの質は同じなんですよね。

2014年7月19日土曜日

狭義の適合性原則と、広義の適合性原則

狭義の適合性原則とは、一般的には、「どれだけ説明を尽くしても販売してはいけない」という状況を考えます。文言ではなく、状況だけを言えば、平成17年最高裁判決にあった「オプションの売り」というのは、それだけでは狭義の適合性違反にはならないと読むのでしょう。どれだけ説明を尽くされて、充分に内容を理解したとしても、それでもオプションを売るといった取引をしてはいけない人は市場から排除されるべきだからです。ただ、そのように適合性を理解すると、それに違反するような販売・勧誘は「相当ひどい」ことをやっていることになるので、実はそのような場にはなかなか遭遇しないのではないか、とも思います。

広義の適合性原則は、簡単に言えば「説明すりゃいいんじゃん」というコンセプトだと理解されるようですが、だとすると、説明義務との違いがほとんどないことになります。もちろん、一般論としての(つまり、金融商品販売法や消費者契約法で規定されているものとは異なる)民事上の説明義務がどこかに規定されているわけではなく、業法としての金融商品取引法に記載されている義務から派生するのか、あるいは、信義則上の義務と解釈するのでしょうけれど。

なので、いくら最高裁が「適合性の原則違反は不法行為になる」と言っていたとしても、実は、前者の意味での適合性の原則違反はほとんど見られず、後者の意味であれば結局説明義務違反であって、もしかすると「適合性原則違反だ!」とか主張しないほうが実はプラスなのかも、と思ったりもいたします。

仕組債は「ハイ・リスク、ハイ・リターン」ではない

金融理論的には、投資のリスクとは「発生しうるリターンのぶれ方」、投資のリターンは「発生しうるぶれ方のパターンを平均したときのリターン」となります。たとえば、100の投資をして、50%の確率で120、50%の確率で80になるという投資は、「発生しうるリターンのぶれ方」は比較的大きいのでリスクは高いですが、一方、リターンはマイナス20%とプラス20%の平均なので0となります。リターンがゼロということは、なにもしないのと同じです。

仕組債のセールスをする側では、上記のような商品性を捉えて「ハイ・リスク、ハイ・リターン」と表現することがあります。しかし、それは金融理論的には大きな間違いです。リターンは高くないからです。仮に、このような商品を「ハイ・リスク、ハイ・リターン」といって紹介し、かつ、それが金融の常識であるかのように勧誘しているとすると、それは虚偽の表明をしているということになります。また、事後的に、つまり、裁判の場でこのような商品性を「ハイ・リスク、ハイ・リターン」と説明する人がいるようですが、それも同じ理由で誤りです。

ちなみに、仕組債のリターン、つまり、平均的に期待できる投資収益は大きなマイナスです。

2014年6月27日金曜日

エマージング債の流通市場

-- Risk grows of disorderly EM bond sell-off - http://www.ft.com/cms/s/0/f9321b08-fd23-11e3-bc93-00144feab7de.html

加熱気味というのは、いつ冷えるかわからない市場については常に言えるわけですが、流通市場がシュリンク、発行市場は拡大というのが潜在的に脅威だというのは面白い視点ですね。

2014年6月17日火曜日

投信と影の銀行

-- Fed looks at exit fees on bond funds - http://www.ft.com/cms/s/0/290ed010-f567-11e3-91a8-00144feabdc0.html

信用創造の機能は銀行の独占ですが、信用仲介は、社債投信やバンク・ローン投信にもありますよね。投信版取り付け騒ぎを避けようというのがこの『解約ペナルティ』の話なんでしょうけれど。

2014年6月10日火曜日

市場の予想変動率

-- Market volatility plummets to multiyear lows - http://www.ft.com/cms/s/0/fa992268-efe3-11e3-9b4c-00144feabdc0.html
ボラティリティの低下には専門家の末席を汚す人間として高い関心を持っていますが、前回のことを考えると『嵐の前の静けさ』ちっくな怖さが残るのは確かですね。こういうときはオプションの買い側になるべきなんですけれど、そういう合理的な判断ができないのが悩ましいですね。

2014年6月9日月曜日

儲け続けるのは難しい

-- Goldman stars fall back down to earth - http://www.ft.com/cms/s/0/08374420-ed8e-11e3-8a1e-00144feabdc0.html そりゃそうだわな、という話ではあるのですが。

2014年6月6日金曜日

オーストラリアのCPDO裁判

S&P loses Australia appeal over ratings http://www.ft.com/cms/s/0/681d754a-ed1f-11e3-8963-00144feabdc0.html?ftcamp=published_links%2Frss%2Fcompanies_financials%2Ffeed%2F%2Fproduct

オーストラリアで、CPDOの格付けが高くて投資家が損したという裁判があって、控訴審でも格付け会社(S&P)が敗訴したそうで。500ページあるということなので、原審同様、読みごたえはありそうですね。

マイナス金利

欧州中央銀行がマイナス金利を導入したという話ですが、民間銀行による中央銀行預け金が対象ですから、直接のインパクトはないですよね。実効性というよりは、シンボリックなものですが、なにかをやったという点で、デフレに悩んでいたどこかの国とは違うと。

2014年6月4日水曜日

現物利払い債券

-- Sales of boom-era ‘PIK’ debt soar - http://www.ft.com/cms/s/0/5b4a3efe-eb1f-11e3-bab6-00144feabdc0.html

利払いに必要な現金すらなかったら、その資金も借りてしまえばいいですよね。それを社債に内在させてしまうのがPIKで、金融危機前のLBOブームでよく見られましたが、また増えているそうです。少なくとも金融の世界では、歴史は繰り返しますね。

2014年6月3日火曜日

それでもバンク・ローン投信は販売される

LBO Defaults Set to Reach A High This Year, Fitch Says http://blogs.wsj.com/privateequity/2014/06/02/lbo-defaults-set-to-reach-a-high-this-year-fitch-says/?mod=WSJBlog

