2013年5月31日金曜日

日本代表を見て思うこと

ある程度社会人生活を送った時間が長くなると、人間には、タイプというか特徴があることに気付きます。同じような能力の人達が集まっている営利集団の中には、責任感を背負うと実力がきちんと発揮できる人がいる反面、一人で責任を負おうとしてプレッシャーになってしまうと実力があっても結果が出にくいという弱点があるものの仲間と数人で責任を負うことになるとイキイキとし始めるという人がいるものです。

本田圭佑選手と吉田麻也選手は、プロの始まりがグランパスであり、かつ、国内ではグランパス以外ではプロ選手として活動していないのでグランパスの選手だという思いがあるため贔屓目に見ているのは確かなのですが、それにしても、本田選手と香川選手の差はどこにあるのだろうといつも思っています。思うに、香川選手は責任感が分散されているときには実力を発揮するタイプであって、ブンデスリーガのときは実はよく知らないものの、プレミアでファン・ペルシーやルーニーとやっていればすごい輝きを持ってプレーしているのは分かりますし、実際に点も取っています。しかし、周囲に同じくらいすごい選手がいないときに実力が発揮できる選手なのかと考えると、実力がないという意味ではなく、精神的にはそのようなタイプではないように思えてしまうのです。

なので、技術的とか戦術的には、本田選手と香川選手とでの差はないのかもしれませんし、タイプとして香川選手のほうがいわゆるトップ下に向いているという議論も、素人の私にはわかりませんが、多くの専門家がそういうのだからそうなのでしょう。でも、弱さというのではなく、タイプとして、責任感をひとりで背負わせると、結果を出しにくい人のように香川選手は見えるのです。ドルトムントのときは凄く活躍をしているはずなので、ここ1年位のプレミアとか日本代表だけで判断するのは危険でしょうし、本田選手に対する贔屓目があるのは間違いないのですが…。

もっとも、実際には、本田選手に対しては、みんなが(もしかすると本田選手の実力以上に)頼りにしていて、その結果として、頼りになる選手がいるという安心感からプレーに積極性が出るだけなのかもしれませんよね。でも、それはそれで大事な素養なのかもしれないし、やはり会社員でもそういうタイプの人がいるのも確かだよなぁー、などと思ったりもします。

オーストラリア戦では、2001年のイングランド対ギリシャ戦での最後のベッカムのような終わりかたを本田選手に期待しているのですが、ま、贔屓の引き倒しという言葉もありますので気を付けましょう。

ベイル・イン

"How to Make Bank Bail-Ins Work" http://feedly.com/k/ZtZr4i  債券の投資家が銀行破綻に際して損失を負担するのであれば、銀行経営にもっと精通するための情報が必要だと。ごもっともで。

判例誌

高価なので、なかなか個人で判例誌を揃えるのはたいへんですよね。でも、重要な最高裁の判決はホームページに掲載されるので、大変重宝しています。

と思っていたら、最新の金融法務事情と金融・商事判例とに同じ最高裁判決(H24.10.12最二判・民集66-10-3311)が出てて、不思議でした。前者については評釈掲載という事情があったのでしょうが。

インプライド・コリレーション

日経平均のインプライド・コリレーションが0.30程度で、ここ3か月くらいの下限近くにあって割安なように思います。実現コリレーションも0.462とかで、かつ、実現コリレーションとの差(逆転幅)もここもとでは最大なようです。

政府債務と経済成長

Debunked Economists Face Even More Embarassment - http://huff.to/1aFfBrd

このあたり、哲学的にどちらの立場にいるのかで結論が変わってくるので、経済学は自然科学ではないなぁーと実感します。私自身、経済成長のために一時的に政府債務が増えるのは正しいと思ってますから、ラインハート=ロゴフ論文にはそもそも納得しがたいわけです。この記事にある論文も、必ずしも超高名な学者の手によるものではなく、でも、結論としてRR論文の誤りを指摘、あるいは因果関係が反対であるという点が注目されているということですよね。

