2013年2月28日木曜日
アルゼンチン
債務交換で発行された債券の保有者に対しては、アルゼンチンは、その人達にだけ払うのであれば利払いする用意がある一方、債務交換に応じなかった人にも利払しなきゃいけないのだとするとデフォルトするという理屈になってしまうので、そのような投資家も慌てているようです。それにしても、そちら側の弁護士はデビッド・ボイス氏、ヘッジ・ファンド側の弁護士はテッド・オルソン氏ですから、FT紙に言われるまでもなく、2000年の米大統領選を思い出しますね(40代以上のアメリカおたくだと)。
裸の王様と高橋財政
それはさておき、FT紙のアルファビル・ブログにも、ここもとの円安は期待先行で内容が伴っていないという話が出ていました。自分と同じ考えのものだけ紹介して正当化するというのはあまり格好よくはないのですが、私だけが言っているわけではないということも重要かと思いまして…。
ま、実際のブログのテーマは、麻生財務大臣が高橋財政を目指しているのでは?という話でして、結局はうまくいかないかもという結論が日本で一番大きな証券会社さんの見かただということのようです。
一理あるのはよく分かるのですが、それでも一時的な財政赤字の拡大は覚悟しようぜというのが私の考えですけど。もっとも、JT株放出とか、やれることはあるというのも確かで、本質的には国債は日本政府株式会社の株だというのが私の持論なのでマクロ経済的にはどうでもいいのですが(だからN証券さんの議論には賛成しかねる)、一応ポーズは大事ですよね。
SECが仕組債の業者利益を開示するよう求めているとか…
日本では、金商法の解釈として、行政側がそのようなことは不要であるというお達しを出してますが、かの地でも行政側がこのようなことができるのであれば、日本でも検討しては?という気がします。手数料開示義務の精神からは当然で、行政の裁量の範囲か否かもどうかという説も主張できるかもしれません。
ちなみに、昨年4月には、仕組債(structured note)全般について、こんなお手紙を業者に送っているらしく、たとえばゴールドマンさんなんかは既にある程度手は打っているとブルームバーグには出てますね。
2013年2月27日水曜日
♫このみちーは、いつかきたみーち
金融危機後のジャンク債やレバレッジド・ローンのトラック・レコードを見れば、融資先がなくて困っている銀行が一所懸命おカネを貸したくなる気持ちも分かります。「おカネが借りやすいから、買収価格が上がっちゃって困るんだよね」というのは、大手であっても半分は本音で、確かにファンド間転売で面白いぐらい利益が出るし案件もできるのでしょうが、投資家からのおカネも集まりすぎちゃって、結局、値段が高いと分かっていても買わされている立場でもあるわけですから。
業界全体で見ると、レバレッジだけが価格を決めているという状況なのでしょう。プライベート・エクイティ業界全体、というマクロ経済の括りかたはありませんが…。
アルゼンチン国債とNYでの裁判
で、アルゼンチンは新債券にはちゃんと利払いをしているのですが、旧債券の債権者が「俺たちも権利は同じでしょ」と訴えています。旧債券・新債券ともにNY州法(ドル債なので)ということもあって、NYの裁判所で裁判になっています。
現在焦点になっているのは、両債権者を平等に扱うって、実際にどういうことなのという点で、今日、口頭弁論が行われるそうです。日本ではあまり話題になっていないみたいですが、世界中の耳目を集めているとか。
マイナス金利
イギリスで市中銀行の中央銀行預け金にマイナス金利を付ける(お金の保管に手数料をとる)という案がバンク・オブ・イングランドの副総裁から出ている旨、一般各紙報道しています。日本でもこのくらいのことやればいいのに、まだまだ先は長そうですね。
アメリカでも、現在の超金融緩和はリスクもあるだろうがリスクよりメリットのほうが大きいと思ってやっているというバーナンキ議長の発言がありましたが、世の中はすべて不確実なわけで、不確実を怖がっていたらなにもできませんよね。
2013年2月25日月曜日
なんてったってADB総裁
