以前から何度か申し上げているとおり、ここにきて米国のストラクチャード・ファイナンス案件、特にCMBSでは、他の格付け会社の格付けに対して「僕はそんな高い格付け付けないもんね(だからおカネ払ってもらえなかったんだよーん)」という内容のレポートが何度か出されています。フィッチやムーディーズが格付けを付けないで、クロールだ、モーニング・スターだ、ドミニオンなんちゃらだ、という格付け会社の格付けが付いているのを見れば、アヤしむべきなのが当然なわけですが、もっとも、それでもCMBSが飛ぶように売れているというのは、日本の一時期の某二大投資家の時代をほうふつとさせたりもいたします。
それはさておき、米国ではこの問題をどう対処するか、真剣に議論がなされているようで、それなりに健全な方向に行きつつあるようです。FT紙によれば、S&Pとムーディーズは、他の格付け会社を批判できるようにすることで市場の健全性が保てるという意見のようで、私もそれは非常に賛成です。私はかつて、ストラクチャード・ファイナンスの勝手格付けもありなのではと思っていたことがあって、実際には情報が限定されているためなかなか難しいのでしょうが、そういういことがあってもいいですよね。
2013年5月13日月曜日
2013年5月11日土曜日
お札を刷ればデフォルトしない
国の現地通貨建て債務はお札を刷り続ける限りデフォルトしない、という考えかたは間違っているというレポートをフィッチが出しています。お札を刷り続けるというのはインフレなんですが、インフレになると、結局、借り換えに際して必要なおカネが増えるので、もたなくなるよねというのが結論です。
そりゃそうでしょ、というかこんなこと格付け会社に言われなきゃ分からないというのも悲しい話のような気がしますよね。インフレで債務問題を片付けるのは不可能で、適度なインフレは債務問題の緩和になるのに過ぎないというだけなのは常識のような気がしますが…。だからハイパー・インフレにはならないというつもりもありませんけれど、日本について(日本がハイパー・インフレにならなかろうというのは、合理性ではなくて、単に国民がdocileなだけという感じがいたしますが)。
そりゃそうでしょ、というかこんなこと格付け会社に言われなきゃ分からないというのも悲しい話のような気がしますよね。インフレで債務問題を片付けるのは不可能で、適度なインフレは債務問題の緩和になるのに過ぎないというだけなのは常識のような気がしますが…。だからハイパー・インフレにはならないというつもりもありませんけれど、日本について(日本がハイパー・インフレにならなかろうというのは、合理性ではなくて、単に国民がdocileなだけという感じがいたしますが)。
大学とデリバティブと訴訟
私自身は、紛争を裁判で解決することは合理的だと思っているので、裁判になったこと自体が報道されることや、下級審での判決を一面的に評価することは避けるべきだと思っていますが、でも、つい見てしまいますよね。ちゃんと見ていなかったから気付かなかったのですが、駒澤大学と外資系証券の件では投資家側敗訴が出ているようで夕刊紙にも報道されているようですし、豊明の藤田学園が日本の証券会社を被告に民事訴訟を提起したことも出ているようですね。
当然、個々の事例があるので一般化はできないのでしょうけれど、是非、情緒的な議論ではなく、冷静な議論の積み重ねで争点が絞られ、その争点についての判断がされるよう期待したいと思っています。個人的にはいろいろな考えがあるものの、話すと長いので…。
当然、個々の事例があるので一般化はできないのでしょうけれど、是非、情緒的な議論ではなく、冷静な議論の積み重ねで争点が絞られ、その争点についての判断がされるよう期待したいと思っています。個人的にはいろいろな考えがあるものの、話すと長いので…。
円安の効果
円安になっても日本の経済成長にはつながらない!、というのがこのコラムの趣旨です。なぜかというと、円安になったからといって日本の輸出企業は輸出価格(ドル建て)を下げるわけではないからというのです。
市場経済というのを考えてみれば当たり前で、価格は製造者ではなくて市場が決めるわけですから、日本車が売れるか売れないかは日本車の質で決まるし、そのドル建て価格は市場で決まってきますから、円安によってドル建てのコストが下がるか否かは消費者には無関係なわけです。ということは、企業業績がプラスになって働くという効果になりますが、このコラムの著者が見たレポート(UBS)によれば、結局、そのおカネがきちんと国内に回らない限りGDPの成長にはつながらないと。
おカネの流れという意味からはそうなんでしょうけれど、これはこれで短絡的なような気もしますよね。というのも、資産効果とか、英語でいえばFeel Good Factorっていうんでしょうか、要するに「なんとなく気分がいいからおカネ使っちゃえ」というのが経済成長にプラスなのは明らかですから。でも、こういう経済的あるいは経済学的な見かたをたまには冷静になってしてみるのも、確かに大切なようにも思います。
市場経済というのを考えてみれば当たり前で、価格は製造者ではなくて市場が決めるわけですから、日本車が売れるか売れないかは日本車の質で決まるし、そのドル建て価格は市場で決まってきますから、円安によってドル建てのコストが下がるか否かは消費者には無関係なわけです。ということは、企業業績がプラスになって働くという効果になりますが、このコラムの著者が見たレポート(UBS)によれば、結局、そのおカネがきちんと国内に回らない限りGDPの成長にはつながらないと。
おカネの流れという意味からはそうなんでしょうけれど、これはこれで短絡的なような気もしますよね。というのも、資産効果とか、英語でいえばFeel Good Factorっていうんでしょうか、要するに「なんとなく気分がいいからおカネ使っちゃえ」というのが経済成長にプラスなのは明らかですから。でも、こういう経済的あるいは経済学的な見かたをたまには冷静になってしてみるのも、確かに大切なようにも思います。
担保の有用性