金融特訓キャンプ

"Wall Street Turns to ‘Boot Camps’ to Bring New Workers Up to Speed" http://feedly.com/k/178vnxG

日本でも、こういうのあったほうがいいのかもしれませんね。ただ、実際には、そもそも金融とはどんなものかという研修を中堅異常の幹部候補にやってみる必要があるのではないでしょうか。

2013年5月30日木曜日

あたったことだけ覚えている

人間なんて勝手なので、相場の予想は、はずれたときは忘れていて、あたったときのことだけ覚えているものです。自分のおカネが関わっているときはまたべつだというのが、なおさら人間の勝手さを表しています。

ということで、明日以降ですが:

1) 株は、今日が底値だとは必ずしも思わないものの、そろそろ調整が終わりなのではないかと思っています。ただ、基本的には「催促相場」であって、安倍政権が実際には一本目の矢しか放っておらず、財政出動もよくわからないし、規制緩和なんていつ効果がでるのかわからないことを「規制緩和」という掛け声だけで実際にはなんにもやっていないということを見ると、嫌な感じはしています。

2) 為替については、基本的にはレンジが100円~105円に切り上がっているので、今後も100円台(100円以上101円未満)に戻ることがあれば買いなのではないかと思っています。次のレンジの105円~110円がひとつの達成感でおそらくは都議会議員選挙後、参院選までに達成すると思いますが、その後は95円~110円という範囲で動くのではないかと思っています。

3) よくわからないのは債券ですが、基本的には0.6%から0.9%なのでしょう。ちょっとレンジ広すぎますが、読みにくいです。

ま、個人的には当たれば覚えている(これとかこれですね)ものですけれど、実際には、はずれるときはめちゃくちゃはずれますから…。

2013年5月29日水曜日

外貨預金の円建て利回り計算

外貨預金の円建て利回り計算は、実は結構難しいです。

もちろん、税引前の計算であれば簡単なのですが、税引後だとすると、為替差益にも課税されるからです。

たとえば、1ドル=100円のときに1万ドルをドルの外貨定期預金1年ものとして1%で預け入れたとすると、1年後の元利合計は1万100ドルですから、そのときの両替レートをぶつければ円建ての元利合計が出てきます。なので、税引前の円建て利回り計算は簡単です。

しかし、為替差益は雑所得として総合課税ですから、人によって税率は異なります。たとえば1ドル=102円だったとして、総合課税の限界税率(ここは平均税率ではなくて限界税率を使わなくてはいけません)が30.42%だとすると:

為替差益 → 1万ドル×2円/ドル=2万円
限界的な納税額 → 2万円×30.42%=6084円
税引後の元本 → 1万ドル×102円/ドル-6084円=101万3916円

となります。また、利息部分は100ドル×102円/ドル-100ドル×102円×(15.315%+5%)=8128円ですから、結局、元利合計は102万2044円、税引後の利回りは2.2044%となるわけです。はぁーっていう感じですね。

米住宅価格

ケース=シラー住宅価格指数が前年比10%以上上昇していて、米国の金融緩和もそろそろ終わりだと思われても確かに不思議ではないですね。フィッチは速すぎて怖いというコメントを昨日出してますけれど。

ま、バブルちっくにならなければ不況から抜け出せないのは歴史が教えているわけで、どの段階になると「退治しなくてはならない」バブルなのかが難しいのですけれど。

米国債利回り

最近ちゃんと見ていなかった(反省)のですが、米国債の利回りが凄いことになっているんですね。米景気、特に、GDP中の民間活動の部分が堅調でということが理由なのでしょう。ゴールド価格の下落と同時に考えると、安全資産から危険視酸への資金の回帰というか、逆「質への逃避」ということなのかもしれませんね。

