『1ドル=65円×「65円÷市場実勢レート」で10万ドルを買う』というタイプのデリバティブを見かけることがあります。このとき、10万ドルをこの妙な式で買った上で市場の実勢レートですぐに売却すると:
・ 支払い額 10万ドル×65×65÷市場実勢レート
・ 受取り額 10万ドル×市場実勢レート
となるため、その差である、10万ドル×(市場実勢レート - 65^2÷市場実勢レート) が損益となります。
分数にしてみれば分かりますが、( )の中は、「(市場実勢レート^2 - 65^2)÷市場実勢レート」と書いても同じことです。ところで、この前半部分は、因数分解の基本ですから、さらに、「(市場実勢レート+65)(市場実勢レート-65)÷市場実勢レート」と書いても同じことです。
ところで、一般の、つまり、たとえば単純に1ドル=65円で10万ドルを買うという取引の場合、その損益は、「10万ドル×(市場実勢レート-65)」とあらわされます。この不思議な式のデリバティブと並べてみると:
・ 10万ドル×(市場実勢レート-65) ・・・ ①
・ 10万ドル×(市場実勢レート+65)(市場実勢レート-65)÷市場実勢レート ・・・ ②
となります。 ②÷①は「(市場実勢レート+65)÷市場実勢レート」であり、つまり「1+65÷市場実勢レート」です。
なにが言いたいのか? 要するに、冒頭の取引引は、「1+65÷市場実勢レート」倍のレバレッジがかかっている(「1+65÷市場実勢レート」×10万ドル分の取引をしている)のと経済効果は同じということです。ここで、市場実勢レートが1ドル=65円よりも円高になればなるほど、レバレッジは高くなる、つまり、ドルを買っている人に不利になりますし、1ドル=65円よりも円安になればなるほどレバレッジは緩くなる、つまり、ドルを買っている人の有利さは減っていきます。中学校の数学が役に立つ話でした。
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