2014年5月31日土曜日

好配当株ファンド

米国でも、好配当株ファンドが人気だったとか…。配当落ちという言葉があるとおり、配当というのは株主への還元なので、その分、還元する元である株式の価値は落ちる、つまり、配当は株主価値にはニュートラルだというのは金融の常識なのですが、そのような株を買う無邪気な投資家が多いと、結果として株価も上がるという現象が見られるのは否定できません。

もっとも、アメリカがまともなのは、高成長株(PERが高く、一般的には配当利回りはあっても低い)の人気が復活していて、好配当株ファンドから資金流出がみられるとか。日本の投資家が超無邪気なのは、今に始まったことではないですけどね。

2014年5月28日水曜日

バンク・ローンのETF

http://mobile.bloomberg.com/news/2014-05-27/leverage-addicts-get-junk-loan-fix-with-derivatives-etf.html

私自身は、以前エコノミスト誌でも触れたとおり、一般的な(日本で素人の投資家を相手に販売されている)バンク・ローン投信には批判的なのですが、まともな人が運用するのであれば、このようなレバレッジの利用もありかと。日本で販売するには大変かも、と思ったら、上場だからなんでもありですかね。

2014年5月27日火曜日

バーチャル銀行

-- Young people open to alternative banking - http://www.ft.com/cms/s/0/4b268aac-e479-11e3-a73a-00144feabdc0.html

店舗が不要というのは、現金が不要だったら当然ですよね。紙がない世界と、ビットコインの唯一の違いは「融資=預金の増加」という信用創造の差だけですかね。

もともとペーパーレスになっている証券なんて、ますます店舗不要ですよね。

2014年5月10日土曜日

金利スワップの効果

固定払いの金利スワップは、トレーディング(MtM)の観点から見ると、金利上昇によって利益、金利低下によって損失となります。ただ、イールド・カーブには一般的にローリング・ダウン効果があるので、固定払いの側から入るとローリング・ダウンに勝たなくてはいけません。また、受け取る変動金利よりも支払う固定金利のほうが高いので、キャリーもネガティブになります。

短期金利と比較した上で固定払いの金利スワップの効果を「ヘッジ」という観点から見ると、金利スワップは別に金利上昇のためのヘッジにはなりません。というのも、イールド・カーブはある程度の金利変動を織り込んでますから、それを超えて短期金利が上昇しない限りは金利スワップなどやらないほうがいいわけです。

「金利スワップで固定金利を支払う側になるのは、金利上昇のヘッジになる」という表現は、一般論としては正しいのですが、実際には、金利が上昇したからといって別にヘッジになるわけではなく、金利が一定以上の水準を超えるリスクのヘッジになるだけなのです。金利スワップ裁判では、控訴審でこの議論がなされているのですが、説明の方法が情緒的過ぎたのか、なんか、ボタンの掛け違いになっちゃいましたよね。

ロンドンの住宅価格はバブルなのか?

バブルの定義は「基礎的条件(ファンダメンタルズ)から『価格』が乖離すること」であって、バブルで利益を上げるためには「次の愚者を見つけること」に尽きると。まったくごもっともですね。

だからといってバブルを止められるわけではないですし、「これはバブルだから、俺/私は参加しない」と言っている間に価格が上昇し続けると、その人が愚者に見えるという…。

2014年4月29日火曜日

信用創造その2

FT紙に、以前のコラムに対する反論が掲載されてました。前者は、民間の信用創造を禁止したほうがいいのではないかという、後者は、そんなこと無理だし、政府の赤字ファイナンスに紙幣が使われるほうがいいというのか!というモノですね。

個人的には、信用創造は銀行の決済機能に附随しているのでやむを得ないと思ってはいるものの、結果として銀行が事業会社に対してものすごい影響力を持つ(特に日本のように資本市場が発達していないとなおさら)のはいかがなものかとも思っていて、なかなかどちらに加担するという感じでもありませんけれど。

シャネルではない

日本ではあまり流行っている言いかたではありませんが、「ココ債」(Contingent Convertible:条件付き転換社債)の発行が増えてます。日本でも銀行が発行を計画している旨の報道が出ていますから商品性については詳しい人もいるでしょうけれど(もっとも「要は劣後債でしょ」という人も多そうですが)…。

今度はドイチェが発行を検討中というのがFT紙に出ていますね。

2014年4月25日金曜日

信用創造

-- Strip private banks of their power to create money - http://www.ft.com/cms/s/0/7f000b18-ca44-11e3-bb92-00144feabdc0.html

銀行は、信用創造の機能を通じて無尽蔵に融資を続けることができる一方で、事業会社は1円でも債務不履行を起こせば倒産の危機に瀕します。事業会社と銀行とが対等の立場で交渉をするというのは、その意味でありえないんですよね。

2014年4月11日金曜日

金融システムとハイパーインフレ

-- Only the ignorant live in fear of hyperinflation - http://www.ft.com/cms/s/0/46a1ce84-bf2a-11e3-a4af-00144feabdc0.html

金融システムの機能とハイパーインフレの起きなささとが直接関係あるとは思わないですが、信用創造の意味をたまに考えることは頭の体操になりますね。

2014年4月9日水曜日

手数料開示(英国の話)

-- Financial advisers fail on fee disclosure - http://www.ft.com/cms/s/0/13a3e030-be67-11e3-b44a-00144feabdc0.html

手数料を隠すのは、ちゃんと説明したら契約しないかも、と思っているからですよね? ちゃんと説明したら契約しないかもという内容なのであれば、ちゃんと説明したほうがいいのではないでしょうか。日本でも同じですが。

2014年4月1日火曜日

コベナント・ライトとサブプライム

-- Private equity needs less of a shadowy existence - http://www.ft.com/cms/s/0/f6190396-b8c2-11e3-835e-00144feabdc0.html

