2013年2月5日火曜日

クレジット投資

クレジット投資は今世紀に入ってから様変わりし、値動きが激しくなり、トレーディングに近いことも可能になりました。投資適格のクレジット・デリバティブ指標だけではなくさまざまなCDS指標が開発され、そのデリバティブの取引もできますよね。

欧米のクレジット投資家にとって昨年は非常に良い年だったようで、中央銀行の流動性供給の形で金融システムに多額の資金が滞留、ある程度まともな借り手であればいくらでも融資を受けられたという情況であったため、企業倒産が減るどころか、流動性を原因としたクレジット商品の価格上昇(スプレッド低下)もありました。結果、クレジットを投資対象とするファンド(≒投資信託)は非常に好成績を残したとか。

それは今年は難しいでしょ?というのがフィッチの言っていることなのですが、(一応、専門分野なので言わせてもらうと)そもそも、クレジット投資でトップダウンはあまり進められないなぁーというのが正直な気持ちです。実際には、仮に株で運用しろと言われてもトップダウンはしないとは思いますが、結局、クレジット投資のアウト・パフォーマンスの基はどこにあるのかというとデフォルトにあたらないで、どこまで表面的に怪しい(=利回りの高い)ものに投資できるかにあるわけで、価格が倍になることがある株とは根本的に違うと思うんですけどね。

銀行がカネを貸し続ける限り

会社が倒産するのは、支払いができなくなるからです。逆に言えば、赤字垂れ流しだろうが、超債務超過だろうが、銀行がカネを貸し続けている限りツブれません。日本の国債の話でもあるのですが、それはともかく…。

ということは、格付け会社の役割は、ある会社が借金を続けられるかどうか予想することになります。ところが、多くの銀行は、与信基準のひとつに格付けを使います。簡単に言えばどっちもどっちであって、お互いに専門家だと自負しつつ、実は、どちらも単なる素人かもしれないわけです。

このあたりのアヤがクレジット投資の醍醐味であったりするわけですが。

2013年2月3日日曜日

追加型アクティブ投信の運用目標

投資信託は、プロがアマチュアのお金を集めて運用してあげる箱ですが、意外とこれが難しいということに最近気付きました。

ものすごく単純に「株価が上がる株で運用します」という投信があるとします。この投信は、今日、投資家から100というおカネを集め、たとえば5年間運用するということにしておけば、それなりに意味があります。100というおカネで上がりそうな株を買い、上がったところで株を売却し、あとはそのおカネを預金しておけばいいからです(本当は、その段階で投資家におカネを返すほうが良心的ですが…)。ちなみに、追加でおカネが入ってこない投資信託は単位型といいます。単位型であれば、オープン・エンド(解約できるタイプ)であっても許容範囲であって、株価が上がった段階で解約してくれるのであれば、別に問題はありません。

しかし、この投信は、追加型になると実際に機能することはほぼ不可能です。というのも、100のおカネがたとえば思惑どおり110になったとします。単位型であれば追加のおカネは入ってきませんが、追加型だとここで追加のおカネが入ってきます。「株価が上がる株で運用する」ということを標榜すると、ここで入ってきたおカネも儲けさせなくてはいけません。ということは、この時点から見て株価が上がる株を買わなくてはいけないのです。追加型の場合はこのサイクルが毎営業日後とに繰り返されますから、極端な話、「明日上がる株」を毎日買わなくてはならないということになります。当初の設定時に株価が上がる株だったとしても、これ以上上がらないと思ったら売らなくてはいけないわけです。

追加型の投資信託で「株価が上がる株で運用する」というのは「これ以上は上がらないと思ったら」、極端な話、翌営業日に株価が下がると思ったら、売却しなくてはいけません。そして、売却した手取金で、株価が上がり続ける(少なくとも明日の株価は上がる)株を買わなくてはいけないわけです。人間の能力としてそんなことが可能だとは思えません。実際、投資信託はヘッジ・ファンドではないので、銘柄の入れ替えや売買をそんなに頻繁には行わないのが一般的です。ということは、仮に「株価が上がる株で運用する」という投資信託があったとしても、それを信じてはいけないという結論になります。

これは、ベンチマークを上回ることを運用目的とする場合でも同じです。TOPIXを上回る株で運用するということは、TOPIXを上回り続ける株で運用しない限り看板通りではなくなるわけです。仮にTOPIX対比で割安な株式を見つけることができたとしても、割安が修正されたら、あるいは割安が修正されて割高になることが予想されたとしたら割高のピークのところで売却しない限り、前営業日と比較して相対的な株価が下がった場合(割高さが弱まったり、割安さが増幅されたり)、長期的には正しくても、以前から保有している受益者から見るとパフォーマンスの悪化になるわけです。