メキシコで不動産が

"Mexico’s red hot real estate market" http://feedly.com/k/10yg4uc

メキシコで不動産市場が活況だそうです。

2013年5月28日火曜日

Hotel Chocolat

イギリスのチョコレート屋さん、ホテル・ショコラが売りに出ているそうです。ホーム・ページ見ているだけでよだれが出てきそうですね。

駅とか空港にお店が多いみたいです。

ハゲタカがハゲタカの標的に

"Hedge funds call for break-up of Kleinwort owner - FT.com" http://feedly.com/k/13Vvl9h

個人的にはハゲタカという表現は思考停止につながるので好きではないのですが、日本で有名なリップルウッドが、ヘッジ・ファンドによって解散を要求されているそうで。

昨日REITは強かった

"Japanese property: you heard Reit - FT.com" http://feedly.com/k/13VuUMd

REITは金利上昇の影響で下がっていたと聞いていたのですが、昨日は上がったそうですね。リフレ=不動産買い、ではあるのだろうと私も思いますし、銀行とかが利回りでREIT買うっていうのはそもそもどうかとも思ってました。

2013年5月27日月曜日

コベナント・ライト

クレジット市場の専門家の末席を汚す人間としては、投資適格でない、いわゆるレバレッジド・ローンとかハイ・イールド債にこそ分析の妙味が思っているわけでありまして、分析がきちんとできれば、財務上の特約(いわゆる「コベナント」)は二の次ということになります。もっとも、クレジットの世界の人間だからこそブラック・スワン・リスクが怖いのも確かであって、価格が倍になることはなくても元本全部を失うことは容易だというクレジットの世界の本質から、すべてにおいて慎重になるべきですし、コベナンツのようなオプショナリティは持っているに越したことはないわけです。

CLOが金融危機をうまく生き延び、また、投機的格付け企業も意外と不況に強かったということを背景に、投機的格付け企業を対象としたクレジット市場は活況を呈しているようでして、コベナント・ライト型のローンが再度流行しているそうです。上述のとおり、所詮は企業分析が上手くいけばあまり関係のない世界ではあるのですが、こうなるとすぐに「バブルだ」と言いたくなる人も登場しますね。

ま、プロからすると、このような過熱気味なときこそ、銘柄選択の妙味があるとも言えます。よーく考えてみると、株でも同じことが言えるのかもしれませんね。

2013年5月25日土曜日

デリバティブの解約清算金について

私自身は、デリバティブの解約清算金なんてかなりの部分常識的な算数で計算できると思っていましたから、解約清算金の説明をしていないから契約の内容がよく分からなかったんだというデリバティブ・ユーザーの言い分は、荒唐無稽に近いものだと思っていました。一方、紛争になったときに金融機関側が言う、デリバティブや仕組債は単純だという主張については、一般の人が理解できるほどは簡単ではないというふうにも思っていました。

しかし、いろいろな人のお話を聞いてみると、理論的な毎回の損失の合計が解約精算金になるという、事情を分かっている人から見ると当然の理屈は、実は、かなり金融に詳しい人でも明確ではないということに気付きました。自分で、一見単純だけれども実は複雑だとか、分かる人にとっては常識であってもそれは分かっているから常識だと思うだけであって普通の人から見ると常識ではないんだということを常々言っておきながら、自分も同じ過ちに陥っていたようです。

ということで、まだ100%宗旨替えをしたわけではありませんが、少なくとも、「解約清算金の理屈なんて理解できて当然である」というふうには即座に言わないように気を付けようと思っている今日この頃です。


日銀が国債市場を安定させられるのか?

