デフレは貨幣価値の上昇なので、景気や物価上昇率に関係なく収入が決まっている人にとっては望ましい現象です。そのような人々は一般論的には退職世代であり、ということは定義として有権者なので、政治家からしても無視できるはずはありません。デフレを解消させないほうがいいという既得権益があって、そこから抜けられなくなるのでしょう。
国や社会としてそうあるべきなのかというのは、別の問題です。株や土地を持っている人以外インフレは関係ないという発言があったようですが、実際には、ある程度のインフレがないと名目所得が上昇せず、現役世代の活力を奪っていくため、社会が停滞します。高齢者・退職世代がマネタリーに幸せなのだからそれでもよいのだという前段の議論はともかく、実際には高齢者・退職世代以外にも社会には人間が存在しているわけで、その人達を無視していいわけはないように思います。
また、社会が停滞することが本当に高齢者・退職世代にとってプラスなのかというと、そうではないようにも思います。これはご本人たちがどのように思っているかにもよりますが、活力のある社会のほうが暮らしやすく、人間もイキイキするのではないかとも。人間はマネタリーなだけで生きているわけではなく、多少財産が目減りしたとしても、そちらの社会のほうがいいと思う人も多いように思います。
実際、債券運用の世界では、0.1bpにこだわる人が増えていますが、人件費を考えたら誤差の範囲に属する金額に汲々とする社会が健全だとはどうしても思えません。名目金利が3%とか5%あれば、そんなことはなくなるのでしょう。なんか、それだけ考えても、デフレ状態での「物価安定」が望ましいとは到底思えないのですが…。
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