最近、判例紹介誌でデリバティブや仕組債のが載っていると、とりあえず見ようとは思っているのですが、事実は小説よりも奇なりとはよく言ったもので、銀行が「レシオ・フォワード」と称して取引している1:3型の豪ドル買い取引で、わざわざ顧客にプレミアムを支払うタイプがあるんですね。私自身はゼロ・コスト・オプションは目くらましではないかというのが持論なので、結構新鮮でした。
事例としては、同じ被告(証券会社)で他にもあるのですが、要するに、為替が円高に動いて、担保が足りなくなったところ、「担保が追加で必要になるなんて聞いていない」というところからもめ始め、「そもそも損するなんて思ってなかった」というありがちなパターンに展開していきます。この証券会社は、当初、「通常想定するボラティリティの2倍」を用いて最大損失額を算定して担保の必要額を計算し、追加担保の要否は「顧客の時価評価損×1.2」で決定することにしていたようです。ユーザー側は「そんなの聞いていない」とか「恣意的だ」という議論を展開する一方、業者側は「業界スタンダード」とか「複雑すぎて事前に説明できない」というように話を持っていくようです。
ま、実際には、とっても単純なことを、あまり単純に説明すると手品のネタがわかっちゃうから、裁判になってもそれをちゃんと話さないということみたいです。それにしても、この手の商品性を法曹界の方々が感覚的に把握するのが大変そうで、いろいろな判例を見ていると同情しちゃいますね。
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