2010年5月26日水曜日

究極のプライベート・バンクとは

日本では、プライベート・バンクは「カネ持ち相手に、業者の都合のいい(=儲かる)金融商品を売り付ける」という位置付けになっています。リーガル・エンティティが証券会社であれば仕組債、銀行であれば仕組み預金という形ですし、不動産に投資させることをプライベート・バンクと称している人たちもいるようです。
カネ持ちの人達がなにを求めているのか、また、そもそもすべての金融資産をさらけ出すのかという点については疑問点が多いのも事実ですが、本来あるべき姿というのは:
  • すべての資産運用について相談に乗り、適切な助言を与える
  • 必要に応じて、税理士や弁護士とも連携する
ということではないかと思っていまして、本当に日本の法制度でこれができないのかどうか悩んでいます。一番近いのは信託なのでしょうが、考えるだけで面倒臭そうですね。でも、投資ビークルがないからサービスが提供できないというのは本末転倒のような気がしていまして、本来的には、助言をして、その助言に対して対価が得られるのが筋なわけです。
確かに、日本人はサービスは無料だと思っているという傾向は変わらないと思いますが、こと運用に関しては、そろそろ「タダほど高いものはない」ということが浸透しつつあるような気がするのですが…。

ロングとショート

皆が疑問に思っていて、誰も答を言ってくれなくて、でもあまり声を大きく言えないこと。なぜネイキッド・ショートはダメで、その反対はいいのでしょう? 値段が下がると思うのは悪で、値段が上がると思うのは善というのは、確かに、インフレとデフレとどちらが人類に壊滅的かという過去20年程度の歴史を見ればそうかもしれませんが、ハイパー・インフレの時代に戻るのはいいという理屈には納得できないように思います。
ネイキッド・ショートを禁止するのであれば、逆に、株式を購入する場合には、その資金が借りたものでないことを証明させる、ネイキッド・ロングも禁止させるべきだと思います。

ヨーロッパの銀行の資金調達

サブ・プライム後の金融危機に際して、多くの銀行が簿外でSIVと呼ばれる短期CP発行媒体を管理していて、そこの資金調達ニーズはすさまじいものがありました。誰が、どれだけ、いつドル資金を必要とするか分からないし、SIVを助けるとなると果たして体力が持つかどうか分からないという信用度に対する不安もあり、というのがお互いに疑心暗鬼を呼び、金融機関同士で資金を融通しあう市場がマヒすることとなりました。その結果として、たとえば、「これ以上隠すことはない」ことを示すためを含め大銀行がSIVを連結対象にした上で解体するといった措置も見られました。
現在ヨーロッパで起きていることはそれに近いと言えば近いのではないかと思っていまして、本源的にドルの預金を持っていないヨーロッパの銀行は、国際業務でドル資産を保有していますから、銀行間で調達せざるを得ないわけですが、誰が、いつ、どれだけの資金を必要とするか分からないので疑心暗鬼になっているんですね。しかも、ギリシャ問題もあって、各銀行の信用度もあまり信用できないとなると大変なんでしょうね。
市場で注目されているのは、ひとつはTEDスプレッド、もうひとつはLIBORとOISのスプレッドで、前者は、たとえば3か月の米国債(トレジャリー・ビルのT)と銀行間金利(ユーロ・ドルでED)の差ですから、これが開くということは、リスクのないおカネの値段と、銀行の倒産リスクとが分かるというものです。OISは翌日物金利の将来の予測と考えればよくて、さすがに明日は潰れないでしょうというのの積み重ねと、たとえば3か月後には銀行だって潰れるかもね、というのの差が現れてきます。
報道を見る限り、英独仏の大銀行もドル調達に苦労しているようで、そもそもユーロ・ドル市場が発達した原因となったアラブの資金はどこへ行ったのかしらという気がいたしますが、まだまだ注目のようです。

2010年5月23日日曜日

みな分かっていることとは思いますが

貸金業法改正の完全施行が迫っていて、影響緩和策などがいろいろ出ているのですが、どうも議論が偏っているというか、腑に落ちないことがあります。それは、自己破産(民事再生でもいいのですが)に対する社会的な蔑視をやめさせることで、そのための手続きの簡素化というか、法律なのかカウンセリングなのかわかりませんが、もっと気軽に自己破産ができるようにしなくてはいけないと思うのです。
多重債務問題もそうですし、今回の総量規制もそうですが、要するに、借りられない金額を借りてはいかんということを、高い立場から法律という形でお上が仕切りましょうというコンセプトですよね。それはそれで日本的でいいとは思うのですが、そこには「借りたカネは返さなくてはならない」という道徳心が隠れていると思うのです。
もちろん、一般論としてはそれは正しいし、それがなければ契約社会が成り立ちませんから、民事訴訟や民事執行をつかってガンガンやってほしいわけですが、一方で、倒産法制がここまで整備されている中、法人、特に株式会社だけが借金踏み倒しOKというのはおかしいのではないかと感じています。倒産は、知識があって、高価な弁護士を他人のカネで雇える会社にやたら使い易く出来ていますが、本来の精神は、苦境に陥った債務者を、債権者平等の精神を以てすくってあげることが社会的にはプラスということがあるはずで、それは、債務者が個人の場合にこそ一層重要なような気もするのです。
なーんてことは、きっと私がいわなくても指揮者の方がいろいろなところで言っているはずなのですが、ちょっと言ってみたくなりました。