ただ、そろそろ真剣に財政政策のほうもなにかしないと、市場に飽きられちゃいますよね。いまのところ、円安と株高が並行していて、前者がインフレ期待だとすると後者は輸出産業の業績期待なわけですが、日銀がインフレを起こせるわけではなく、皆がおカネを使いたいと思わない限りはきっとインフレにはならないですから。今日、円安基調が継続しなかったのは、財政政策への催促相場だと思いますけどね。ま、なにをやればいいか分かっているわけではないのでエラそうなことが言えた義理ではないのですが。
本質的には規制緩和なんでしょうけれど、規制の裏側には既得権益があって、そここそ聖域なきなんちゃらもしてほしいのですが…。まずは公共工事でもいいじゃんと思いますし、インフラ整備も修繕需要への対応でいいんだと思っているのですが。
邦銀の国債保有リスク
マイケル・ルイス氏によるグレッグ・スミス氏本の書評
ルイス氏のライアーズ・ポーカー(ありし日のソロモン・ブラザーズ)しかり、フィアスコ(モルガン・スタンレー)しかりですが、ウォール・ストリートは株ではなく金利・債券の文化ですし、証券化もそちらの話ですから、エクイティ畑のひとがゴールドマンの(いろいろな意味で)本当にすごいところなんかわかるわけないよね!という話にはまったく納得です。
ま、スミス氏の本はまだ買ってませんし、その前にまだまだ読まなきゃと思って積読になっている本もいっぱいあるというわけで…。
2013年2月24日日曜日
リスク許容度を高めているのは中央銀行のおかげ?
2013年2月23日土曜日
格付けと買収リスク
特に後者については判断が難しいところです。というのも、財務内容がいい(借入が少なくて利益率が高い)会社ほどLBOの対象になりやすいわけで、格付けがよすぎるから格付けが悪くなる確率も高いなどと言い始めると、信用度の分析は不可能になるからです。そこで利用されるのが財務上の特約なわけで、要するに、買収の対象になりそうな会社については、支配権が移った場合には額面で(あるいは国債+相応の信用スプレッドの利回りで計算された価格で)償還されるというのが望ましいわけです。
デルやハインツといったハウスホールド・ネームが買収の対象になっている(ハインツはバフェットなのでLBOちゃうという説もありますが)ため、一部の投資家が社債投資に慎重になっているという話がロイターに出てますが、社債のリターン特性を考えたら当然ですよね。もっとも、売り手市場のときは、そんなことも言ってられないのでしょうが。
2013年2月21日木曜日
ヨーロッパでCLO再開
2013年2月20日水曜日
条件付き転換権付劣後債
ま、本当にリスクが分かっていて買うならいいんですけど、私の基本的な考えかたは、この手の商品はリスクに見合ったリターンがもらえないというものです。そんなリスク取るなら、価格が倍になる可能性がある株買うほうがよほどいいと思うわけです。
ま、「債券」と聞くと、自分だけは安全だと思ってしまうのは日本人だけではないということなんでしょうね。
2013年2月19日火曜日
いわゆる「金融ADR」について(全銀協)
・ 金利スワップの事例が増えている
・ 金利スワップで金融機関側が折れている例が見られる
というのが驚きでした。でも本当にすごいと思ったのは、投資信託や変額年金保険で、金融機関側が不充分な説明を認めて和解しているケースです。これまでは、この手の投資商品では「ちゃんと説明した」と突っぱねるケースが圧倒的に多かったと記憶していたので、へーっっていう感じです。
輸入企業と為替(なんちゃって)
輸入企業で、為替ヘッジをしていない会社、あるいは、為替ヘッジをしていてもそのレートを原価に反映させていない会社の場合、原価はそのときの市場実勢の為替レートの影響を直接受けることになります。一方、一般的に原価には固定費部分と変動費部分とがありますし、また、販管費にも固定費部分と変動費部分とがあります。
全銀協の金融ADRを事例を見ると銀行によるヘッジのさせ過ぎが話題となり、解約清算金の一部を銀行が負担する形で解決しているケースも見られるのですが、そこでは銀行側の検証不足というのがよく出てきます。それを見て、そもそも検証なんてできるのだろうか考えてみたわけです。