前回も、コベナント・ライトは流行っていたし、前回も、CLOの形で証券化されてましたよね。今回の危険は、CLOとレバレッジド・ローンが前回の危機をうまく免れたということで、市場が過信することですね。

ま、上手な運用会社は上手だということには変わりはないのだと思いますが。

2014年3月31日月曜日

アベノミクスの効果について

FTアルファビルに面白いコラムが出てました。

1) 実質GDPの伸びは大したことはないけれど、生産人口1人あたりでは着実に上昇している、つまり、人口の高齢化によってアベノミクスの効果は隠れてしまっている

2) 日本の製造業は、円安になっても価格を輸出価格を下げないので、実質(数量ベース)での輸出が悪化している → 粗利が増えるので国内商品に還元される可能性が高い

と読むんだそうです。ただ、日銀のインフレ期待操作はあまりうまくいってないじゃん!という評価で、まったくそのとおりのような気がします。

「消費税増税の影響は軽微にとどまる」とフィッチが

ほんまかいな、という気もいたしますが…。前回の増税のときの状況を詳しく調べてみると、そういう結論が導かれるんだそうです。

事後的な印象からすると、あの増税で日本のデフレは再度悪化したと見る向きが多いと思うのですが、面白いですね。

2014年3月29日土曜日

イギリスで保険会社が…

新規の契約者受け入れをやめた保険契約(結果としては団体保険ですよね)について、保険契約者が適切な扱いを受けていたかどうかを英FCA(金融行動監視機構)が調査するそうです。現在適切とされている販売手法を過去に遡ってあてはめるものではないとしていますが、保険会社の株は大下がりしたとか

バンクローン投信の裏付け資産について → 米金融当局が懸念?

まだバンクローン投信は流行っているのでしょうか?

バンクローン投信の裏付け資産はレバレッジド・ローンといって要するに投機的格付企業向け融資であって、きちんとした人がきちんと分析をしている分には、ものすごくリスクの高い類型に入るわけではありません。しかし、投資信託になると実際にはマーケットを買っているのと同じであって、ということは、市場がゆるゆるになってくるとその分リスクは高くなっていくと言えましょう。ゆるゆるというのは、具体的には、カネ余りで借り手優位になってくると、貸し手にとっては条件が不利になってくるわけです。

とは言え、日本人投資家のクセとして、行くときはガンガンいく(ま、販売するほうが悪いんですけれど)ので、ちょっと心配もあるわけですが、米国の銀行に対しては、FEDやOCCが警告というか、「ガイドライン」を出しています。ちゃんと見てはいませんが、日本でちゃんと報道されているのか、さらに心配なのは、日本でバンクローン投信を販売するときにちゃんとこの情報が開示されているのかちょっといやですよね。

2014年3月28日金曜日

CLOの「ブーム」

カーライルと、イギリスの3iがCLOを組成したという話がWSJ紙に出てました。CLOがブームだというのは、金融危機前みたいで、なんだか不思議な気がします。もっとも、金融危機後の好パフォーマンスを考慮すると、当然だと思ったほうがいいのかもしれませんね。

2014年3月27日木曜日

差し押さえ一戸建て住宅投資の業界団体

-- Securitisation industry lobbies on rental properties - http://www.ft.com/cms/s/0/1d040a72-b4f5-11e3-af92-00144feabdc0.html

一戸建て賃貸住宅は、資産クラスとしては歴史が浅く、証券化に際しても格付け会社間の意見が分かれているのですが、業界団体を作ったそうです。アメリカって、ダイナミックな国だなぁーって思いますよね。

2014年3月25日火曜日

日本の国債は大丈夫?という話

-- Japanese debt: Still climbing - http://www.ft.com/cms/s/0/1ccc6df2-a86f-11e3-a946-00144feab7de.html

ネタ自体に新鮮味はないものの、高橋(関根)恵子さんが『ピンク映画』のスターだったって、いつの話なんだろうという気がいたしますが。

2014年3月23日日曜日

金利操作で、米当局への表明と民事訴訟での主張とが異なっているという話(英国編)

イギリスの銀行が金利スワップの取引で変動金利を操作していたとして民事訴訟をイギリスで起こされていて、そこで、「金利操作は金融危機が最高潮だった一瞬しかしていない」と主張したそうです。

ところが、米司法当局との和解に際しては「2007年9月から2009年5月の間、少なくとも数回は」実際よりも低い金利に誘導しようとしていたとの表明が公開されていますから「それって、ヘンなんじゃないの」と言われているそうです

訴訟戦略では、どちらの当事者も結構ものすごいことを言うので、その一部かとは思いますが、ちょっと格好悪いですね。英銀の側は、本件の原告はこの種のリスクについて悪意だったと主張するのが趣旨のようですけれど。

2014年3月22日土曜日

失敗する自由とパターナリズム(投資編)

確かに、自由主義・資本主義の下では、投資に失敗する自由があって然るべきなのでしょう。

しかし、素人は知識がないから素人なのであって、それにつけこむプロがボロ儲けすることはあまり許されるべきことではないのでしょう。また、そもそも論として、一般論として誤った判断をすることを放置しておくことは、それはそれであまり許されないような気がします。

私自身は基本的には放置的自由主義者というか、リバタリアンなのだとは思いますけれど、それは自分の知識にある程度自信があるからであって、知識の乏しい人に失敗する自由を与えすぎるのはよくないようにも思います。

言ってみれば、西洋医学を全く信じないという人がいたとき、その人が西洋医学の素晴らしいところと限界を充分に認識した上で、それでも西洋医学を拒絶すると言うのであれば、それは、賛成するかどうかは別としてもその人にとっては正しい判断なのでしょう。しかし、横文字が嫌いだとか、刃物が嫌いだといった情緒的な理由で西洋医学を拒絶する人がいたとすると、一般的には、一所懸命説得を試みるのでしょう。

という話を、イギリスの年金改革の話についての記事を見て思いました。どの国も大変ですよね。この記事にあるように、確かに自由は確保しなきゃいけないのだろうけれど、一般論として正しい方向に導いてあげるというのは大事ですよね。

