政局が安定し、法制度、特に所有権の概念が確立している国への不動産の投資は、多額の資金を運用しなくてはならない年金基金やソブリン・ウェルス・ファンドにとって分散投資上の効果が高いことが知られています。日本にいると不動産に所有権があるのは当然だと思うでしょうが、これって、意外と、ちゃんとした国でないと決してそうではないのです。また、そもそも土地はすべて国のものであって、所有権は建物にしか存在しないという概念も決して稀ではなく、地上権を物権と考えられればともかく、借地権であると理解するとそれはそれで面倒ですね。
なので、ロンドンの不動産に対して中東のソブリン・ウェルス・ファンドが多額の資金を投入しているのはその一例と言えます。
最近は韓国の投資家の動きが派手みたいですね。オフィシャルなプレス・リリースとかがないので、報道を真実と推定するしかないのですが、韓国の国民年金公団は、昨年11月にロンドンのカナリー・ウォーフ地区にあるHSBC本社ビルを約1000億円で、また、今年の1月にはシドニーのオーロラ・プレース(中国の中央銀行である人民銀行など多数の金融機関が入居するオフィスビル)を約600億円で購入していまして、さらに5月にはベルリンのソニー・センターをMSREF(モルガン・スタンレー・リアル・エステート・ファンド)から約640億円で購入するなど海外不動産投資を活発化させているようです。また、韓国教員信用組合と韓国信用協同組合連合会は、今年の6月に、ウェルズ・ファーゴ銀が入居するサンフランシスコのオフィスビルを約300億円で買収しています。
国民年金公団は日本でも昨年7月、豊洲のKDXビルを買収しているほか、横浜の不動産も買っているらしいです。中国だけかと思っていたら、実は、韓国もすごいんですね。
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