2013年9月21日土曜日

投機的格付け企業向け融資が熱くなっている件

投機的格付け企業向け融資はレバレッジド・ローンと呼ばれてまして、「レバレッジド」という言葉から、金融危機に際してはヤバいのではないかという議論がありました。多くの金融機関が、転売目的だけではなく自分でも融資していて、当然、マーク・トゥ・マーケット(時価評価)をすると含み損になっていたわけですから、サブ・プライム系のRMBSやCDOスクエアードと同じ構造だと思われていたわけです。サブ・プライム住宅ローンと同じように証券化の材料としても広範に用いられていて、いわゆるCLOはその意味では純粋な証券化だと思えなくもないですから、やはり、ヤバいと思われたのです。

知っている人は知っている話ですが、90年代後半に銀行が自己資本対策で発行したCLOはバランスシートCLOと呼ばれ、できるだけ臭いローンを対象にするなど逆選好の対象になりやすさが内在していました。ところが、ノーティーズ(いたずらものという意味ではなく、ゼロを英語でノートということに由来する2000~2009年のこと)の前半に出てきたアービトラージCLOというのは、要するに、クレジット投資会社が、エクイティのリターンを上げるためにレバレッジをかける手段であって、エクイティの人たちは逆選好をするインセンティブがなく、むしろ、適切な運用をする強い動機を有していました。

さらに、レバレッジド・ローンは投機的格付け企業向けですが、企業は自社を潰そうとして経営していることは稀なので(日本で、失敗例がある粉飾会社向け企業融資はさておき)、金融危機だろうがなんだろうが、債務者の側は一所懸命経営をして、結果として借金は返そうとしているのです。借金を返そうとして経営しているわけではないのでしょうが、貸している側から見れば同じことです。

その結果、レバレッジド・ローンは金融危機でもパフォーマンスが好調だったんですね。その結果、この資産は安全性が確認されたということで、ここにきて投資資金が流入しているようです。ロイターには、ヒルトンやデルでカネが借りやすくて困っているっぽい話が報道され、また、コベナンツの軽いローンも流行していることが報道されてます

クレジット投資も本質的にはオプションの売りなので警戒が肝心なんですが、プロがやる分には自業自得なんでしょうね。ま、ブラック・スワンの著者からするとちゃんちゃらおかしいっていう話なんでしょうけれど。

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