2010年8月18日水曜日

賃借のオン・バランス化

 よく考えてみれば、賃借とは、「期間の限定された所有権」のようなものなので、資産性があるのは当然ですし、それにたいして支払いをするということは負債性を帯びているのも自明です。私自身はあまり自己資本比率にこだわるほうではないので、企業分析上、貸借対照表が重くなることは重要視せず、むしろ、フリー・キャッシュ・フローにどう利いてくるかを中心にいろいろなものを見る傾向があるので、その意味では、今般のIFRS/FASリース新会計についても、違和感はないですし、考えかたとしては拙著「女房を質に…」で家を購入するのと賃貸にすむのとどちらがいいのか的なところでも書いているつもりです。
 バランスシートに与える影響というよりも、FT紙指摘の通り「比較の容易さが増す」という点が重要なのは確かで、同業他社比較をする上で自己資本比率(負債の多さ)を見るのが重要なのは確かですから、賃借義務を負債に反映させたほうが分かりやすいことは確かですね。ま、それも、結局は利払いと同じ意味で固定費であるとも言え、FCFをきちんと分析していれば関係ないと言えなくもないですが…。
 実際問題として考えられる影響は、賃借が多い業界で、やはり小売ですかね。原状回復費用で特損出させられている人たちがいっぱいいるのに、泣きっ面に蜂?かもしれません。あと、倉庫を借りている人たちも結構なインパクトを受けるのではないかと思います。
 ざっと見た感じ()では、オフィスビルの賃貸借での日本の慣行(2年契約で、賃借人が出ていくのは自由)をどのように盛り込むのかが難しそうです。おそらくは、2年の契約期間にとらわれず、合理的に見積もられる入居期間を基に計算するのでしょうけれど。
 賃借権の資産性(裏側のリース料支払いの負債性)がきちんと認識されると、EBITDAではなくてEBITDARがもっと注視されるのでしょうね。
 ま、適用はまだ先みたいですけど。

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