もともと私は銘柄選択は不可能という立場なのですが、仮に銘柄選択が一般論として可能であったとしても、追加型の場合には毎営業日正しくないと本当の意味では銘柄選択の効果がないことになるので、やっぱり、投資信託はどうなんだろうなと思いたくなります。

2013年2月1日金曜日

円安だ…

ちょっと読み違えてましたね。ほとんど実質的な経済政策がない間は本格的な円安はないと思っていたのですが、期待でここまで来ましたか。口先介入をするのであれば、このあたりでもう一声なのですが、さすがに諸外国の圧力が怖くて、このあたりでは経済閣僚は発言を控えるということなのでしょう。

基本的には、日本はほろびゆく国なのだから円安になるべきという議論には乗りたくなく、よいインフレが起こることを期待して、市場がそれを先取りしているのだと思いたいですよね。株高は、現状は日本の輸出経済を反映している、つまり、円安に反応しているだけなのだと思いますが、全体的な好回転を期待したいところです。願わくば、一部のファンドだけが儲かるようなおカネの回りかたは避けたいですよね。

ということは、やはり政治の出番ということですよね。これはこれで催促相場なんだと思います。是非、このあたりで、若者が将来に希望を持てるような政策をガンガン打ち出して欲しいものです。アエラでは完全に少数派でしたが、この際、40年前、50年前を思い出して、オリンピックだ、万博だといったものでもいいというか、変な意味でなくて国威高揚となるようななんかが欲しいです。

CDOの復活(みたいなもの)

さすがに金融危機後は、CLOはともかく「CDO」という言葉はあまり聞かれなくなったようですが、それに近い証券化が最近見られ始めているという記事がFT紙に出てました。

CMBSに近い商品として「CREのCDO」というのがあって、CMBSの裏付け資産は基本的に既に賃料を生み出している不動産を担保とした融資なわけですが、CREの場合は「商業用(カネ儲け用)不動産」が担保になっていればなんでもよく、米国でよくあるのは、分譲用の土地、建物の建築資金のほか、CMBSの基となる融資よりも返済順位の低い不動産担保メザニン融資や、他のCMBS証券です。

背景にはCMBSの利回りが急低下していることがあるそうで、CLOと同じく、きちんとした裏付け債権であれば証券化をしても安全なんですよね。もっとも、そうなったときに発行され始める証券が安全とは常には言えないのは、いつの時代でも同じなのでしょうけれど。

子会社の健全性

ドイツ銀行が、米拠点で米銀と同じような自己資本規制に従わなきゃならないのは少し違うのではないかと言っているという話がNYT紙に出てました。どちらの言い分もごもっともで、そもそも、ドイツ銀のような大銀行が秩序のない破綻をするとは考えにくく、どの国に拠点があるというのはさほど重要ではありませんから、個々の規制環境ごとに別の資本を持つというのはあまり合理的ではありません。一方、各国の規制当局から見れば、そうは言ってもテールリスクがあるわけで、前回の金融危機を繰り返さないというか、少なくとも金融危機時の混乱は避けたいわけですから、自分のコントロールできる範囲にしっかりとしたキャピタルが欲しいということなわけです。

これって、与信判断をする上で、親会社・子会社の関係をどう判断するのかと実は似ています。銀行だと、親子すべての口座を管理していたりするものですから、親子一体と見易い一方で、法律的には親子は別法人であり、株主は有限責任しかないわけですから、子会社がしっかりしてなきゃ困るという議論ですね。

別に答があるわけではないのですが。

大阪の仕組債訴訟

今朝の日経に出るまで気付きませんでしたが、最高裁で仕組債訴訟の証券会社側敗訴が確定する決定がなされているみたいですね。時事通信では既に1月30日に同29日付決定の件が報道されてます。もっとも時事の「デリバティブで1億3000万円」というヘッドラインとか、「『仕組み債』と呼ばれるデリバティブ取引」という表現はいかがなものかとは思いますが。

内容からすると、原審はこれみたいで、冷静な第三者(に近い人)が公刊したものに内容が出ていないかどうかも確かめながら中身を確認してみたいとは思っていますが、ざっと見たところ、それなりに証券取引の経験のある法人が投資家だったみたいで、そうであっても、やはり複雑な商品は複雑であるということのようです。