ただ、年金≒投資、ですから、これってもっと大きな意味があるようにも思います。要するに、「アホな投資はするな」というのをどこまでパターナリスティック的に押し付けるかです。高名な弁護士で金融機関側の人などは、どんどん失敗させろという論のようですが、それでいいんですかね。

2014年3月21日金曜日

一戸建て賃貸住宅の証券化とビジネスとしての格付け

ブラックストーンによる一戸建て賃貸住宅証券化はそれなりに物議を醸したわけですが、今度はコロニー・キャピタルによる類似案件が出ていて、クロールモーニング・スターがそれぞれ格付けを発表しています。

以前のフィッチがそうだったように、格付け会社もビジネスですから目立つというだけでひとつの存在意義になりますよね。その意味では、新興格付け会社としてはニッチを見つけたということなのかもしれませんね。

2014年3月18日火曜日

毎月分配型投資信託

日経朝刊に、毎月分配型投資信託で受益者勝訴判決が出たって出てますね。ちょっと、全文見てみたいです。

2014年3月15日土曜日

日本の銀行とPEファンド投資

Japan banks to sidestep Volcker private equity restrictions - Risk.net



ボルカー・ルールは面倒くさいですね。日本の銀行が米PEファンドに投資するのが煩雑になるというのは、誰のためにもプラスにならないような気はします。ただ、所詮その程度のプレゼンスでしかないというのもまた事実であり、それはそれで80年代後半の勢いを知っているとどうなのかしら、という気もしますが…。

2014年3月12日水曜日

英独利回り格差

-- UK and German bond yield gap widest since 1998 - http://www.ft.com/cms/s/0/fd8368f4-a93d-11e3-b87c-00144feab7de.html

昔は、利回りが高いほうはアカん国だったのですが、今は、ユーロ圏のデフレ期待・懸念象徴ですよね。世の中、変わるものです。個人的には、記事にあるとおり、英国債売り・独国債買い(ユーロ圏デフレ深刻化)のほうが可能性が高いように思います。

2014年3月11日火曜日

プライベート・エクイティとクレジット投資

-- Private equity: Apollo’s charge to the top - http://www.ft.com/cms/s/0/dd3c8c42-a825-11e3-8ce1-00144feab7de.html

出自がクレジットの人間としては、共感できる部分が多いですね。ピュアなエクイティとは発想の根幹が違うし、一方で『安全な』案件をやろうとして失敗する銀行屋さんとも違うと。

2014年3月10日月曜日

経常収支赤字は定着するのかしら?

「年度」というのがどのくらい適切な区切り方なのかは分かりませんが、H25年度の経常収支は赤字になりそうですね。

経常収支赤字は、簡単に言えば企業でいう経常赤字なので、これまで営業赤字の分を営業外の投資収益で経常黒字にしていたのが、そういうわけにはいかなくなってきたということですか…。

個人的には、まだ日本の産業を信じているところがあって、そもそも貿易赤字が定着するとも思いたくないし、ましてや経常収支赤字が恒常的になるとも思っていないのですが、仮にこの読みが間違っているとすると、日本の財政、少しだけ心配ですね。まだ大丈夫だとは思いますけれど、センチメントですからね、市場は最終的には…。

LIBORのときより凄いことに

日本で、為替レートを大銀行が操作していたという話が大騒ぎになっていないのはなぜなのでしょう。

LIBORはロンドンの話で、行儀悪い外国人の話ですから興味本位で騒げたのでしょうが、為替は直接、多くの個人・企業に影響を与えるため、大きな問題にしたくないという力がどこかからかかっているのかもしれませんね。

2014年3月7日金曜日

劣後債の実質的な買い戻し

Lloyds Bank Seeks to Swap More than $8 Billion of Bonds http://feedly.com/e/IeXIoixv

米銀は『状況の変化』コールで額面で償還してしまうという乱暴もするようですが、こちらはもっと穏当ですね。

2014年3月2日日曜日

年金が国債をすべて売却?

FT紙によれば、イギリスの大手年金基金が英国債をすべて売却して、アルセントラあたりが運用している中堅企業向け融資ファンドに切り替えたそうです。金利上昇による価格下落を気にしているというのもあるようですが、えっらい大胆なんですね。

私自身は、投資信託としてのバンク・ローンには実は相当懐疑的なのですが、クレジット投資専門の運用会社がやっているものはまた別だと思っていまして、その意味では、鋭い投資かもしれないとは思いますね。

法人格否認の法理

著作の一環で法人格否認の法理を調べようと思い民法を見ていたら:

756条
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない

というのを見つけました。英語でいうプリーナップ(prenuptial agreement)かいなーと思って、そういえば日本でも離婚増えてそうだし、などと思って登記統計を見てみると、平成15年からの10年間で、登記数は69件しかありませんでした。芸能人と結婚するIT長者の人とか、ちゃんとした弁護士が付いているのかしらん?などと思った次第です。

2014年2月28日金曜日

バブルの兆候?

-- WhatsApp and Tesla set the scene for soaring valuations - http://www.ft.com/cms/s/0/79bc9eca-9fcc-11e3-b6c7-00144feab7de.html

一瞬びっくりするような買収価格を、アナリストが正当化、もっと高くてもいいと言い始めるとバブルの兆候だとか。とりあえずWhatsAppをダウンロードはしましたけど、個人的には…。

2014年2月22日土曜日

イギリスの不動産市場

イギリスでは、超金持ちが住宅地の物件をガンガン買っているから、収入的に中の上程度にあたる人たちが人気の場所に住めなくなっているそうです、FT紙によれば

ただ、話はそれで終わりではなくて、そのような人たちが今度は通勤圏の郊外に移り住んでいて、オックスフォードのような学園都市が変わりつつもあるそうです

日本だと、昔は荻窪とか別荘地だったところですが、一部(南荻窪とか)が高級住宅地になっている感じよりもおそらくもっと深刻で、感覚的には国立に金持ちが大量に住んで、学生が住めない街になるような印象でしょうか(まだ国立はそこまでいかないようですが)。

通勤時間長いのは日本の専売特許ではありませんし、街中がダウンタウン化していないのも日本の特徴であるとは思いますけれど、頭脳労働者の労働時間長いのは日本の特徴ですかね。ま、貧富の差が少ないってことなんでしょうけれど。

2014年2月21日金曜日

劣後債買い戻し

-- Lloyds expected to offer Cocos swap - http://www.ft.com/cms/s/0/41a1ad44-9a4c-11e3-a407-00144feab7de.html

確かに、額面で償還するより親切だし、今後のことを考えると賢明なんでしょうね。

2014年2月19日水曜日

オランダの住宅バブル?

