クレジット・デリバティブというのは、企業の倒産を対象にした保険みたいなものですが、保険と異なり、リスクを引き受ける側にはライセンスは必要なく、(保険のアナロジーで言えば)保険事故によって(保険単独で見れば)儲かる立場に誰でもなることができます。ところが、日本で言う破産・会社更生など簡単な破綻ばかりだといいのですが、必ずしもそうも言えないことが起きると、そもそもその事象が「保険事故」に該当するかどうかを、業界団体で話し合って決めましょうということになっています。
こないだ、オランダの不動産金融機関が国有化され、オランダの国が保有していた劣後債の価値をゼロにするという処置が取られたのですが、民間の投資家がいなかったこの債券の価値がなくなるというのが、「保険事故」に該当するのかどうかというのがその業界団体で話し合われていたのですが、結局、FT氏の推測では「よーわからんから明日もういっぺん話し合おまい」という話になったとか。
ま、いまどきクレジット・デリバティブについて詳しくなっても、使い道がないという説もありますが…。(ちなみにこの人はまともです)。
2013年2月13日水曜日
2013年2月12日火曜日
Caveat emptor か Caveat venditor か
英FSAが「自分でもよく中身の分かっていない投信を販売していた」という理由で、UBSに課徴金を命じています(fineという単語は罰金に近いと思うのですが、日本で罰金は刑罰に該当するので、行政処分としては課徴金が正しい訳のようです)。中身が分かっていなかったから、(金持ちとは言え)そのような商品に適していない投資家にも販売していたともされています。
そんなの日常茶飯事じゃん、というのが日本の事情を見ている人の印象ではないでしょうか。金持ちだったら損させてもいいんだって、言い切る業者もいるみたいですしね。
そんなの日常茶飯事じゃん、というのが日本の事情を見ている人の印象ではないでしょうか。金持ちだったら損させてもいいんだって、言い切る業者もいるみたいですしね。
中央銀行の役割
中央銀行の独立性といった神学論争も一旦収まったようですが、真に独立した中央銀行なんてありえないのは当然だと思います。Fiat Currencyという制度を採用している以上、中央銀行は政治的な組織であり、政治というのは(漠然としていますが)国民のためにあるわけですから、国民経済のために中央銀行が存在しているのは当然であり、民意とともに中央銀行の存在意義は変化してしかるべきだと思うのです。世の中の役に立たない学問が無意味だとは言いませんが(もっとも、純粋数学も極めて実利的な役割があるらしいじゃないですか…)、社会科学は社会に有用であってこそ存在意義があるわけで、純粋経済学なる学問は存在しないわけです。
とまとめたらちょっと乱暴ですが、「通貨戦争など起きていない」という話がFT紙に出てました。著者は前スイス中銀総裁で、なるほどっていう感じです。
とまとめたらちょっと乱暴ですが、「通貨戦争など起きていない」という話がFT紙に出てました。著者は前スイス中銀総裁で、なるほどっていう感じです。
2013年2月8日金曜日
2013年2月7日木曜日
誰かが貸し続ける限り会社は潰れない
アメリカで投機的格付け社債の発行が昨年きわめて好調だったそうで、そのような企業が借り換えに困って多額のデフォルトが出る可能性があるのは、2017年まで伸びたそうです、ムーディーズによると。
ま、それはそれでいいというか、そんな、いわばマクロ情勢に気をあまりとられるべきではないというのが私の心情で、それに賛成する人も反対する人もいるのでしょうけれど(クレジットのマクロ・プレーヤーがいるのは確かですし、クレジットのイベント・ドリブン投資をやれる人の度胸は、それはそれで凄いと思います)、それはさておき、ここに日本の国債における教訓はないでしょうか? そう、発行できるときにできるだけ長期債を発行すべきですよね。確かに、今の5年債と10年債の利回り差は倍率で言えば凄まじく(絶対値としては大したことありませんが)、あれを見ると5年債を発行したくなる気持ちも分かりますが、所詮誤差の範囲ですし。
ただ、そもそも論として、日本の場合、借り換えもさることながら、今年の財政赤字もファイナンスしなくてはならないので、それは、一応、利益を上げることもある会社とは違いますか…。
それにしても、日本の国債のリスクを考えると、よくこんな利回りで投資できるもんだと個人的には思います。よほどみなさん安全志向なんでしょうけれど、その安全さの対価として得ているものを考えると、コスト払ってでも貸金庫のほうが賢いかもしれませんよね。もっとも、マクロ経済的には、国にもおカネを使って欲しいと思いますから、こんなこと言っていてはいけないのですが。
ま、それはそれでいいというか、そんな、いわばマクロ情勢に気をあまりとられるべきではないというのが私の心情で、それに賛成する人も反対する人もいるのでしょうけれど(クレジットのマクロ・プレーヤーがいるのは確かですし、クレジットのイベント・ドリブン投資をやれる人の度胸は、それはそれで凄いと思います)、それはさておき、ここに日本の国債における教訓はないでしょうか? そう、発行できるときにできるだけ長期債を発行すべきですよね。確かに、今の5年債と10年債の利回り差は倍率で言えば凄まじく(絶対値としては大したことありませんが)、あれを見ると5年債を発行したくなる気持ちも分かりますが、所詮誤差の範囲ですし。
