2010年7月26日月曜日

金融ビジネス休刊

http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/kinbi/docs/oshirase/9915141004.html

 残念です。1998年の三和銀行/東京相和銀行の住宅ローン問題の頃から拝読しており、01年のマイカルの件以降はたまに執筆もさせていただいたご縁がありましたので。年1の発行は続くようで、雑誌としての名称は残ることだけはいいニュースですね。

2010年7月24日土曜日

民法

◯ 私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ → 私権は、公共の福祉に適合しなければならない
◯ 権利ノ行使及ヒ義務ノ履行ハ信義ニ従ヒ誠実ニ之ヲ為スコトヲ要ス → 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない
◯ 権利ノ濫用ハ之ヲ許サス → 権利の濫用は、これを許さない
◯ 本法ハ個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等トヲ旨トシテ之ヲ解釈スヘシ → この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない

 なーんか、口語化によって、荘厳さが薄れてませんかね? でも、法律って、たまに原文を読むと身が引き締まりますよね。「私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ」んだし、「権利ノ行使…ハ信義ニ従ヒ誠実ニ之ヲ為スコトヲ要ス」るんですよ。
 しかも、結構、日本も法律はそれなりにリベラルなんですよね。民法っていう、根本中の根本の法律に「個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等」って書いてあるわけですから。弁護士の中に崇高な精神を持った人がたまにいるのもわかるような気がします。

2010年7月23日金曜日

不思議な国、イギリス

 もともとはイングランドもスコットランドもカトリックの国、つまり、ローマ法王のご寵愛があった国だったんですよね。ところが、あの名高きヘンリー8世が、離婚・再婚をするために英国国教会を設立してカトリックから離れてプロテスタントの国となったわけです。ま、イギリスの宗教改革をすべてそのせいにするわけには行かないのでしょうし、当然、他の社会的要因もあったのでしょうけど、すごいです。
 で、あれだけ男の子の跡継ぎが欲しかったヘンリー8世ですが、死後即位した息子さんも早逝しちゃうんですよね。で、登場するのが悪名高きブラッディ・マリー(メアリー1世)。イングランド女王になったときにはいったんカトリックに戻ったのですが、その際に次から次へとプロテスタントの人たちを処刑したとか。
 その後、異母妹のエリザベス(1世ですね)がイングランド女王になって、再びカトリックに戻しました。その際、スコットランド女王で従妹のメアリーを捕囚とし、ロンドンで処刑しています。
 もっとも、エリザベス1世には後継ぎがおらず、結局、スコットランド国王であったメアリーの息子ジェームズ6世をスコットランドから呼んできてイングランドの国王(イングランドではジェームズ1世)にするというオチ付きではありますが。なんか、ジェームズ1世って自分で本書いていて、そこで王権神授説を唱えているらしいです。エジンバラを離れてロンドンに行ってからは1度しか帰郷しなかったらしいですが、やっぱり、寒くて暗い土地は苦手だったのかしら…

日本国憲法

 憲法を自分の都合よく解釈しようとすると、前文はこう読むのでは:

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために…自由のもたらす恵沢を確保し、…ここに主権が国民に存することを宣言…する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であ…る。
 日本国民は…、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する…。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、…政治道徳の法則は、普遍的なものであ…ると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

不交付団体の一覧

 転落団体、不交付団体の一覧はこちら(http://www.soumu.go.jp/main_content/000075077.pdf)ですが、不交付団体で面白いのは:

・ 青森県六ケ所村(なるほど)
・ 茨城県東海村(なるほど)
・ 埼玉県は、戸田市、朝霞市、和光市が入ってます
・ 千葉県は、市川、成田、市原、君津、浦安、袖ケ浦の各市
・ 東京都は、立川、武蔵野、三鷹、府中、調布、小金井、多摩の各市と瑞穂町
・ やはり愛知県が群を抜いて多く、わが大府市をはじめ、東海市のほか、碧南、刈谷、安城など三河地域だけでなく、西尾や小牧といった尾張のほうも入ってます

 もっとも、転落団体が圧倒的に多いのも愛知県というオチが付いてはいるのですが…。

交付団体〝転落〟一覧

 総務省の「平成22年度普通交付税の算定結果等」によると、転落団体は:

・ 青森県の東通村
・ 福島県の西郷村・広野町
・ 茨城県のつくば市・ひたちなか市・守谷市
・ 群馬県の太田市
・ 埼玉県のさいたま市・川越市・川口市・所沢市・狭山市・入間市
・ 千葉県の千葉市・船橋市・八千代市・富津市・印西市・芝山町
・ 東京都の八王子市・昭島市・町田市・小平市・日野市・国分寺市・国立市・羽村市
・ 神奈川県の横浜市・相模原市・平塚市・小田原市・茅ヶ崎市・大和市・伊勢原市・南足柄市・綾瀬市・大井町・開成町
・ 福井県の敦賀市・おおい町
・ 山梨県の忍野村・山中湖村
・ 岐阜県の岐南町
・ 静岡県の沼津市・御殿場市・小山町・吉田町
・ 愛知県の名古屋市・豊橋市・岡崎市・半田市・春日井市・豊川市・常滑市・稲沢市・春日井市・豊川市・常滑市・稲沢市・清須市・北名古屋市・弥富市・東郷町・東浦町(弥富って昔から市でしたっけ?)
・ 三重県の四日市市
・ 滋賀県の栗東市・竜王町
・ 大阪府の吹田市・茨木市・泉佐野市・箕面市
・ 広島県の府中町

だそうです。国立もですか…。

アステンベック

 ファイブロって、もともと、ソロモン・ブラザーズの親会社だったんですが、名前的にはソロモンのほうが有名になったので、一部のコモディティおタク以外はあまり注目していない名前でした。その後、ソロモンの名前にひかれた買収が続き、トラベラーズ、そしてシティ・グループの傘下となったのですが、シティでは、自己勘定の商品取引を持ちきれなくなったんでしょうね、昨年10月にオクシデンタル・ペトロリアムに買収されています。ま、シティが持ちこたえらなくなった原因は、ファイブロで自己勘定取引を担当していたアンドリュー・ホール氏にもあって、シティ・グループが米政府の公的資金注入を受けた後でも1億ドルのボーナスを受ける権利があったとして注目を浴びてしまったわけです。
 同氏が運用するアステンベック・オフショア・コモディティーズ・ファンド(ケイマン籍)が先月21日に米SECに登録した書面によれば、投資家37人から約11億ドルの資金を調達していることがわかります。
 とこのあたりまでは順風満帆に見えたのですが、この直後、同ファンドが5月に10%損したという報道が出ていました。もっとも、その後の報道がないことを見ると、実はまた回復していたりするんでしょうね。このあたり、報道の偏向と言うと言いすぎですが、やっぱり、他人の成功よりも失敗のほうがニュースになるということなのでしょう。

2010年7月22日木曜日

ブラックストーン

 ブラックストーンがモルガン・スタンレーから1000億円規模の不動産ノン・リコース・ローンを購入するとか…。公開されている情報から見ると:

・ 07年6月にLP持分(有限責任組合員としての地位)を上場
・ ヒルトン(07年)やユナイテッド・ビスケット(06年)に投資
・ 今年3月末の預かり資産残高は約1045億ドル(10兆円弱)
・ プライベート・エクイティが約280億ドル、不動産が218億ドル、クレジット投資およびヘッジ・ファンド投資で546億ドル
・ PEのネットIRRは一昨年が-30%、昨年+9%で、今年Q1も+15%
・ 不動産投資ファンドのネットIRRは一昨年が-38%、昨年-35%、今年Q1は+10%
・ 不動産関連債権投資(おそらくモルガン・スタンレーとの取引はここに入るのでしょう)のネットIRRは一昨年-9%、昨年+21%、今年Q1も+9%
・ ヘッジ・ファンド系のネットIRRは一昨年の-20%、昨年は+16%、今年のQ1も+3%

ということだそうです。KKRがモルガン・スタンレーのMSREFを狙っている話もあるし、まだまだ目が離せませんね、不動産金融も。

2010年7月21日水曜日

リースというストラクチャード・ファイナンス

 確かに、会計上の賃貸借性が否定されるようになってからファイナンス・リースのまやかし存在意義はなくなったんだと思いますが、当局を含めて皆が一所懸命やろうとしていてなかなか根付かない〝動産担保融資〟として捉えてみると、なかなか、まだまだリースも捨てたものではありませんよね。
 それにしても、リースの本質とはなにかを説明しようとすると、賃貸借という概念、売買という概念、所有と占有の違い、担保の概念など、ストラクチャード・ファイナンスの世界で生きていこうという人たちが知っておいたほうがよいコンセプトが盛りだくさんですね。
 もっとも、結局は銀行の別働隊でしかないわけで、そのあたりは不幸だと考えるしかないのでしょうけれど。