Kuroda promises to stabilise bond market - http://www.ft.com/cms/cad415ce-c447-11e2-9ac0-00144feab7de.html

必ずしも間違っているとは思わないものの、すべてを日銀のせいにするのはどうなんですかね。このままだと、株の下がってるのも、若干のドル安もなにからなにまで日銀の政策のせいにされそうで、安倍さんはそのへんが小ズルそうなので、ちょっと不安です。黒田さんの侠気はそこを含めての日銀総裁ってことなんでしょうけれど。

2013年5月24日金曜日

日本を空売りする

Kyle Bass bets on full-blown Japan crisis - http://www.ft.com/cms/s/0/e2696b86-bd9d-11e2-890a-00144feab7de.html

確かに、無リスク金利(ここでは国債利回り)のオプション価格を導出するのに、その無リスク金利を用いるのはおかしいですね。サブ・プライムとの連想でいけば、長期のOTMプット買いということなのでしょう。

日本の貿易赤字が経常黒字の縮小にてつながり、国債をファイナンスできなくなるかもしれないという見立てには賛成で、それが起きないようにリフレで景気をよくしようとしているのが現在の状況ということですよね。

2013年5月23日木曜日

格付会社間の意見の相違について

格付会社が複数あるのは、本来は、それぞれ意見が異なるからのはずです。日本の格付会社の存在意義は日本の会社に甘い格付けを付与することであり、それを投資家が受け容れているからこそ存在意義があるように、他と同じであれば本来は意味がありません。他方、特に証券化のような複雑な案件になってくると、複数の格付会社が同じようなことを言っているということ自体が一つの安心材料なわけで、そうなってくると結構難しい問題になってきます。

ここもと、アメリカで新規のCMBS発行が見られるようになっているのですが、金融危機を経て、格付会社間で意見の相違が出てきています。先日、ムーディーズが他の格付会社を、名指しはせずに批判するレポートを出していましたが、今回はgloves offという感じで、名指しをされていなかった批判に対して名指しで反論するレポートを出しています。ニューヨークのパーク・アベニューにある立派なビルに対して、フィッチは「想定賃料なんかで不動産評価するのはアグレッシブ過ぎて格付けの基礎にできない」と言っているのに対して、ムーディーズは「正しい不動産価値は、将来の安定的な賃料水準であり、現行の賃料に拘泥するのはいかがなものだろう」というのです。どちらかと言えば後者に分があるような気がしますが、どちらに分があるということもさることながら、公の場で意見の違いを戦わせるというのは、それはそれで健全のような気がします。

本来は、格付に使用したすべての情報を入手した上で、勝手格付けをし合うのが競争には一番いいですよね。ま、日本では、投資家が情報開示に応じないという(極めておかしな)状況なため、とても期待できませんけれど。

コラテラライズド・ローン・オブリゲーションズ

Lenders to CLOs told to take lower rates - http://www.ft.com/cms/s/0/08132fce-c303-11e2-9bcb-00144feab7de.html

偶々(最近、大正から昭和初期の文学作品を読むことがあって、妙な漢字を使いたくなっているのです)昨日書いていた原稿とも通じるのですが、CLO好調みたいですね。リプライスというのは、実際には期限前償還なのでしょうけれど、こういうロハのオプションの価値を活用するのが上手なのは、クレジット投資専業会社の強みですね。

仕組債・デリバティブの時価

仕組債にもデリバティブにも時価がありますが、業者から顧客への見せ方は随分違っているようです。デリバティブの場合、取引直後から巨額なマイナスになるのですが、顧客の側ではなにかを「買った」という感覚が乏しいからでしょう、その金額が金融機関の原材料費との差額であることを知っているユーザーはほとんどいないようです。他方、仕組債も、関与している業者が数者あって、みんなが直接・間接に利益を上げていますから、その分、購入価格と実際の価値とは大きな乖離があり、差額は時価のマイナスに相当しますが、デリバティブの場合と異なり「買った」ということに敏感な投資家の反応を考慮して、業者が仕組債で当初から正確な価格を提示することはまずありません。アメリカではこの点について当局が関心を示していて、仕組債の販売に際して「公正価値を示せ」としていますが、思うに、継続的な表示かマーケット・メイクを義務付けない限り、投資家の側も不感症になり、薬の注意書きのように誰も気にしなくなる危険を孕んでいます。