ただ、そもそも論として、日本の場合、借り換えもさることながら、今年の財政赤字もファイナンスしなくてはならないので、それは、一応、利益を上げることもある会社とは違いますか…。
それにしても、日本の国債のリスクを考えると、よくこんな利回りで投資できるもんだと個人的には思います。よほどみなさん安全志向なんでしょうけれど、その安全さの対価として得ているものを考えると、コスト払ってでも貸金庫のほうが賢いかもしれませんよね。もっとも、マクロ経済的には、国にもおカネを使って欲しいと思いますから、こんなこと言っていてはいけないのですが。
予測損失率の低さ
フィッチが面白いレポートを出してまして、信用度の高い住宅ローンを証券化するときには、余計に信用補完を設けようとするそうです。言っていることは矛盾しているようですが、要するに、表面上のデータから判断すると安全性が高そうなローンでも、それを集めてくると特殊な外的要因に対して脆くなる可能性があるので、そのような脆弱さを加味したいと言っているということです。
クレジット投資にも通じるところがあって、たとえば投資適格と呼ばれる債券に投資をしていると安全かというと、実は、投資適格であるがゆえにクッションが少ない(利回りが低い)ことが多く、結果、ちょっとしたデフォルトによって大きな損失を被ることがあります。ところが、「投機的格付」とか「ジャンク」と揶揄される債券は、それがゆえに利回りが高く、クッションが厚いため、それなりのデフォルトに耐えうるわけです。しかも、揶揄されるがゆえにちゃんと分析をする人がいれば、その人はなおさらアウト・パフォームするってことがありますよね。
だからクレジットの世界はやめられないわけですが、なかなか、日本みたいに、アメリカであればジャンクなのに投資適格にされてスプレッドが狭くなり、逆に、日本でジャンク視されるものはもはやまっとうな経済性の分析ができなくなりますから、債券の世界では難しいです。やっぱり、銀行がいちばん楽しいんですよね、この国のクレジット・ビジネスは。
クレジット投資にも通じるところがあって、たとえば投資適格と呼ばれる債券に投資をしていると安全かというと、実は、投資適格であるがゆえにクッションが少ない(利回りが低い)ことが多く、結果、ちょっとしたデフォルトによって大きな損失を被ることがあります。ところが、「投機的格付」とか「ジャンク」と揶揄される債券は、それがゆえに利回りが高く、クッションが厚いため、それなりのデフォルトに耐えうるわけです。しかも、揶揄されるがゆえにちゃんと分析をする人がいれば、その人はなおさらアウト・パフォームするってことがありますよね。
だからクレジットの世界はやめられないわけですが、なかなか、日本みたいに、アメリカであればジャンクなのに投資適格にされてスプレッドが狭くなり、逆に、日本でジャンク視されるものはもはやまっとうな経済性の分析ができなくなりますから、債券の世界では難しいです。やっぱり、銀行がいちばん楽しいんですよね、この国のクレジット・ビジネスは。
為替のインプライド・ボラティリティが上昇している
日本は基本的に輸出産業の国なので、円高・ドル安が困るわけでして、ヘッジをする人達もそちらに偏りがちです。ところが、以前申し上げたとおり、リスク・リバーサルを見ると今やコールを買いたい人達のほうが多いんですよね。これは、首相交代によって円安期待が高まっている、あるいは、円安になったら困るからヘッジをしようという人達が増えていることを意味すると解釈できます。
ひとつの解釈は、銀行さんがさかんにやっていた「レシオ型シンセティック・フォワード」と呼ぶ取引で、レシオというのは要するにプットを倍とか3倍売らせる取引なのですが、このストライク(ドル買い)レートが実勢よりも有利になってきた、あるいは、有利になる点が近づいてきていることです。これまで、高いドルを毎月20万ドル買わされていた人たちが、ドルを安く買うことができるようになる一方で、買えるドルは10万ドルしかないというように倍率(レシオ)が逆転するので、その埋め合わせのために実質的にコールを買わなくてはならないというわけです。
いずれにせよ、リスク・リバーサルが示唆するところは、円安になるとますますボラティリティがあがるということです。円安になればなるほどヘッジしなきゃと思うひとが増えるからです。そして、ここにきてボラティリティが上がってきました。ボラティリティが上がると、リスクを取る人にとっては面白い取引ができるようになりますが、これからどうなりますかね。
ひとつの解釈は、銀行さんがさかんにやっていた「レシオ型シンセティック・フォワード」と呼ぶ取引で、レシオというのは要するにプットを倍とか3倍売らせる取引なのですが、このストライク(ドル買い)レートが実勢よりも有利になってきた、あるいは、有利になる点が近づいてきていることです。これまで、高いドルを毎月20万ドル買わされていた人たちが、ドルを安く買うことができるようになる一方で、買えるドルは10万ドルしかないというように倍率(レシオ)が逆転するので、その埋め合わせのために実質的にコールを買わなくてはならないというわけです。
いずれにせよ、リスク・リバーサルが示唆するところは、円安になるとますますボラティリティがあがるということです。円安になればなるほどヘッジしなきゃと思うひとが増えるからです。そして、ここにきてボラティリティが上がってきました。ボラティリティが上がると、リスクを取る人にとっては面白い取引ができるようになりますが、これからどうなりますかね。
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