2015年7月19日日曜日

デラウェアには限らないものの、法人課税には関係ない事例判決なのかしら?

昨日から、例のデラウェア州リミテッド・パートナーシップの判例を見ているのですが、仮にこの契約形態に注目したとしても、今後、同州リミテッド・パートナーシップが日本の税法上すべて法人として扱われると考えるべきなのかどうか、悩んでいるところです。

というのも、個人の所得税の計算上、ある所得が不動産所得か雑所得かというのは、節税上よくある議論であって、(実際に裁判所がそう言うかどうかはともかくとして)妙な節税は認めないヨンというのがこれまでの流れかと思います。そのような結論があって、そこから理屈をつくっていったのだと思ってこの判決を見直してみると、結論としてはまあ納得できるだけに、説得力は相応にあるように思います。

一方、これが法人税という局面で、かつ、特に節税の意図がない場合にまで拡張されるのかというと、そうではないように思います。一般論として、組合契約にはパス・スルー性があると信じられていて、組合利益にはプロラタで日本の法人税が課税されているわけですから、ことさら、組合が日本の税制上法人であるとするメリットはないように思えます。

特に、単なる出資者(過半数の持分を保有していない)場合を考えると、多くの場合、利益を得るために出資をしていることが予想され、その場合、組合契約であれば組合利益は分配の有無にかかわらず日本で法人税の対象になりますが、法人格ありとされると分配があるまで課税の繰り延べとなるわけで、初期のマイナスがあるじゃんという議論はともかく、一般論としてはあまり課税当局にメリットがあるようには思えません。

なので、デラウェア州に限らず、個人の節税のためにリミテッド・パートナーシップで償却をとりにいくときには雑所得とみなすため、また、個人の段階での事業性はないものとして、法人格ありとされるものの、法人が一般的な投資として利用する上ではこれまでと変わらないというのが今後の運用になるような気がしています。一般論として、海外リミテッド・パートナーシップは税法上は法人であるとは言えないのではないでしょうか。

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