担保はないよりもあるに越したことはない、というのはカネを貸すほうの論理だと思います。信用補完という形で使われる場合にはそのとおりであって、担保がなくても貸すのかもしれないけれど、担保があればなおさらという場合にはまさに「補完」であって、あるに越したことはないわけです。
しかし、担保に依存ということになると若干状況が変わるかもしれません。特に、担保の「市場価値」が重要ということになると、システミック(システマティックではなく)リスクが顕在化したときに負のスパイラルが起きるからです。最近の例では、既に死語になっていますが、SIVの瓦解がそうであって、SIVは「格付けの髙い」証券の「市場価値」を見込んで格付けが附与されていたわけですが、市場価値の低下という信用度と関係のないところから崩れていったわけです。
レポ市場でも同じことがおきつつあるのではと感じさせられるのが、フィッチのこのレポートで、米国の三者間レポ市場(担保の管理を第三者が行う資金取引)で、担保が国債でない取引の水準が高止まりしているそうです。MMFは取引相手の信用度を見て取引しているので担保の質・信用度にはあまり注目していないということで、多分それは正しいのだとは思いますけれど。
しかし、担保に依存ということになると若干状況が変わるかもしれません。特に、担保の「市場価値」が重要ということになると、システミック(システマティックではなく)リスクが顕在化したときに負のスパイラルが起きるからです。最近の例では、既に死語になっていますが、SIVの瓦解がそうであって、SIVは「格付けの髙い」証券の「市場価値」を見込んで格付けが附与されていたわけですが、市場価値の低下という信用度と関係のないところから崩れていったわけです。
レポ市場でも同じことがおきつつあるのではと感じさせられるのが、フィッチのこのレポートで、米国の三者間レポ市場(担保の管理を第三者が行う資金取引)で、担保が国債でない取引の水準が高止まりしているそうです。MMFは取引相手の信用度を見て取引しているので担保の質・信用度にはあまり注目していないということで、多分それは正しいのだとは思いますけれど。
2013年5月9日木曜日
ジャンク債がたいへんなことになっているらしい
投資適格の債券にしか興味がない人にはピンとこないのでしょうが、ジャンク債の中でもきちんとしたランクがあって、ダブルBというのはピッカピカの部類に入り、シングルBでも、ま、ちゃんと中身見ればいいんじゃないという感じです。これがトリプルCになってくると結構怪しいぞという話になり、よほどの自信がないと怖いよねというふうに思われていきます。投資適格しか見ない人だとトリプルBでもちょっと不安なんでしょうけれど、ハイ・イールドやレバレッジド・ファイナンスの人達からすると、トリプルBなんてデフォルトの確率が低すぎて面白味がないくらいなのです(日本の格付会社のトリプルBは例外です。あれは、なんちゃって投資適格であって実際はジャンクなので)。
で、世界中で中央銀行が国債を買い、米国ではモーゲージも買ってしまっているので、格付けの高い投資対象の利回りが極めて低くなってしまい、ある程度の絶対利回りが必要な人達がジャンク債に走っているそうです。FT紙のこの記事によると、トリプルC格の債券ですら凄い人気なんだそうです。
絶対利回りが下がるとワケわかんない債券への投資を余儀なくされるのは日本だけの現象ではなく、単に、絶対利回りが低いという状態が日本で長かったから目にすることが多かっただけなのでしょう。ま、ジャンク債買うのと、妙な仕組債買うのと、どっちがいいのよ?と聞かれたら、どっちもオプションの売りと言う意味では同じなんですけどね。
で、世界中で中央銀行が国債を買い、米国ではモーゲージも買ってしまっているので、格付けの高い投資対象の利回りが極めて低くなってしまい、ある程度の絶対利回りが必要な人達がジャンク債に走っているそうです。FT紙のこの記事によると、トリプルC格の債券ですら凄い人気なんだそうです。
絶対利回りが下がるとワケわかんない債券への投資を余儀なくされるのは日本だけの現象ではなく、単に、絶対利回りが低いという状態が日本で長かったから目にすることが多かっただけなのでしょう。ま、ジャンク債買うのと、妙な仕組債買うのと、どっちがいいのよ?と聞かれたら、どっちもオプションの売りと言う意味では同じなんですけどね。
空売りのチャーンス、っていうこと?
クレジット投資の世界の金科玉条として、日本、キャノン、トヨタをショートして儲かった人はいないというのがあります。キャノンとトヨタはともかくとして、日本のクレジット(信用度)については「いずれはダメだ」と(日本人以外の)多くの人が思っているにもかかわらず、いつまでたってもダメにならないというのがあり、いろいろと総合的に考えると、これも国力のひとつなのかしらんと思ったりもします。実際にはもう少し利己的というか、返さない借金はデットではなくてエクイティであるということに過ぎないという気もしておりますが、それはまたいずれということで。
しかし、やはり日本はもうダメだと思っている人はいっぱいいて、NYの投資家セミナーでそんな人達が語った内容がFT紙に出ています。
実際のところは、逆ブラック・スワンと言いますか、ショートしたってコストは知れている(国債を保有していてもさほど儲からないという議論の逆)のですから、ショートしたい人はすべきなんですよね。問題は、実質金利のマイナスがどこまで拡大するのかが分からないところではありますが。
しかし、やはり日本はもうダメだと思っている人はいっぱいいて、NYの投資家セミナーでそんな人達が語った内容がFT紙に出ています。
実際のところは、逆ブラック・スワンと言いますか、ショートしたってコストは知れている(国債を保有していてもさほど儲からないという議論の逆)のですから、ショートしたい人はすべきなんですよね。問題は、実質金利のマイナスがどこまで拡大するのかが分からないところではありますが。
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