で、仕組債が対象となっている紛争では、そもそもの投資価値と商品性が見合っていたかを示すことがひとつの戦術としてあるのですが、証券会社が提示する時価は、通常、購入後しばらくの間は購入価格(額面の100%)のままです。これは、証券会社の利益を含め、その証券の本当の価値を示していないのは言わずもがな、市況の変化も反映させないのですから、デリバティブの時価と比較すると、その点でははるかに質が悪いのです。たとえばノックインが組み込まれている仕組債は、少しでもノックインに近づくと(円高やボラティリティ上昇)、まだノックインに遠くても価格は下がりますが、多くの場合、かなりの確度でノックインが見えて来ない限り、仕組債の価格を下げて提示することはないのです。

金融商品関係の法律の構成上、契約締結のための行為にはウソは禁じられてますが、直接勧誘に直結しないところには業法上のしばりはあまりありません。個別の事例にもよるのでしょうが、実際は価格が大きく下がっていたのに、ずっと購入価格のままで残高が表示されていたというのは、業者の側の何らかの害意を示す傍証にはなるにかもしれませんね。

格付けが低過ぎるという批判

"Ratings agencies under fire again - FT.com" http://feedly.com/k/195afro

米国の住宅ローン証券化で、今度は格付けが低過ぎるという批判が出ているそうです。どっちかにしろよ、という気もいたしますが、穿った見方をすれば、既に買っている人は格上げによって儲かるわけで、ポジション・トークもあるんでしょうね。

2013年5月22日水曜日

MarkItにシンガポールのSWFが資本参加

MarkItって、クレジットの世界では有名でして、基本的にはCDS(クレジット・デリバティブ)の価格情報会社なんですけど、最近うるさくなっている清算集中とか、コンファメーションの電子化とか、そういったもろもろのインフラストラクチャーにも手を出していて、エクイティ系のデリバティブなどにも登場してきます。クレジット指標のトランシェ市場もMarkItを見るとある程度のことが分かって、もんのすごいテクニカルなので興味のある人はあまりいないのですが、コリレーションとかもトランシェ市場が参考になるのでMarkItは不可欠なのです。

ということで、その不可欠さにひかれたのでしょうか、シンガポールのソブリン・ウェルス・ファンドであるテマセクが、MarkItに資本参加するんだそうです

マイナス金利

日銀に出来ることはなんでもやる!とまでは新総裁はおっしゃっていなかったように記憶していますが、とにかく、一度試してほしかったのがマイナス金利です。システム上難しければ口座管理料でもいいのですが、現在、じゃぶじゃぶになったおカネが海外に向かっているとか、株が下手したらバブルちゃうのという話になっていることを勘案すると、マイナス金利を再考してもいいのではないかしら、と(いつものとおり)FTアルファビルを見て思いました。

日本人とクレジット投資

日本人はクレジット投資が苦手です。仕組債でヘンなオプション売りをさんざんやっているくせに、と思いますし、ブラック・スワン・リスクが苦手なのは万国共通なのですが、でも日本人のヘタさは際立ってます。これには社会が優しい(倒産しにくい)、その裏側として倒産に対する社会的スティグマが大きすぎる、という国民性というか文化の影響もあるのですが、それにしても…ですよね。

2013年5月21日火曜日

外国人が日本株を買っているのに、なぜ円高にならないのか?

FTアルファビルのコラムによると、円安に備えてヘッジしながら日本株を買っているからとのこと。それどころか、円建ての株価が上がると円建ての資産価値が上がってしまって、もっとヘッジしなくてはならないから、結果、外国人がヘッジ付で日本株に投資すると円安になるとか。ふむふむ…。

ブラックロックがMGPAを買収

MGPAって、もともとものマッコーリー・グローバル・プロパティ・アドバイザーズですよね。

http://www2.blackrock.com/content/groups/global/documents/literature/1111188047.pdf

投資銀行

"Tumblr Deal Was a Private Party, With Few Bankers Invited" http://feedly.com/k/13C0o6C