というのも、上述のとおり、原価のうち変動費の部分というのは一般論として売上に比例するわけですが、実際に売上に比例するのは原価そのものではなくて仕入れの数量に過ぎないはずです。100円のものが売れたから50円仕入れをするのではなく、100円のものが売れたら同じようなものを1つ補充しようとするわけで、その時点の為替レートがそこで効いてきます。つまり、原価のうち仕入れの部分については売上に比例するのではなく、(この場合であれば)「売上×為替レート」に比例するはずなのです。ところで、実際にはすべての仕入れを輸入に頼っている会社もないわけなので、結構考えが面倒くさくなります。
また、業態にもよりますが、仕入れ値の変化は多少のタイム・ラグを経て価格に転嫁されます。今の例であれば、今期の仕入れ値に影響を与える為替レートが、今度は、来期の販売価格に反映されるわけです。部品製造メーカーなどは一般的にこのような構造を持っていることが想定されますから、要するに、今期の売上の一部は前期の為替レートの影響を受けた価格設定と関連しているのです。
本来であれば、ここまで考えて企業評価もやらなきゃいけないんだろうなぁー、と思いつつ、でも、実際にはきっとみんなせいぜい重回帰分析しかしていない、いや、もしかすると単純な回帰分析しかしていないかも…などと思いました。
もちろん、企業の側ではこのあたりのデータが本来はしっかりしているべきなのですが、一方、世の中には読めない要因もあまりに多いためモデルだけが精緻でも意味がないのも事実ですが。
2013年2月18日月曜日
S&Pが日本のAA-を確認、見通しは引き続きネガティブ
前も触れたかもしれませんが、私は「国債=エクイティ」説なので、日本人が国債を保有している限り日本の財政破綻はないという考えに近く(100%そうだというわけではありませんが)、経常収支が黒字である限りは、P+L的には日本からおカネが出ていっているわけではないので心配ないと思っていますが、まずは貿易黒字を回復したいところですよね。
「ヘッジ付外債投信」が人気とやらについて
外国債券の為替リスクをヘッジするというのは、ものすごく単純にいうと、為替リスクは排除できるものの、他のリスクを際立たせる働きがあります。具体的には金利リスクと信用リスクで、前者はその通貨の金利変動、後者は発行者の信用度(の変化)によるものです。
たとえば、一般論としては米国債を為替ヘッジ付で買うことに意味はありません。なぜなら、為替ヘッジをしてしまうと、両国の金利差を消してしまうからです。つまり、日本の国債を買うのと同じです。ただし、日米のように、短期金利の差のほうが長期金利の差よりも大きいと、短期的には「米国債における『短期金利と長期金利の差』」に注目した投資は可能です。ただ、これも未来永劫に続くわけではなく、10年の米国債を購入し、為替ヘッジを続けていけば、10年後には、実際には日本の公債を買っていたのと同じ利回りに収束するのが理屈なのです。
ここで、仮に10年国債を半年後に売却するつもりなのだとしたら、結局、米国債の価格変動リスク、つまり、金利リスクを負っていることになります。もちろん、それを分かった上で投資をするのであればまったく問題ないのですが、そもそも日本の国債にだってどんなリスクがあるか分かっている個人投資家はさほど多くないわけで、結構な疑問だと思います。
信用リスクについてはいうまでもないでしょう。発行者が倒産したらおカネを失うというリスクです。これは、投資対象の債券の満期が長かろうが短かろうが発生するリスクです。新聞記事で「短期の好利回り債」で「ヘッジ付でも7%が期待できる」とあったようですが、この低金利で7%もの利回りが出るような社債なんて怖くて買えないような気がします。「外債だから利回りが高いんじゃないの?」と思うかもしれませんが、為替ヘッジをしているということは、短期金利差の分は消えていますし、そもそも日米の金利差はさほど大きなものではありませんから、日本円で7%の利回りが出る債券だと考えればいいでしょう。そんなものがあったら、発行者の信用度を疑うほうが正しい神経です。
2013年2月17日日曜日
格付け会社の格付け