時代は新興国なのか

個人の資産運用について考えさせられることが最近多いのですが、目先の損得ではなくて、長期的に考えると、新興国って重要なのかもと思うようになっている自分に気づきました。もちろんひとつのきっかけはギリシャ問題であって、結局、先進国の人たちだってロクなことをしないとも言えるわけです。あとは、これは個人的には常々思っていることではありますが、やはり、人類の歴史上、低成長の先進国から、高成長(+人口増加)の国に資金が向かっていくのは当然なんだろうと。
もっとも、往々にして高成長国は法制度が相対的に脆弱であり、コーポレート・ガバナンスも先進国ほどではないという弱点があり、かつ、高インフレは通貨のリスクもあるし…。本来的には、そのような点をきちんとプロが判断してくれる投信が一番いいはずなのですが、投信は投信で金儲け主義がはびこっているので信用できないんですよね。
自分ではじめるか、というわけにもいかず、かといって納得できる商品が世の中にはなく、なかなか悩みは深いです。

ニューヨーク州知事選挙

スピッツァー氏が知事になる前は州の司法長官で、彼が例の高級コールガール事件で対象したあとを受けた副知事もスキャンダル絡みで再選を目指さないということで、民主党のほうはまず候補者選びからスタートするわけですが、昨日、現在の州司法長官で、お父さんも州知事だったクォモ氏が立候補を表明しましたね。民主党候補の指名選はまずまちがいなく大丈夫らしく、この11月の中間選挙に合わせて行われる知事選はクォモ氏対共和党候補となるようです。
米国では、さまざまな公職が選挙で決められ、選挙に際しては往々にして民主党か共和党かをはっきりさせ、対立候補が出てくるのが一般的です。これは、司法長官も例外でもなく、その意味では連邦の司法長官のように、選挙されるのではなくて指名されるのとは随分違う、もともとが政治的なポジションではあるんですね。
共和党の指名選を争っている有力候補のうち一人はラツィオ氏で、2000年(ブッシュ対ゴアの大統領選の年)に、ヒラリー・クリントンがNY州から連邦上院議員に立候補したときの共和党側の対立候補でした。久しぶりに見たら、それなりに年齢も召しているし、太ったんですかね? 自分は10年前と変わっていないと思っているのですが、他人から見ると同じ(随分変わったと思われている)なんでしょうね。

2010年5月20日木曜日

フリーコノミクス的な考察

東京体育館のプリペイド・カードには3,000円で3,500円分になるのと、5,000円で5,900円分になるのとがあります。正規と言いますか、一見(いちげん)さん料金は600円(プールの場合、2時間)なので、3,000円のプリペイド・カードを買うと、1回あたりの料金は、600円/回×3,000円÷3,500円≒514円29銭/回となります。同様に、5,000円のプリペイド・カードだと、600円/回×5,000円÷5,900円=508円47銭です。
この価格設定を見ると、3,000円分のプリペイド・カードは買ってほしいが、5,000円分のプリペイド・カードと3,000円分のプリペイド・カードはほぼ中立というか、どうでもいいと思っているように思えます。考えかたにはいくつかありますが、たとえば:
  • 3,000円の投資で500円儲かる → 儲け率は16.7%(500円÷3,000円)
  • 2,000円の追加投資で、さらに400円儲かる → 儲け率は20%(400円÷2,000円)
と、確かに動機付けとしては強いものの、既に16.7%のリターンを得ている人に対しては動意が弱いのではないかと思います。ま、そんな複雑な考えかたをしなくても1回600円が1回514円になると思えば安くなったと思いますが、1回514円が1回508円になったところで、安くなったとは思えないですよね。
おそらくですが、3,000円のプリペイド・カードを買うような人は、その時点でリピーターになることを確実視していて、さらに価格を下げることでより多く来てもらうメリットがプール側にないのでしょう。プールは典型的な装置産業といいますか、変動費がほとんどないビジネスですから、営業日は客が10人だろうが100人だろうがかかるコストは同じわけで、カネ払ってくれる人はみなありがたいのですが、どうせ来る人にサービスする必要はないということなんでしょうね。
なお、東京体育館には、ジム同様月会費で使い放題というプランもあるのですが、そうなると月5,800円です。プリペイド・カードで単価を514円29銭、または、508円47銭まで下げていると、12回以上泳がないとモトが取れない。うーん、このあたりの価格設定も不思議というか、是非、背景を聞いてみたいものです。