2012年12月24日月曜日

いわゆるテクモ事件について

 いわゆるテクモ事件については、法律の専門家がいろいろなコメントを述べてらっしゃるので、そちらの方面から素人がどうこう申し上げることは特にないのですが、須藤裁判官の補足意見がとっても共感できるので、ちょっと引用したくなりました:

『企業の客観的価値は、理論的、分析的には、当該企業の将来のキャッシュ・フロー…の総和から負債価値を控除したものとされるとしても、将来のキャッシュ・フローは未来の不確実な事象に基づく不確実な数字であるから、正確な企業価値を直接に測定することは不可能である。 』 → ほんとそうですよね。企業価値算定が学問だと思っている人のなんと多いこと!

『企業の客観的価値やその増加分を可及的に正確に認識しようとするために、財務数値や経営政策などを手がかりにしつつ様々なシミュレーションや条件を組み合わせることによる評価算定方法がこれまで考案され、また、実際にも用いられているところである。しかしながら、これらの評価算定方法は、いずれも専門的であって、到底平易なものとはいえず、…専門家の鑑定によるということになればその費用は高額に達し、少なからぬ時間を要することにもなろう。のみならず、これらの評価算定方法も、所詮は不確定的な数値による予測等を基にするという性質は避けられず、不確実性を免れない。』(下線筆者)  → ぱちぱちぱち

 デリバティブの理論値と違いますからね、企業価値評価は。この決定で、市場価値がある場合には市場を参照すべしということが根付けば、デリバティブのほうももう少し進みますかね。もっとも、デリバティブのスマイルとか、リスク・リバーサルとか、複雑かつ実は市場は存在しているのだけれども単純なインプライド・ボラティリティよりもさらに見つけるのが難しいやつがあるという厄介さは残るのですが。

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