2014年9月27日土曜日

フランス料理と金融規制

FT紙のアンダーカバー・エコノミスト欄に「規制は難しい」という話が出てました。

フランスで、工場で作られた飯を温めて出しているだけという例が増えているというのはよく報道されている話だと思うのですが、それに対応する形で、レストランはメニューに「この場所(レストラン)で作りました」マークをつけなくてはいけなくなったそうです。蓋付ソースパンがそのマークらしいのですが、それはさておき、どんな規制も同じで、そもそも自家製とはなんじゃという話のほかに、本当にそれでフランス料理の質が守れるのかという話も出てます。確かに、ヘタなパン屋さんの食パンよりもスーパーで売っている食パンのほうがおいしいかもしれないし、ベーグルも専門店で買うよりもも冷凍ベーグルのほうがおいしいかもしれないですよね。でも、それを区別しないじゃんという話でもあるわけです。

で、レストランというか食い物については、結局、高くてまずいものを食わない消費者ばかりになればいいという話になるわけですが、それに対して、へんな金融商品は買わないやつがいればそれでいいという話ともつながります。「そりゃそうなんだけど、消費者ってそんな賢くないよね、だから、政府が守ってあげることも必要だよね」という立場が出てきます。このコラムの結論は「なかなか難しいよね」でしかなく、金融商品についても同じなのですが、ま考えさせられますよね。

ローンで買った車にGPSが装着されていたら

という話が以前NYT紙に出ていたのですが、その反響がすごかったという続報がまたまた同紙に出てました。ストラクチャード・ファイナンス屋という立場から見ると、担保資産の価値を保つためにはこの程度のことは当然のような気もするのですが…。

日本では、一般論としては自動車ローンの証券化では担保価値はほとんど考慮されていないので、証券化のためにこのような手法が必要なのかは懐疑的です。ただ、結局のところ、自動車ローンと自動車リースとは同じ経済効果ですし、リースとレンタ・カーも同じだという考えると、レンタ・カー会社が貸した自動車をこのように管理していても不思議ではないわけで、であれば納得ですよね。住宅ローンを安心して貸せるのは、担保である家が動かせない(不動産)だからというのもあるわけですし…。

ICチップが小型化すれば、割賦販売の対象とかみんなこうなっちゃうのかもしれませんよね。もっとも、現金一括払いで買ったときに装置を外す手間とかを考えると、そんな世の中にはすぐにはならないのかもしれませんが。それより、飲酒した人は運転できなくすることを考えるほうがいいのかも…。

資産運用とコスト

他人に資産を運用してもらおうと思うのであれば、一定の手数料がかかるのは当然ですよね。タダで働く人はいないわけですから…。ただ、一般論としてサービスはタダだと思っている人が、一方で、投資運用商品のコストには無頓着だというのは非常に面白い現象ですね。結局、どこかで手数料を得ない限りサービスを提供する人はいないわけで、目に見えるあるいは意識できる手数料を納得づくで払うほうが安上がりなのに、目先のおカネを払いたくないから隠れた手数料をたくさん払っているというのが、一般的な姿なのでしょう。

カルパースがヘッジ・ファンドの運用をやめるというのが結構でっかいニュースになりましたが、1週間経ち、「やっぱり手数料よね」という話があちこちで出てきているようです(たとえばこれ)。カルパースは納得づくで払っていて、その効果がないと思って手数料払うのをやめる(つまり、運用委託をやめる)わけですが、私たちはみな、こうあるべき、あるいは、こうありたいという気がいたします。

2014年9月26日金曜日

ヘッジ・ファンドがいつも成功するわけではない

シアーズの大株主がヘッジ・ファンドだとは知りませんでしたが、NYT紙のディール・ブック欄によると、結構大変みたいですね。

ま、ヘッジ・ファンドが常に成功するわけではないし、本当にリスク・リターンが見合っているのかというのは、カルパーズのこないだの発表からも懐疑派が増えているということなのでしょうけれど。

2014年9月20日土曜日

デフォルトのリスク

社債には、発行会社の倒産リスクがあります。これは、理論的には誰でも知っているのですが、たいていの場合、倒産はそんなに滅多に起こることではありません。もちろん、ファイナンスに関係のない統計専門職に言わせればそれは「確率的」なものであって、滅多に起きなくても確率的には必ず起きるわけですし、ファイナンスの専門家であれば(本来であれば)どの社債がデフォルトしないかを事前に知ることは不可能のことを知っているべきです。

なので、社債投資で儲けるためには、予言者であるか、ラッキーであるかいずれかである必要があります。ところが、後者の場合は、それは「投資」ではなく「投機」のカテゴリーに入ることは言うまでもありません。それをわかっていて社債を買うのは自由ですが、わかっていないのであれば(覚悟ができていないのであれば)どうだかなぁーと。

WSJ紙に、ヨーロッパのジャンク債市場でリスクが再認識されているという話が出てまして、フォーンズ・フォー・ユーという会社の社債が100円から20円程度まで数日で急落したそうです。100円の社債が180円になることはあり得ませんから、以下に非対称的かわかりますよね。それでも社債を買うんですか…。私は親には絶対に勧めませんけれど…。

2014年9月15日月曜日

猫債

WSJ紙のHeard on the Streetコラムに、再保険会社が大変だわなというが出てました。米国のハリケーンといった、保険に対する需要が強く、高い保険料を取りやすいリスクについてはCAT債との競争になっており、従業員や経営者のリスクについては保険への需要が低くて保険料が取りにくいと。しかも、金利が低いので、後者の保険料の運用で稼ぐのも難しいんだそうです。

ただ、同コラムで面白かったのはCAT債の例で、ドイツの宝くじで「あたりが出過ぎる」リスクに対する保険が債券になったんだそうです。個人や素人投資家が買うのでない限り、許容範囲なのかもしれませんよね。仕組債も同じようなものだという説明をすれば、仕組債の不思議さを納得してもらえる足しになるのかもしれませんけれど。

2014年9月12日金曜日

社債価格の暴落

WSJ紙のコラムに、担保付き社債のほうがディストレスト(価格暴落)になりやすいというのが出てますね。

http://blogs.barrons.com/incomeinvesting/2014/09/11/secured-bonds-are-more-likely-to-end-up-distressed-fridson/

担保付きでないと社債を発行できないような会社は、結果として経営破綻しやすいという傾向があるのではと。ま、そうなんでしょうね。直接は関係しませんが、バンクローンに投資するときにはこういうことも知っておいたほうがいいですよね。

2014年9月7日日曜日

スワップのルールを逃げるには

米国の話ですが、米銀がCFTCのきっついルールを避けるためにロンドン現法を活用しているという話がWSJ紙に出ています。保証を付けなければ米ルールの対象とならないという話なのですが、おそらく実態にはそぐわないですよね。ま、ルールというのは、きちんとつくればつくるほど穴ができるわけですが。

2014年9月5日金曜日

証券会社の事業年度

アメリカでは、銀行・銀行持ち株会社・金融持ち株会社の事業年度は1月1日から12月31日までと決まっていまして、ゴールドマンやモルガン・スタンレーが金融危機に際して銀行持ち株会社となることを選択し、事業年度末が11月から12月に変わったときには、少し寂しくなったものでした。

日本でも、銀行、証券会社の事業年度は4月1日から3月31日までと法律で決められていたのですが、証券会社については、先般の金融商品取引法改正で、今後、月初を開始日として、翌年応当日の前日(=月末)を終わる日にすれば、3月31日じゃなくてもよくなるんですね。なんか、不思議な感じです。