2011年4月26日火曜日

東京電力…

 とある人から、東京電力が今後どのようになるかの見立てを尋ねられたので回答したのですが、せっかくなので…。

~東京電力の今後について~

 東電さん単体では、直接・間接の賠償金の支払いは無理だろうとは思っています。一方、賠償金を払えないから倒産するということが許されるはずもない。

 ということは、国が関与して、賠償金をしっかり払う仕組みをつくるということで、これは、どのような形であれ実質的には国有化だと思います。

 よくある議論で「東電は絶対に儲かるんだから長期的には賠償金負担はできる」というのがありますが、あれは消費者と資本主義を軽視した話であって、仮に 東電がずっと儲け続けられるんだとすると、そういう制度・枠組みだからであり、結局恣意的・政治的なものに過ぎません。米国のように独立系の発電会社がいくらもあったら地域独占の電力会社など要らないかもしれないわけで、議論の出発点が間違っています。電力会社が必ず儲かるのだとすると、それは、形を変えた税金に過ぎない(制度設計で税金に見えなくしているだけ)と思います。

 ですから、今後どうなるかは政治決着でしかありえなく、予想をしてもしょうが ないとは思いますが、ま、先送り、つまり、政府がとりあえず負担しておいて、あとは東電に利益を上げ続けさせて回収するという仕組みでしょう。どうあるべ きかではなくて、どうなるかの予想はここです。つまり、社債はデフォルトしないと。となると、完全な国有化はなく、せいぜい、優先株でしょう。普通株で希 薄させてもいいのですが、そうすると、国への配当金を増やすと一般投資家の配 当も増えるわけで、さすがにそれには抵抗はあります。上場は維持されるということでしょうね。

 言ってみれば、体のいい証券化ですね。アメリカのタバコ訴訟のときのように、 州政府への賠償金は長期分割払いだけれども、州政府はその受け取り権を証券化してしまって手前で受け取るというのがありましたが、それに近いことが起きるのでしょう。まずは政府(なり新しいなんちゃら機構)が負担しておいて、東電が時間をかけて返済すると。

 なお、なにがフェアかという意味で考えると、株主・債権者の負担はもっとどうどうと議論されるべきであり、社債の一部元本カットと利息の棚あげくらいは当然ではないかと思います。仮に東電に利益を上げ続けさせるのだとすると、関東地方の人だけが負担することになりますが、原発は国の問題でもあったわけで、 その失策を関東の人だけが負担することは公平ではありません。たとえば社債の10%カットで5000億円を捻出、また、利息の棚上げ分を新株にして既存株主を希薄化させる、くらいはすべきだと思います。

 繰り返しになりますが、これはもう政治の話なので、私が(特にクレジット系)市場のプロとかそういう問題ではなく、(増税による被害者への補償を含め)だれが負担するかというだけの話だと思います。社債権者が一定の負担をするのは当然だと思うのですが?

 なお、当然そのときには特別立法が必要ですね。東京電力更生法(あるいは、原子力事業者の更生手続きに関する法律)とかを作ればいいのですが、ま、政治主導というお題目が行動力につながるとは思っていません。

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