オランダの住宅ローン証券化市場は、もしかするとヤバかもっていう話が昨年あたりからちょこちょこ出ているのですが、このフィッチのレポート見ても、そういう匂いしますかね?

2014年2月18日火曜日

ドイツで不動産市場が過熱しているとか

-- German house prices overheating, Bundesbank warns - http://www.ft.com/cms/s/0/fc912b72-97cf-11e3-ab60-00144feab7de.html
独連銀が、ドイツの大都市での不動産価格が最大25%高すぎると言っているそうです。数字が具体的なのがドイツっぽいんですかね。

2014年2月17日月曜日

金利スワップは取引所取引

SEFの登場で、たとえば「金利スワップの取引は取引所で行われる」という記述が、誤りとはいいきれなくなりますね。昔っからのテキストは書き直さなきゃいけないですね、特に通信教育ものは。私のも含めて、単行本はやむを得ないと思いますけれど…。

企業間信用

-- UK manufacturers’ lending to customers rises to record levels - http://www.ft.com/cms/s/0/f83b6d24-9704-11e3-a274-00144feab7de.html

中堅企業の財務分析をやっていると、企業間信用の重要性を認識することが多いですが、イギリスで、大手製造業者が信用供与を増やしているという話です。日本みたいに総合商社とか、流通での卸の存在が軽いので、しょうがないというか、日本は日本でいいところもあるっていう感じですね。

2014年2月15日土曜日

プライベート・エクイティが凄い!

というのが、FT紙の有名記者、ジリアン・テット氏の見立てですね。

確かに、大手「代替投資運用」会社はどこもクレジット投資ビジネスを拡充させていて、日本でいうと年商10億を超えてくるとPE投資の対象になることからクレジット投資の対象にもなりますよね。彼我の差にはいつも愕然とするし、羨ましくもあるのですけれど、日本もいつかこうなってほしいものです。

ローマ皇帝クラウディウス債

クレディ・スイスが発行したクラウディウス債(SPCの名称ですけど)という劣後債の価格が大幅に下落(額面の107%から102%に)したんだそうです。劣後債の条項に「中核的資本(ティア1)に該当しなくなったら発行体が償還できる」というのがあり、そうでなければ来年にならなければ期限前償還できなかったのが今年期限前償還するからなんだそうです

で、英銀ロイズも似たような証券を発行していて、昨日の決算説明会で、やはり期限前償還する可能性が指摘され、額面の111%から9ポイント価格が下落したとか。

2014年2月11日火曜日

KKRが投資信託を閉鎖へ

って、最初どんな話かと思ったのですが:

1) 商品が洗練され過ぎていて、個人投資家には受けなかった

2) ハイ・イールド債への投資は差別化ができなかった

っていうことみたいですね。プロ向けのビジネスとリテール向けのビジネスが違うのは、KKRという名前をもってしても同じということで、納得するやら、悲しいやら…。

2014年2月8日土曜日

第百生命…

昔、第百生命とか、協栄生命とか、日本団体生命とか、東邦生命とか、千代田生命とか、日産生命とか、いろいろな保険会社があったのを、第百生命の住宅ローン(を新生銀行が買って)証券化案件のリリースを見て、思い出しました…。

2014年2月7日金曜日

証券会社の敷居とNISA

NISAの口座数が思ったほどではなく、かつ、ほとんどが投資経験者ばかりで証券会社が金融庁に文句垂れているという話がFT紙にでてました。松本さんがいう「ばかげている」という5年の投資期間については、私は必ずしも賛成しないというか、5年なら5年という制度にはそれなりに意味があって、口座数が増えないのはそれが理由ではないと思いますし、マネックスさんすら口座を集められていないのだとすると(なんかポーズのような気もしていますが)、それは、証券会社の敷居の問題というか、所詮ブローカーだと思われているからのように思います。

個人的には、NISAは投信を買うビークルだし、投信を買うなら銀行で買うほうが庶民にとっては合理的だと思ってますけれど…。ただ、銀行のほうが口座数はもっとひどい状況なわけで、となると制度に問題があるっていう話なんですかね?

超劣後債の格付け

http://m.ft.com/intl/cms/s/0/4d6efa3c-8f57-11e3-be85-00144feab7de.html

S&Pが、超劣後債(いざとなったら無価値になる)の格付けを下げるかもしれないというので、草案を公開、意見を募集中だそうです。

2014年2月6日木曜日

剰余金の配当と借入

投機的格付け企業向けの融資はまだまだ活発で、それを利用して、プライベート・エクイティ投資家がディビデンド・リキャップを盛んに行っているとか。剰余金を配当するには現金がなくてはいけないので、借入(バランスシートの右側)増 → 現金(左側)増 → 剰余金(右側)減 → 現金(左側)減 っていうことですよね。

日本では、減資が面倒なので自社株買いが多いようですが、コンセプトは結局同じですね。

独コメルツ銀がスペインの不良債権を処分

誰が買い手かは分からないのですが…。なんか、日本の10~15年前を見るみたいですね。もっとも、だからといって邦銀が他よりも進んでいるわけではないというのが悲しいところですけれど。