S&Pを米司法省が訴えた(民事ですが)のは2月5日ですが、それを受けて、2月7日にはフィッチがマグロー・ヒルの格付けをA-からBBB+に格下げ、そして15日にはムーディーズがA3からBaa2に格下げしています。
というのを、たまたま見ていたブルームバーグのニュースで気付いたのですが、三井住友信託の瀬良礼子氏って著名な方なんですね。恥ずかしながら存じ上げませんでした…。
ちなみに、ムーディーズの格付けはS&PからBBB+となってます。
2013年2月16日土曜日
ソロス氏と円売りトレード
ロジックは簡単で、大儲けをしている人たちの手の内が公になるときというのは、たいてい、既に手じまっているからというものです。もっとも、ポジション・トークとして、さらに同じ方向に持っていこうとしている場合もあるので一概には言えませんし、その意味では、そちら(円売りはもう終わり)というのこそポジション・トークでもう一回買いなのかもしれませんね。
G20が注目されている理由は円安のペースが速すぎたからですし、ここで大きなポジションは取りにくいんでしょうけれど、もうすこし円安でもいいのかなぁーという気はしております。
それでもジャンク債は面白いじゃん、という説もあり
「お、すっげー」とか「ポジション・トーク(自分が保有しているから価格が下がったら困る)」ちゃうのとも思ったのですが、よく読んでみると:
・ 確かに、現在のジャンク債は買われ過ぎのような気がする
・ 利益と損失の非対称性(必ずしも確率で加重しない)を考えると空売りに一理あり
と言ってまして、ただ、一部のディストレスト(すっごい価格が下がっている)ジャンク債であれば、債券価格も額面の70とか80%であり、デフォルトは20%程度の確率なんだから、ペイするんじゃないのっていう話でした。クレジット市場ではこのような発想も非常に大切ですが、いかんせん、日本ではユニバースが狭すぎて、なかなかこのような理屈が通らない(大数の法則が働くほど母集団がなく、確率どおりにいかないリスクが高すぎる)という悩みがあります。
米CMBSの裏付け債権で保守性が落ちているかも…
2013年2月14日木曜日
債券の損益非対称性
Big investors lead bets against junk bonds - http://www.ft.com/cms/5f47bb20-7605-11e2-8eb6-00144feabdc0.html
国債を含めて債券には利益と損失との間にとんでもない非対称性があります。それでも行くっていうのがクレジット投資の醍醐味の一つなのですが、空売りというのもその非対称性を逆手に取る有効な手法です。欧米でオオテノ投資家がジャンク債の空売りを仕掛けてるという話がFT紙に出てました。ジャンク債は利回りが高いので空売りのコストも高いのですが、どうやってるんですかね。コストを賄おうとするとロンドン鯨みたいになっちゃいますしね。
ゲーム理論とゲーム
Real lessons from virtual worlds - http://www.ft.com/cms/s/0/151b8794-750f-11e2-a9f3-00144feabdc0.html
劣等生として学生時代にゲーム理論をかじった身としては面白い話です。実際問題として、経済の問題の多くはある程度単純化しないと本質がなかな理解できない性質を持っているのでたしかに有用そうです。
ただ、日本で、著名な経済学者がゲーム開発に携わる日が来るようにはあまり思えませんが。
2013年2月13日水曜日
自分で自分の首を絞める
知っている人は知っている(クレジット・デリバティブ編)
こないだ、オランダの不動産金融機関が国有化され、オランダの国が保有していた劣後債の価値をゼロにするという処置が取られたのですが、民間の投資家がいなかったこの債券の価値がなくなるというのが、「保険事故」に該当するのかどうかというのがその業界団体で話し合われていたのですが、結局、FT氏の推測では「よーわからんから明日もういっぺん話し合おまい」という話になったとか。
ま、いまどきクレジット・デリバティブについて詳しくなっても、使い道がないという説もありますが…。(ちなみにこの人はまともです)。