2010年7月19日月曜日

格付け屋さん相手の訴訟

 米国の金融制度改革法案中、格付け会社を訴えるのが楽になったというのが、S&Pがムーディーズの格付けを下げた(短期債務をA-1からA-2へ)理由なわけですが、でも、格付けが「間違っている」というのはそもそもどういうことかしら?と考えると不思議ですよね。
 というのも、確かにAAA/Aaaは「まず潰れません」という記号なわけですが、ということは、他の記号は〝程度の差こそあれ〟潰れる可能性があるという意見にほかなりません。しかし、実際には多くの会社は倒産しません。
 「お前がシングルB(例えばですが)と言ったからつぶれる可能性があるとおもってこの社債には投資しなかったのに、結局つぶれなかったじゃないか」とか「お前がトリプルCaaなんて格付けを付けるから転売できなかったけど、結局潰れなかったじゃないか」といった訴訟も、同じように起こせるのでしょうか? 事実の確認を怠ったことが訴訟提起の要件なのであれば、潰れる要素を見逃すのと同じように、潰れない要素も見逃してはいけないのでは?
 なーんてことばかり言っていると揚げ足取りみたいですが、格付けの本質を考えるとありな議論だと思いました。もっとも、格付けが間違えることもあるということを皆が知っていれば今のような問題にはならないわけで、それを知らない人が多い弊害をどうするかというのが制度改革のひとつの趣旨であることは理解しているつもりです。

2010年7月18日日曜日

借り換えの呪縛

 借り換えって、困ったことのある人にしか、怖さが分からないんですよね。でも、企業の倒産の99%(統計をとったわけではないので〝たぶん〟ですが)は借り換えができないから起きているわけです。借金が怖いのは、利息が固定費化するからでもありますが、もっと怖いのは、返さなくてはならないから、つまり、返さないと潰されるからです。
 ということを考えていて、やはり日本は怖いんですよね。借金がゼロの先進国などありえないので、別にゼロにする必要はないのですが、毎年の借り換えプレッシャーが強すぎるんです。やっぱり払い下げかなぁー。
 近所に市職員住宅があってテニスコートが併設されているのですが、あれも民営化してほしいです、はい。

2010年7月17日土曜日

CDOの消却

 ムーディーズのCLO Interestという出版の7月号を見ていたら、面白い記事が出てました。CDOのメザニンとエクイティを同じ人が持っている場合、メザニンをゼロ円で消却させてCDOの超過担保テストを合格させ、その結果、エクイティに回ってくる資金を増やすという作戦です。
 メザニンが存在していると超過担保テストを失格する可能性があり、それによって利金のキャッシュ・フローがシニア債の元本償還に回りますが、それを防ぐためとか。で、シニア債の投資家が「そんなことは許さん」と訴訟を提起したのだけれど、結局、デラウェア州の裁判所で消却が認められたんだそうです。
 こういう、知的好奇心を刺激される事柄があるから、なかなか、金融の世界から離れられないんですよね。
 CLO Interestはこちら(読者登録が必要かと思います)(http://v3.moodys.com/researchdocumentcontentpage.aspx?docid=PBS_SF210409)、裁判所の意見はこちら(http://www.delawarelitigation.com/uploads/file/int19%281%29.pdf)です

2010年7月14日水曜日

不動産の流通市場を確立するには

 日本の住宅の問題点は、中古の一戸建てがほとんど流通しないことですよね。理由はいくつかあるのでしょうが、画一化ができていなさすぎることがひとつの要因ではないかと思うのです。イギリスにいくと、似たような家が何軒も何軒も並んでいるのを目にしますが、あれだと、どの家を買っても同じなので、あとは場所だけ、そう、日本の中古マンションみたいになるような気がするのです。
 ま、石(ま、レンガですか)でできている家と木でできている家の根本的な違いがあることは分かるのですが…。

対プロ向け融資姿勢調査

 米連銀が20金融機関に聴き取り調査をおこなったそうです。それによると、5月末までの3か月間で:

・ 他の金融機関や証券会社に対する融資残高の管理に割く経営資源が増加した
・ ヘッジ・ファンドを含めた重要な顧客に対する取引条件を緩和した;顧客の側からも条件緩和圧力が強まった
・ 店頭デリバティブ取引では、単純か複雑かにかかわらず、価格面以外の経済条件はほとんど変化なかった
・ 格付けの高い社債、株、エージェンシーMBS、他のABSを担保とした借入の要請が増えた
・ 値洗いに際しての価格・担保価値についての意見の相違件数に変化はなかった
・ 06年末と比較すると、すべての面で融資条件は厳しくなった

だとか。だからなに?と言われるとそれまでですが。

2010年7月12日月曜日

選挙のたびに思うこと

 日本の政治が何流なのかはわかりませんが、少なくとも英米独仏豪加といった国と比較すると、同じ程度に洗練されているようには見えないというか、外国がうらやましく思えることがあります。もちろん、すべての国のすべての候補者、すべての選挙区について知っているわけではないので、単なる印象でしかないのですが、片山氏、佐藤氏、猪口氏が参院で当選するという姿があまり格好よく思えないのはなぜでしょう。あるいは、柔道選手や体操選手、元プロ野球選手、タレントがこれだけ出馬するのも…。
 横山ノック氏、青島幸男氏が、それぞれ大阪府、東京都の知事に当選したときにも思ったのですが、政治家を選ぶのは有権者なわけで、有権者は直観的に、自分たちにふさわしい政治家を選んでいるのでしょう。つまり、政治を憂うのは自分たちの不徳さを憂うのと同じであり、本来的には政治・政治家を憂うのは筋違いであると。
 ま、米国ではプロレスラーが州知事になった例(ミネソタ州)、俳優が州知事になった例(カリフォルニア州)、俳優が大統領になった例もあるわけで…。でもやっぱりちょっと違うと思うんですよね。

2010年7月10日土曜日

裏は取れないものの…

 政局が安定し、法制度、特に所有権の概念が確立している国への不動産の投資は、多額の資金を運用しなくてはならない年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドにとって分散投資上の効果が高いことが知られています。日本にいると不動産に所有権があるのは当然だと思うでしょうが、これって、意外と、ちゃんとした国でないと決してそうではないのです。また、そもそも土地はすべて国のものであって、所有権は建物にしか存在しないという概念も決して稀ではなく、地上権を物権と考えられればともかく、借地権であると理解するとそれはそれで面倒ですね。
 なので、ロンドンの不動産に対して中東のソブリン・ウェルス・ファンドが多額の資金を投入しているのはその一例と言えます。
 最近は韓国の投資家の動きが派手みたいですね。オフィシャルなプレス・リリースとかがないので、報道を真実と推定するしかないのですが、韓国の国民年金公団は、昨年11月にロンドンのカナリー・ウォーフ地区にあるHSBC本社ビルを約1000億円で、また、今年の1月にはシドニーのオーロラ・プレース(中国の中央銀行である人民銀行など多数の金融機関が入居するオフィスビル)を約600億円で購入していまして、さらに5月にはベルリンのソニー・センターをMSREF(モルガン・スタンレー・リアル・エステート・ファンド)から約640億円で購入するなど海外不動産投資を活発化させているようです。また、韓国教員信用組合と韓国信用協同組合連合会は、今年の6月に、ウェルズ・ファーゴ銀が入居するサンフランシスコのオフィスビルを約300億円で買収しています。
 国民年金公団は日本でも昨年7月、豊洲のKDXビルを買収しているほか、横浜の不動産も買っているらしいです。中国だけかと思っていたら、実は、韓国もすごいんですね。

2010年7月8日木曜日

国債

 日本の財政の問題点は、累積赤字そのものではなく、このままだと借り換えができなくなることだと常々思っているわけですが、今まで(個人的には恥ずかしながらですが)ほとんど見ていなかった国庫短期証券の数字を見て、改めてこの思いを強くしました。
 昨年度を見ると、国庫短期証券の発行総額は388兆4607億円です。これは、年度内で返済されているものもあるので、金額で加重平均した償還期間を見てみると118.83日となります。つまり1年365日ですから3.07回転(2.07回借り換えをした)ことを意味しており、1回転あたりの金額は126兆4653億円となります。この金額を4か月に1回借り換えしているのと同じなんですね。
 今年度に償還される国債の借り換えだけで100兆円を越える国なのに、短期は短期でこんなことしていて、本当に大丈夫なんだろうか? なにか見落としているだけなのかもしれませんが、結構怖いです。

