2010年7月19日月曜日

格付け屋さん相手の訴訟

 米国の金融制度改革法案中、格付け会社を訴えるのが楽になったというのが、S&Pがムーディーズの格付けを下げた(短期債務をA-1からA-2へ)理由なわけですが、でも、格付けが「間違っている」というのはそもそもどういうことかしら?と考えると不思議ですよね。
 というのも、確かにAAA/Aaaは「まず潰れません」という記号なわけですが、ということは、他の記号は〝程度の差こそあれ〟潰れる可能性があるという意見にほかなりません。しかし、実際には多くの会社は倒産しません。
 「お前がシングルB(例えばですが)と言ったからつぶれる可能性があるとおもってこの社債には投資しなかったのに、結局つぶれなかったじゃないか」とか「お前がトリプルCaaなんて格付けを付けるから転売できなかったけど、結局潰れなかったじゃないか」といった訴訟も、同じように起こせるのでしょうか? 事実の確認を怠ったことが訴訟提起の要件なのであれば、潰れる要素を見逃すのと同じように、潰れない要素も見逃してはいけないのでは?
 なーんてことばかり言っていると揚げ足取りみたいですが、格付けの本質を考えるとありな議論だと思いました。もっとも、格付けが間違えることもあるということを皆が知っていれば今のような問題にはならないわけで、それを知らない人が多い弊害をどうするかというのが制度改革のひとつの趣旨であることは理解しているつもりです。

0 件のコメント:

コメントを投稿