アポロのクレジット投資

http://mobile.businessweek.com/news/2014-02-05/apollo-credit-twice-size-of-buyouts-shows-private-equity-shift

プライベート・エクイティ投資で知られているはずのアポロが、実はクレジットでも凄いという話。クレジット市場のプロとしては嬉しい話である一方、彼我の差に辛くもなりますね。

アメリカの『影の銀行』

-- Shadow banks step out to fund mid-market corporate America - http://www.ft.com/cms/s/0/53fe5f0a-8e71-11e3-98c6-00144feab7de.html

アメリカで、影の銀行による中堅企業向け融資が比率を高めているとか。日本では、こうはならないんでしょうね…。

2014年2月5日水曜日

邦銀のプレゼンス(外国為替スキャンダル編)と日本のメーカーのプレゼンスの違いについて

WSJ紙によれば、ドイツ銀行が外国為替取引担当者を解雇、英銀ロイズは上級取引担当者を停職にしたとか。

これって、日本の自動車部品メーカーが海外で最近指摘されることが多い価格操作と似ている部分があるスキャンダルなのに、なぜ、邦銀は表に出てこないのでしょうか?

仮説1:日本の金融機関は清廉な人たちが働いているので、スキャンダルになるような行動を取るはずがない(証券会社なら別だけど…)

仮説2:日本の金融機関は、実は国際的なプレゼンスがなく、国際的な金融機関同士の仲間に入っていないので、結果として、仲間うちでの価格操作に入っていなかった


アベノミクスはまやかしだ(とフィッチが言っている)

フィッチは日本オフィスの人の問題なのでしょうか、日本ネタがすぐに日本語でリリースされずに英語で出されるという不思議さがありますね。

それはさておき、今日のリリースを見ると「日本の銀行業績にとって」という話ではあるものの、アベノミクスは今後はあまり追い風にならないという若干辛辣な話が出ています。実体がない、単なる雰囲気だけだからというのがその理由だそうで。ま、銀行のビジネス・モデルが薄利のまんまであることも指摘されていて、それはそのとおりなのですが、それは日本の社会の問題でもあるので、欧米と比較されてもなぁーとは思いますが…。

証券化と「預金との相殺」の件(オーストラリア編)

日本で90年代後半(銀行が自己資本比率だけでなくて資金調達にも困っていた時期)頃に証券化に携わっていた人たちなら、相殺リスクの議論はおなじみのはずなのですが、なぜかオーストラリアの住宅ローン証券化に際しての相殺リスクについて、ムーディーズが公開草案を発表しています。

議論自体は目新しくないのですが、久しぶりにこういう基本的な議論を見ると少し新鮮で、青かった頃を思い出したりいたします。

国の信用度と文化的資産

-- Italy accuses S&P of not getting ‘la dolce vita’ - http://www.ft.com/cms/s/0/6ed9649e-8dab-11e3-bbe7-00144feab7de.html

イタリアの会計監査院(ですかね)が、国の信用度評価には美術の価値とかも加味すべきではとS&Pを責めているとか。日本人の勤勉さとか加味すべきだし(されてるからダブルA?)、信用度の評価は難しいですよね。

Liborよかひどい

Forex allegations ‘as bad as Libor’ http://feedly.com/e/jDZHdZXO

為替レートの操作問題はLiborよかひどいという話。日本の『仲値』とか、ほんとそうですよね。

2014年2月4日火曜日

貸家証券化(ブラックストーン編)

ブラックストーンがREO(差し押さえ)住宅を取得、賃貸に回した上で、その資金の一部を証券化したのはついこの間で、格付会社間で意見が大きく割れたのも記憶に新しいところではありますが、FT紙によれば、一部の投資家が、スプレッド狭すぎたんじゃないの?と言っているとか、あるいは、資産クラスとしていかがなものかという懐疑派も多いとのことです。

ま、価格が下がっているかも、というのの根拠に最もリスクの高い証券が99円でオファーされていたことを挙げるのはおそらくあまり適切ではないのでしょうし、一部の投資家が懐疑的なのは、確かに証券化と名が付けばわからなくはないものの、それも「一部」と考えるべきなのでしょう。

実際のところは、トリプルAが適切かどうかはともかく、資産としては意味があるのだから、見守りましょ!ということのような気がします。ただ、確かにL+115はアグレッシブですかね…。CLO買えよ、という気もいたしますが、分散投資が重要ということなのかもしれません。

日本では…、うーん、そもそも中古住宅嫌いですもんね…。それはそれで別の問題なわけではあるのですが…。


自戒・反省と今後の相場について

先日の「旬刊経理情報」に、プロの見通しとして年度末(3月末ですね)に1万8000円という予想を書いたのですが、さすがに、あと2か月で、毎月2000円ずつ上がるのはちょっと無理ですかね…。ただ、6月末の予想は1万6000円ですから、それを先取りしたと考えればまだ救いがあるかと。

今回の下げのきっかけは昨日の米ISMということですが、トルコの超利上げもほとんど効果がなかったとか、新興市場の話であったり、米債務上限の話であったりということで、なにかあれば円高に行きやすいという読み自体はあたっていたものの、100円を中心に90円~110円という予想は、ま、はずれにくいわけで、特に自慢にはなりませんね。

国債が買われなかったのはなぜかしら? おカネ、どこにいっちゃったんですかね? 米国債????

