2015年7月18日土曜日

デラウェア州リミテッド・パートナーシップ

昨日(7月17日)、最高裁で、「米国デラウェア州法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップが行う投資事業に出資した者につき,同人の所得の金額を計算するに当たり,当該事業により生じた損失の金額を同人の所得の金額から控除することはできないとされた事例」という判決が出ています。

事案としては、組合事業の赤字を個人が取り込めるかどうかが争われたもので、結論としては、この組合は法人と同じなので、法人の出資者が法人の損失を取り込めないのだから、ダメよというものでした。

その理由は、同州のリミテッド・パートナーシップ法に基づくと、同州のリミテッド・パートナーシップは「自ら法律行為の当事者となることができ」る上、「法律効果…帰属するものということができる」から、「所得税法2条1項7号等に定める外国法人に該当するものというべき」なのだそうです。

一般論として、リミテッド・パートナーシップの権利義務はパートナーシップには帰属せず、ジェネラル・パートナーに帰属すると考えると思っていたのですが、これはデラウェア州法に特有の論点なのかどうかは検討の余地がありそうです。仮に、世の中で一般的に用いられているケイマン、ジャージー、ガーンジーあたりのリミテッド・パートナーシップについてもすべからく同じようなことが言えるのだとすると、結構イヤな判決ですね。

下手をすると、リミテッド・パートナーシップの段階で出た損失は、「法人に対する出資」という理由で出資者の損金にならず、一方、利益が出た場合には、仮に分配しない場合であっても、その年度分の利益をタックス・ヘイブン課税として全額日本で課税される可能性が残ります。もともとの意図が節税であったのだから、それをよしとせずというだけならともかく、そのような限定をした判決ではないので、大変気になるところと言えましょう。

日本から、海外のリミテッド・パートナーシップの投資は、判決の事例のような信託を通したものを含め、多く見られるように思われます。ちょっと考えさせられますね。

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