2010年7月6日火曜日

プライマリー・バランスの議論

 最近、プライマリー・バランスの議論が盛んですね。でも、プライマリー・バランスが黒字になったって、日本の財政赤字が深刻なのはなにも変わらないんですよね。だって、利払い費用がありますから。
 もちろん、財政健全化のためにはプライマリー・バランスがプラスになることがいいに決まっていますが、それによって財政再建となるというのは大間違いで、気休めにしかならない。ただ、気休めすらできないと、国民が国債を見離して大暴落が起き、借り換えができなくなって破たんするから、だからまずはプライマリー・バランスを目指すというわけですな。ま、誰も表立って「破たんしないためのアリバイ作りだ」とは言えませんわな。

投資用マンション

 ムーディーズが昨日のリリースで、投資用マンション取得用ローンは、〝巷で思われているのよりは〟安全だと言ってました。バブル期以降も融資を続けていた人たちにはノウハウが溜まっているとか。
 でも、バブル期以降も融資を続けていた人たちって、ジャックスと、東芝系のノンバンクと、あとオリックスだけですよね? ニューシティ(ベア・スターンズ)、日本橋住宅ローン(メリル・リンチ)、ジパング(モルガン・スタンレー)、リベルタス(リーマン)ってどうなんでしょう? スルガ銀行もか。

逆選好は終わらない

 逆選好…。若干難しい概念ですが、要するに、与えられた範囲の中で最悪の行動をすることです。BIS規制がいい例で、リスク・ウエイトを格付けで決めると、儲けなきゃいけない人たちは、特定の格付けの中で最も儲かる(=スプレッドが広い/利息が高い=リスクが高い)案件に手を出すようになり、本当はリスクを抑制するための制度が、逆に、「ルール上のリスクが低ければ実際のリスクは関係ない」となるのが逆選好です。
 フィッチが昨日発表したCDOの格付けクライテリアでは、一応逆選好の対策がなされていて、アウトルックがネガティブあるいはネガティブ方向のウォッチ銘柄については、CDSから逆算される想定格付けまで格付けが下がると考えるとか。
 でも、本当の逆選好は、アウトルックがステーブルのところで起きるんですけどね。でも、格付け会社としては、自分の格付けが間違っているとは言いづらいのでしょう。

バルチック海運指数

 バルチック海運指数が27日間連続で下がっているそうです。この指数が何を意味するのかは説明する人によって違うのですが、少なくとも船会社や、船を担保に融資をしている金融機関からすると辛いところですね。
 同じようにな輸送機であっても、航空機は (1) モデル数が少ない (2) 使っている人(航空会社)が多い、一方で船は (2) 個別性が強い (2) 使っている人(船会社)が実は少ない、という特徴があって、担保としての価値は大違いだとか。同じ不動産でも土地の担保価値のほうが高いというのと同じかもしれませんね。

2010年7月2日金曜日

地方財政

 調べてみると、印象と違って、すぐにでも潰れそうな地方公共団体は今のところないんですね。ただ、倒産法制がないことを考えると、清算・民事再生といった債権カットの仕組みが法的にはないわけで、となると、国が面倒見るんでしょうね、最終的には。
 もっとも、国は国で、財投債の残高は自分に関係ないと言いはるし、それはそれで不安だわ…。

年金

 確定拠出年金のネタは過去にしばしばあったので、なんとなく、年金は金融に近いことは理解していたのですが、最近改めて詳細を見る機会があって、ふむふむと思うことがいくつもありました。
 たとえば、100年後に均衡させるってどういう意味かということですが、日本の年金が積立方式でないことは知っていたものの、今平成117年(←それはそれでツッコミを入れたくなりますが)に向けて資金の積立の最中っていうことみたいですね。基礎年金の半分を税金で賄いながら100年進み、100年経ったら確定給付式の積立がバランスしていると。
 ま、そもそも論として、税金で埋めているということを知らなかったのもどうよ、と自分でも思いますが、だから国会で年金のことみんな騒ぐわけですな。妙に納得したのでした。