2012年12月10日月曜日

仕組債/デリバティブは保険引受と同じ

 考えてみれば、保険会社というのはリスクの高いビジネスです。私たちの火災保険や自動車保険を見てみれば分かるとおり、受け取っている保険料は微々たるものなのに、実際に保険事故が起きると払い出す保険金は莫大です。保険会社がビジネスとして成り立つのは、(1) 多くの人から保険を引き受けることで、事故が起きる確率を理論値とほぼ同じに管理できるため、(2) 受け取った保険料のほうが払い出す保険金よりも多くなるように料率を設定できるから、です。

 ところで、仕組債や、中小企業が金融機関と締結した(させられた?)とされる通貨関連デリバティブは、いずれも、実質的には投資者・ユーザーがオプションを売却している形になっています。オプションを売却すると、その売却によるリスクの対価を入手することができますが、それは、保険会社が保険料を得られるようなもので、確率的にはその全額がもらい得になることはあり得ません。必ず、どこかで誰かが大きな損をする、その引き換えとしての対価なのです。

 この対価の性質は、まさに保険会社が得る保険料と同じです。つまり、仕組債を買ったり、オプションが組み込まれたデリバティブに取り組むことは、保険会社が保険を引き受けるのと同じことなのです。ところで、保険会社はそのリスクの専門家であってリスク分析に長けていますし、また、リスクを理論的な確率として管理できるように多くの契約を引き受けます。一方、仕組債を購入する人が、数多くの仕組債を購入してリスクを管理したという話は聞きませんし、デリバティブに関しても同じです。むしろ、多数の取引をしたほうがリスクが高くなるという感覚のほうが一般的でしょう。その時点で素人丸出しなわけです。

 分析の専門家が分析し、かつ、それでも多くのリスクを引き受けることでリスクを分散しようとしているにもかかわらず、その真逆を素人がやっているのが仕組債でありデリバティブなわけです。一応金融のプロの末席を汚す私でも怖くてできないようなことをなさるのですから、素人さんってすごいなぁーと思ったりもいたします。ま、その怖さを知らないから素人なんでしょうけれど。

 保険引受と同じという比喩が難しければ、こう考えてもいいでしょう。仕組債を買ったり、オプションの組み込まれたデリバティブをやるのは、住宅保険や自動車保険を解約するのと同じです。保険に入らなければ、保険料を払う必要がないため家計は助かりますが、これは、仕組債を買って見た目の利息が高かったり、オプションの組み込まれたデリバティブに取り組んで目先の交換レートが有利になったりすることと同じです。保険に入らなければ事故が起きたときには大きな損失となりますが、仕組債で大きな損がでたり、デリバティブで多額の含み損が出るのと対比できますね。

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