2012年12月30日日曜日

価格は重要事項ではない(H22.3.30最三判・集民233-311)

ちょっと消費者契約法の「不利益事実不告知」を調べる必要があって判例を見ていたのですが、価格の動向については、同法上の重要事項には該当しないという最高裁判所の判例がありました。

不利益事実不告知というのは、要するに、業者(法律上は「事業者」)が個人客(法律上は「消費者」)に対して勧誘をする際、いいことだけを言って悪いことを言わず、かつ、そのいいことだけしか言わなかったことによって普通の人であれば悪いことは存在しないんだと思ってしまうようなときのことであって、消費者契約法上は、それによって、悪いことは存在しないと客の側が思ってしまった場合には契約を取り消せることになっています。

「金の価格は今後上がりそうですよ」と言って勧誘(消費者契約法上の断定的判断の提供は否定されている)した際、下がる可能性について触れなかったのが不利益事実不告知だというのが原告・被上告人の主張なのですが、同法上の重要事項は「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容」「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件」なのだから、価格は含まれないというわけです。

もっとも、上告審では、この消費者契約法上の論点だけについて判断されているわけで、説明義務違反(不法行為・債務不履行)については控訴審で再審議となっていますから、被告側が勝ったというわけでは必ずしもないようですが。

集民ということは、類似の民集判決があるはずなので、もう少し見てみなくては…。

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