グリーンスパン・プット

個人的には、アメリカの株は心配ないと思っていて、それは、いざとなったらFEDが再緩和すると見込まれるからです。かつてはグリーンスパン・プットなどと呼ばれましたが、イェレンさん、どうしますかね。

日本は、うぅーん、アベノミクスに実弾がない状況が続くと意外と弱いかもしれませんね。年末2万円の看板はまだ下ろしませんが。

2014年2月3日月曜日

ロンドンの住宅価格

London house prices heading for ‘bubble’ - http://www.ft.com/cms/1f02ede2-8a8f-11e3-ba54-00144feab7de.html

ロンドンではバブルっぽいという話だそうです。ただ、PERの議論と同じで、割高なものは割高であり続けることもあり、悩ましいところですね。

2014年2月1日土曜日

投資のプロなど存在しない

株の世界にはカリスマ・ファンド・マネージャーは存在しないという持論の私なのですが、クレジット投資は株と違ってあまりにも非効率的であり、その非効率性に儲けのチャンスはそれなりにはあると思っています。日本の場合は、別の意味で非効率(リスク対比のスプレッドが低すぎるのと、ディストレスは分析ではなくて賭けになってしまう上に数が少なくてリスク分散ができない)なのですが、それはさておき、英語圏の国ではクレジット投資で儲けるチャンスは充分にあると思っています。

CLOは、日本では、銀行のバランス・シート対策として導入されましたが、海外では90年代後半から、運営会社の資金調達手法でしかない、いわゆるアービトラージ型のほうが主流となっていました。S&Pが「過去20年のCLOを見ると、安定しているよね」というレポートを出しているのですが、ま、業界長い人間から見ると、当然だよねっていう感じですね。

2014年1月30日木曜日

中国の影の銀行救済について

これって、日本で大きな話題にされてましたっけ?

中国では、信託を利用して資金を集め、信用度の必ずしも高くない会社に融資をする『影の銀行』商品を、銀行が扱っているという(ウソのような笑い)話があるのですが、そのでっかいのがヤバいのではという話がありました。結局、金利の一部はおしゃかになったけれども元本は守られたという話なのですが、これについてモラル・ハザードというか、結局、問題先送りじゃないのという話を格付け会社がしているとFT紙に出ていました

格付け会社に指摘されるまでもないとは思いますが…。いちおう、フィッチS&Pムーディーズ(P12)、それぞれ元ネタを見つけたので貼っておきます。

2014年1月29日水曜日

コンティンジェント

コンティンジェントとつくものに、ま、ロクなものがないのは金融界では常識でして、コンティンジェント・ライアビリティーズ(偶発債務)は、もっとも現れて欲しくないときに現れますし、一時期某保険会社が得意にしていたコンティンジェント・キャピタル(投資先の自己資本比率が低下したときに引き出される出資義務)も、相手が潰れかけたときに引き出されるわけですから大変ですよね。

CoCoと呼ばれるのはシャネルとは全然関係なく、コンティンジェント・コンバーティブルと呼ばれるヨーロッパの銀行が発行している超劣後債で、銀行の側が勝手に自己資本にしちゃうかもしれないというすごいやつです。ところが、通常の株式と違い、配当原資がある限りは固定利率で配当を支払うため、特にアジアでクレジット投資家に人気なんですね。

世の中に美味しい話がないというのは、80年代後半から90年代前半にかけてリース会社向けに大量に発行されたVRNでみんな気付いているでしょうに、と思っていたら、そもそも90年代のこと覚えている人自体、世の中では化石化しているんですよね。アジア通貨危機とかLTCM危機とかロシア危機とか、みんな、歴史の教科書で読む話だったりするわけで、我々の世代にとっての中南米債務危機やS&L危機と同じなのかもしれません…。

2014年1月27日月曜日

モバイル端末に食われるか…

ソニーの格下げが今日ムーディーズから発表されていましたね。Ba1というのは、それほどひどい格付ではないのですが、投資適格と投機的格付とはやはり異なりますから、それなりのインパクトということになるでしょう。

文章を見ると、ようするに、ソニーのメインのビジネスであるエレクトロニクスはモバイル端末に浸食されてしまっていて、どんどん儲からなくなると…。大型画面なんてそんなに必要ないということを悟った消費者は手軽さに流れるということなのかもしれませんね。

ま、海外の格付け取ったら投機的格付けになるから日本の(しかもJCRだけだったりする)格付けしか取らない会社も多い中、あまり気にしなさんなと思いますけれど。格付け下がったことで騒ぐのは、財務分析能力がないことをひけらかすようですしね。

2014年1月18日土曜日

邦銀の国際プレゼンス

別にプレゼンスが高いことに意味があるとは必ずしも思いませんが…。

日本の銀行は、いわゆるリーマン・ショックに際して「周回遅れ」であったために大きな被害を免れ、その後、国際金融市場ではそのバランス・シートの健全さで括目されているのは報道のとおりです。

しかし、プレゼンスってなんですかね? というのも、日本はいまだに貿易量としては相当な国であり、当然、それに伴って為替の実需取引は沢山あるはずですし、日本の投資家の海外投資、海外の投資家の日本投資と、資本取引も活発なはずなのですが、日本の銀行の為替の取引ってどうなんだろうとあらためて思わされるのが、昨今の外為スキャンダルです。HSBCとシティも取引担当者を停職処分にしたというのが報道されています

確かに、市場を操作しようとするのが悪いことなのはそうなのでしょうし、それをやっていなかったことが悪いはずはありません。しかし、実際には周回遅れの件と同じで、結局、国際的な為替取引のお仲間には入っていなかったというのが実情ですよね。なんかちょっと情けないと思うんですけど。

アイルランド格上げ

ムーディーズがアイルランドの格付けをBaa3に格上げしたそうです。機会ある度に書いているのですが、投資適格と投機的格付けの分けかたに本質的な意味はまったくないと思っていますが、ま、アイルランドにとってはいいニュースですね。ダブリンは一度だけいったことがありますが、いいところでした。

2014年1月17日金曜日

オランダ風ユーモア

Call me madam: Chairman’s bank lessons - http://www.ft.com/cms/s/0/156fa152-7ece-11e3-8642-00144feabdc0.html

日本で同じことが起きるか想像すると…。

2014年1月16日木曜日

ヨーロッパで不動産投資熱が再燃とか

Investors pour into European property - http://www.ft.com/cms/b86aa254-7dd8-11e3-b409-00144feabdc0.html

