2013年2月18日月曜日

「ヘッジ付外債投信」が人気とやらについて

大新聞が夕刊とはいえ、トップの記事にするようなことなのかしら?と思いつつ…。

外国債券の為替リスクをヘッジするというのは、ものすごく単純にいうと、為替リスクは排除できるものの、他のリスクを際立たせる働きがあります。具体的には金利リスクと信用リスクで、前者はその通貨の金利変動、後者は発行者の信用度(の変化)によるものです。

たとえば、一般論としては米国債を為替ヘッジ付で買うことに意味はありません。なぜなら、為替ヘッジをしてしまうと、両国の金利差を消してしまうからです。つまり、日本の国債を買うのと同じです。ただし、日米のように、短期金利の差のほうが長期金利の差よりも大きいと、短期的には「米国債における『短期金利と長期金利の差』」に注目した投資は可能です。ただ、これも未来永劫に続くわけではなく、10年の米国債を購入し、為替ヘッジを続けていけば、10年後には、実際には日本の公債を買っていたのと同じ利回りに収束するのが理屈なのです。

ここで、仮に10年国債を半年後に売却するつもりなのだとしたら、結局、米国債の価格変動リスク、つまり、金利リスクを負っていることになります。もちろん、それを分かった上で投資をするのであればまったく問題ないのですが、そもそも日本の国債にだってどんなリスクがあるか分かっている個人投資家はさほど多くないわけで、結構な疑問だと思います。

信用リスクについてはいうまでもないでしょう。発行者が倒産したらおカネを失うというリスクです。これは、投資対象の債券の満期が長かろうが短かろうが発生するリスクです。新聞記事で「短期の好利回り債」で「ヘッジ付でも7%が期待できる」とあったようですが、この低金利で7%もの利回りが出るような社債なんて怖くて買えないような気がします。「外債だから利回りが高いんじゃないの?」と思うかもしれませんが、為替ヘッジをしているということは、短期金利差の分は消えていますし、そもそも日米の金利差はさほど大きなものではありませんから、日本円で7%の利回りが出る債券だと考えればいいでしょう。そんなものがあったら、発行者の信用度を疑うほうが正しい神経です。

0 件のコメント:

コメントを投稿