2013年2月12日火曜日
Caveat emptor か Caveat venditor か
そんなの日常茶飯事じゃん、というのが日本の事情を見ている人の印象ではないでしょうか。金持ちだったら損させてもいいんだって、言い切る業者もいるみたいですしね。
中央銀行の役割
とまとめたらちょっと乱暴ですが、「通貨戦争など起きていない」という話がFT紙に出てました。著者は前スイス中銀総裁で、なるほどっていう感じです。
2013年2月8日金曜日
2013年2月7日木曜日
誰かが貸し続ける限り会社は潰れない
ま、それはそれでいいというか、そんな、いわばマクロ情勢に気をあまりとられるべきではないというのが私の心情で、それに賛成する人も反対する人もいるのでしょうけれど(クレジットのマクロ・プレーヤーがいるのは確かですし、クレジットのイベント・ドリブン投資をやれる人の度胸は、それはそれで凄いと思います)、それはさておき、ここに日本の国債における教訓はないでしょうか? そう、発行できるときにできるだけ長期債を発行すべきですよね。確かに、今の5年債と10年債の利回り差は倍率で言えば凄まじく(絶対値としては大したことありませんが)、あれを見ると5年債を発行したくなる気持ちも分かりますが、所詮誤差の範囲ですし。
ただ、そもそも論として、日本の場合、借り換えもさることながら、今年の財政赤字もファイナンスしなくてはならないので、それは、一応、利益を上げることもある会社とは違いますか…。
それにしても、日本の国債のリスクを考えると、よくこんな利回りで投資できるもんだと個人的には思います。よほどみなさん安全志向なんでしょうけれど、その安全さの対価として得ているものを考えると、コスト払ってでも貸金庫のほうが賢いかもしれませんよね。もっとも、マクロ経済的には、国にもおカネを使って欲しいと思いますから、こんなこと言っていてはいけないのですが。
予測損失率の低さ
クレジット投資にも通じるところがあって、たとえば投資適格と呼ばれる債券に投資をしていると安全かというと、実は、投資適格であるがゆえにクッションが少ない(利回りが低い)ことが多く、結果、ちょっとしたデフォルトによって大きな損失を被ることがあります。ところが、「投機的格付」とか「ジャンク」と揶揄される債券は、それがゆえに利回りが高く、クッションが厚いため、それなりのデフォルトに耐えうるわけです。しかも、揶揄されるがゆえにちゃんと分析をする人がいれば、その人はなおさらアウト・パフォームするってことがありますよね。
だからクレジットの世界はやめられないわけですが、なかなか、日本みたいに、アメリカであればジャンクなのに投資適格にされてスプレッドが狭くなり、逆に、日本でジャンク視されるものはもはやまっとうな経済性の分析ができなくなりますから、債券の世界では難しいです。やっぱり、銀行がいちばん楽しいんですよね、この国のクレジット・ビジネスは。
為替のインプライド・ボラティリティが上昇している
ひとつの解釈は、銀行さんがさかんにやっていた「レシオ型シンセティック・フォワード」と呼ぶ取引で、レシオというのは要するにプットを倍とか3倍売らせる取引なのですが、このストライク(ドル買い)レートが実勢よりも有利になってきた、あるいは、有利になる点が近づいてきていることです。これまで、高いドルを毎月20万ドル買わされていた人たちが、ドルを安く買うことができるようになる一方で、買えるドルは10万ドルしかないというように倍率(レシオ)が逆転するので、その埋め合わせのために実質的にコールを買わなくてはならないというわけです。
いずれにせよ、リスク・リバーサルが示唆するところは、円安になるとますますボラティリティがあがるということです。円安になればなるほどヘッジしなきゃと思うひとが増えるからです。そして、ここにきてボラティリティが上がってきました。ボラティリティが上がると、リスクを取る人にとっては面白い取引ができるようになりますが、これからどうなりますかね。
2013年2月5日火曜日
クレジット投資