過剰流動性のひとつの帰結ですよね。株高だってバブルと言えなくもないわけで。超デフレと比較したらこのほうがいいんでしょうけれど。

2014年1月14日火曜日

日本の『証券化商品』の格付け動向

どうも『証券化商品』という日本語は好きではないのですが、他に、いろいろなコンセプトを簡単にまとめることができないので、やむを得ないのでしょう。ちょうど、CMBSを「商業用不動産証券化」と訳すようなものというか、商業用不動産ってどういう意味だかよくわかりませんし、不動産証券化ってなんのことなのか実は理解不能ですが、直訳と、言葉のまとまり具合で、しようがなくみんなが使っているんでしょうね(って、もちろん、なにも考えていない人も沢山いるでしょうが)。

ところで、昨年第4四半期の日本の証券化商品の格付け動向についてのレポートがフィッチから出ているのを見つけたのですが、なんで英語しかないんですかね? 筆者の方はお名前から判断すると日本人の方だと思うのですが、最初から英語でレポート書いているんでしょうね。

もはや日本は輸出大国ではない

"Japan No Longer an Export Powerhouse - Real Time Economics - WSJ" http://feedly.com/k/1drTVW0

そうでしょうね。そんな気がします。所得収支がプラスならいいんですけどね。

米司法省と円Libor

http://www.justice.gov/opa/pr/2014/January/14-crm-038.html

ちょっとびっくりですね

現金で買収

サントリーが『現金で買収』と聞くとすごいですが、買収対価に株を交付しないということですよね。しかも、融資も利用するということですし。言葉のインパクトほどは凄くないのかもしれませんね。

2014年1月13日月曜日

スコットランド独立と英国債

仮にスコットランドが国民(っていうんでしょうね、気質を考えると)投票で英国(っていくか『連合王国』ですか)からの独立を選択したとしても、英財務省は既発行の英国債(ギルト)の元利払いを保証するという声明を現地時間の今日(13日月曜日)発表するそうです。スコットランド独立の可能性はあまり高くないらしいですが…。

バーゼル3

いわゆるリーマン・ショックのあとで金融機関の経営が不安定化したのはもう5年以上前のことなのですが、類似のショックに対応するための銀行の自己資本・流動性規制はまだ策定中なんですよね…。FT紙に、レバレッジ比率規制で若干の緩和が図られるというニュースが出ていたので久しぶりにBISのホームページを見てみたのですが、レバレッジ比率の話のほか、流動性リスク対策の「安定調達比率」なるもののも出てますですね。

レバレッジ比率については、一定の相殺を認めるという話で、ま、これまでのレバレッジ比率が若干きつすぎるきらいがあったのでバランスをとったということかと思います。安定調達比率もそうですけれど、若干あらすぎる気がしますが、そもそもルールを細かくするとその分、頭のいい人たちがよからぬことを企てるという側面があるのは確かなので、やむを得ないということなんんでしょうね。

<追加>
WSJ紙にも(当たり前ですが)ニュースが出てますね。論調はほぼ同じです。

2014年1月12日日曜日

デリバティブの教科書

いわゆるデリバティブが金融機関の中枢業務のひとつになってから四半世紀ですが、デリバティブ関連の入門書とか通信教育は、いまだに、金利スワップ、通貨スワップの2つがスワップの中心であって、クーポン・スワップは通貨スワップの亜流という考えかたをしている一方、いわゆるベーシス・スワップについてはほとんど触れないという状況が続いていますね。少なくとも日本で対顧客ビジネスをやるという意味では:

① 金利スワップ → 確かに、ブート・ストラッピングとかディスカウント・ファクターとかの金融工学の基本を知る上では有効な考えかたが多いし、市場での(=銀行間での)取引量は圧倒的に多いので有用

② 為替予約

の2つを教えた上で、実際の取引量としては多いクーポン・スワップを中心に説明すべきなんでしょうね。だって、世の中の多くは中小企業であって、中小企業相手のデリバティブなんて、ほとんどがクーポン・スワップ(というか長期平均為替)の変形ばっかりですもんね。

もちろん、ちゃんと教えたからといって担当者がちゃんと理解するとは限らず、ちゃんと説明できるとも限りませんし、まして、レシオだギャップだノック・アウトだなんていうのを顧客に覚悟させるだけの説明ができているかどうは別の話なのですが。

ただ、業者の側がちゃんと説明しているのに、顧客の側が凝り固まって聞く耳持たない(リスクの説明を聞かずに、メリットばかり追求する)ときがあるのも確かなので、それはそれでどうしようもないらしいです。

グリーン・ボンド?

ワクチン債とか、なんか日本の証券会社が個人向けに販売しようという債券は胡散臭いに決まっていると思っていたのですが、グリーン・ボンドなんてあるんですね。ただ、一応ちゃんとした発行体がちゃんとした目的ではっこうするならいいということなのでしょうか。

販売する側にも矜持が必要だし、その意識をきちんと発行体に認識してもらいたいと言うのが、業界基準設定の趣旨のように思われます。ひどいのも(昔は)あったということを示しているだけという説もありますが…。

2014年1月8日水曜日

確かにロンドンはいいところだけれど

ロンドンへの外国人の不動産熱ってなんなんですかね? もちろん、アメリカと違って政治的に中立性が強いので、中国やアラブの人たちが投資しやすいっていうのはあるんでしょうけれど(ユーロ・ドルの歴史?)…。

って、私も、機会があれば住みたいとは思います。冬はやですけどね(って米東海岸もちょっとツラいですかね)。

2014年1月7日火曜日

なかなか円安一本やりとはいかないようで

日商会頭が継続的な円安に否定的に受け止めているやの報道がロイターに出てましたね。「円安で株が上がるのがおかしい」というのはごもっともなのですが、ま、市場なんてそんなものなんでしょうという気もいたします。

ま、ドル円のリスク・リバーサルを見ると、プット優勢が収まらないどころか若干加速しているところでもあり、この水準だと安くなったプットを買う動きが出ているっていうことなのかもしれませんね。