欧米のクレジット投資家にとって昨年は非常に良い年だったようで、中央銀行の流動性供給の形で金融システムに多額の資金が滞留、ある程度まともな借り手であればいくらでも融資を受けられたという情況であったため、企業倒産が減るどころか、流動性を原因としたクレジット商品の価格上昇(スプレッド低下)もありました。結果、クレジットを投資対象とするファンド(≒投資信託)は非常に好成績を残したとか。
それは今年は難しいでしょ?というのがフィッチの言っていることなのですが、(一応、専門分野なので言わせてもらうと)そもそも、クレジット投資でトップダウンはあまり進められないなぁーというのが正直な気持ちです。実際には、仮に株で運用しろと言われてもトップダウンはしないとは思いますが、結局、クレジット投資のアウト・パフォーマンスの基はどこにあるのかというとデフォルトにあたらないで、どこまで表面的に怪しい(=利回りの高い)ものに投資できるかにあるわけで、価格が倍になることがある株とは根本的に違うと思うんですけどね。
銀行がカネを貸し続ける限り
会社が倒産するのは、支払いができなくなるからです。逆に言えば、赤字垂れ流しだろうが、超債務超過だろうが、銀行がカネを貸し続けている限りツブれません。日本の国債の話でもあるのですが、それはともかく…。
ということは、格付け会社の役割は、ある会社が借金を続けられるかどうか予想することになります。ところが、多くの銀行は、与信基準のひとつに格付けを使います。簡単に言えばどっちもどっちであって、お互いに専門家だと自負しつつ、実は、どちらも単なる素人かもしれないわけです。
このあたりのアヤがクレジット投資の醍醐味であったりするわけですが。
2013年2月3日日曜日
追加型アクティブ投信の運用目標
2013年2月1日金曜日
円安だ…
基本的には、日本はほろびゆく国なのだから円安になるべきという議論には乗りたくなく、よいインフレが起こることを期待して、市場がそれを先取りしているのだと思いたいですよね。株高は、現状は日本の輸出経済を反映している、つまり、円安に反応しているだけなのだと思いますが、全体的な好回転を期待したいところです。願わくば、一部のファンドだけが儲かるようなおカネの回りかたは避けたいですよね。
ということは、やはり政治の出番ということですよね。これはこれで催促相場なんだと思います。是非、このあたりで、若者が将来に希望を持てるような政策をガンガン打ち出して欲しいものです。アエラでは完全に少数派でしたが、この際、40年前、50年前を思い出して、オリンピックだ、万博だといったものでもいいというか、変な意味でなくて国威高揚となるようななんかが欲しいです。
CDOの復活(みたいなもの)
CMBSに近い商品として「CREのCDO」というのがあって、CMBSの裏付け資産は基本的に既に賃料を生み出している不動産を担保とした融資なわけですが、CREの場合は「商業用(カネ儲け用)不動産」が担保になっていればなんでもよく、米国でよくあるのは、分譲用の土地、建物の建築資金のほか、CMBSの基となる融資よりも返済順位の低い不動産担保メザニン融資や、他のCMBS証券です。
背景にはCMBSの利回りが急低下していることがあるそうで、CLOと同じく、きちんとした裏付け債権であれば証券化をしても安全なんですよね。もっとも、そうなったときに発行され始める証券が安全とは常には言えないのは、いつの時代でも同じなのでしょうけれど。
子会社の健全性
これって、与信判断をする上で、親会社・子会社の関係をどう判断するのかと実は似ています。銀行だと、親子すべての口座を管理していたりするものですから、親子一体と見易い一方で、法律的には親子は別法人であり、株主は有限責任しかないわけですから、子会社がしっかりしてなきゃ困るという議論ですね。
別に答があるわけではないのですが。
大阪の仕組債訴訟
内容からすると、原審はこれみたいで、冷静な第三者(に近い人)が公刊したものに内容が出ていないかどうかも確かめながら中身を確認してみたいとは思っていますが、ざっと見たところ、それなりに証券取引の経験のある法人が投資家だったみたいで、そうであっても、やはり複雑な商品は複雑であるということのようです。