日本でも、大型買収には売り手・買い手の双方に投資銀行のアドバイザーが就くというのが一般的になってきましたが、今回のヤフーによるタンブラーの買収には投資銀行は1社しか絡んでないそうです。

25年くらい前まではM&Aは金融機関の花形でしたが、一番格好良いのはボンドだよなーというのが経験からの実感でしょうか。

2013年5月20日月曜日

国債とVaR

国債の利回りの変動率が上昇していて、リスク管理指標としてのVaRもそれて連れて増えているため、国債が売られているという話があります。価格の振幅が大きいということは、それだけ、逆方向に行くと損をしやすいので、国債の保有額の絶対額ではなくてリスク額で管理をしようとするとVaRを見なくてはならないのですが、これは、市場が変動すると大きくなるわけです。ま、ちょっと考えれば分かりますし、FTアルファビルにも出ているとおり、これは自己完結型のスパイラルなわけで、みんながパニクれば価格が下がり、価格が下がるということは変動幅が大きくなり、となるとVaRが大きくなってまたみんなが売らざるをえなくなり…と続いていくわけです。

で、FTアルファビルが紹介している話のひとつの結論は、でっかい銀行はまともにリスク管理をしているから、実は国債利回りが上昇しても大丈夫だけれど、ちっこい金融機関はリスクを無視して利回りを取りにいっているから、金利が上昇すると大変だよねぇーと。現出しなければいいですが、どうなりますかね。

2013年5月18日土曜日

ゴールドの価格が下がっている → 国際商品の利用者はドル高ヘッジをしろというウソ

米ドル建ての金価格が下がっているみたいですね。株価の上昇によって金融危機感が後退しており、安全資産としてのゴールドの避難価値が下がっているうえ、ドルが他の通貨に対して上昇しているからというのがWSJ紙の見立てです。

株価上昇は景気回復でもあるので、インフレに強い資産であるゴールドが売られるのは不思議な気もしますが、現在起きていることという意味で言えば、ゴールドから資金が株に戻っていると説明されるようです。また、実際問題としてのインフレ懸念はあまりないということもあるようです(←日本がデフレを輸出しているから?)。

ドルの強さについては説明が必要かもしれませんが、要するに、インドや中国などゴールド好きの人達からすると、ドルが強くなろうがなるまいが自国通貨でのゴールドの価値が大切なわけで、仮に自国通貨建てのゴールドの価値をコンスタントとすると、米ドルの価値が上がればその分米ドル建てのゴールド価格は下がらないと割に合わないということですよね。

このドルとゴールド価格の議論については、以前も書いたとおり、国際商品価格はドル建てなので、国際商品(ゴールド、アルミ、原油、天然ガス)等を用いる事業者はドル高ヘッジをすべきという考えかたはウソだということの証明にもなりますね。

投資助言の無意味さ

株式については、銘柄選択はプロがやっても猿がやっても同じだというのはよくある話で、学術的な論文もいくつも出ているのですが、テーマ型の投信だとなんか儲かる気がするなどの投資家の錯覚を利用した手法は後を絶ちません。

HBRのブログに同じ趣旨のコラムが出ていますが、「ほんと、なんで(個人)投資家が投資信託買うのか理解に苦しむ」という理屈に立脚してその理由を探っています。基本的には、カネが絡むと人間は合理的な判断ができなくなるというのに尽きるのですが、にもかかわらず、資本主義とは、人間がカネを稼ぎたいという欲求に成り立っていて、かつ、契約法は自己原則で成り立っているというところに法律的・政治的な矛盾がありますよね。裁判例ですっきりしないものが多いのも、このあたりが問題かと。

ちなみに、元ネタはいつものとおりフリーコノミクスで見つけてます。

2013年5月17日金曜日

アメリカの女性の婚姻率

フリーコノミクスのブログを見ていたら「妻が夫より稼いだら」という意味のやつがあって、シカゴ大ビジネス・スクールの先生たちの論文を紹介してました。簡単に言うと:


1) 米国で25歳から39歳の女性が結婚している率が下がっているのは、結婚すると相手の男性よりも稼ぎが多くなってしまう女性が増えたから

2) 働くと旦那よりも稼ぐ可能性の高い女性は、労働市場に出ていかない(働かないで主婦になる)傾向がある

ということだそうです。日本でも「格差婚」などと言って話題になることがありますが、あれは、法則を証明するための例外(the exception that proves the rule)なんでしょうね。それはそれで悲しいことですし、アメリカで「ガラスの天井」と呼ばれる一方で、北欧などではそれがほとんどないということを考えると、アメリカの保守的な部分がなんとなく感じられるような気もいたします。

現実を反映していない相場は怖い

phoney QE peace masks markets’ fragility - http://www.ft.com/cms/0810ce9a-be2c-11e2-9b27-00144feab7de.html

ジリアン・テット氏のコラムはテーマがなんであれおもしろいものが多いのですが、これも、言い古されているとは言え、たまに思い出すのは重要ですね。企業業績と関係なく株価が上がり、財務内容が悪化しているのに信用スプレッドが縮小しているですか。日本は特殊要因で好調な相場が続いているのだと思いますが(バブルのときもそう言ってましたが)、仮に米国が暴落すると無傷ではいられないし、テット氏の言うとおり、
ブラック・スワン効果のほうが怖いのかもしれません。

2013年5月16日木曜日

目立つことが目的なんだから

フィッチが日本の国債のシングルA+(Aプラス)を確認し、見通しをネガティブのままとしています

ま、いまさらフィッチの格付けで、しかも確認を見て一喜一憂する人もいないのだろうと思いますし、株がこれだけ上がってくるとどうでもいいという感じもしないでもありませんが、どうせ目立つことが目的なんだったら、逆に、「日本の財政・金融政策が新たな方向に向かいつつあり、これまでの決めない政治からの決別が見られ始めている」とか言って、せめて見通しをステーブルにするぐらいのほうが度胸があっていいんではないですかね。株価はともかく、今、このタイミングで格付けを引き上げないことは誰にでもできるわけですし。

日本人と英語 This is pen.

数えられる名詞を、単数のまま冠詞なしで用いるのは、極めて特殊な場合だけというのは、割と早く習うことですが、日本人が苦手なルールの一つです。基本的には、冠詞を用いないのはコンセプトを表していますが、「というもの」という意味では冠詞(不定冠詞でも定冠詞でもいい)を使いますから、「〜なるもの」という感じでしょう。

日本で一番難しい大学を卒業し、日本を代表する銀行に勤めていた人が数多く天下りしているであろう上場リース会社が、日経の最終面に掲載している広告に不思議な英語を見ると、笑うより悲しくなります。ま、私の知らない高尚な英語であるだけなのかもしれませんが。

2013年5月15日水曜日

真の不動産屋さんとは

不動産を金融的に見ることには反対はしないものの、不動産は不動産屋さんのものであるべきというか、最終的なリスクは本当のプロじゃなきゃ、という意見は持っています。バブルに踊るのは素人で、バブルがあろうかなかろうが、行くと決めたら腰を据えていくというのが真のプロでもあるんだろうと。

三井不動産がニューヨークやロンドンで活発だというのは、恥ずかしながらあまりよく知らなかったのですが、WSJ紙のこの記事を見て、やはり不動産のことは不動産屋さんだよね、と思いました。短期的には失敗もするのでしょうが、最後は本当のプロに任せるべきですよね。

まだ、ハワイのハレクラニも三井不動産が持っているんですかね?

金利上昇でREITが下がっている件

なるほど、金利が上昇すれば、その分、不動産利回りも上昇せざるを得ないのでしょう。また、利回り期待で買われていたのだとすると、代替(国債)利回りが上昇すれば、切り替わりが起きて価格が下がるのかもしれません。

不動産を金融的に見ること自体は反対しないものの、過度な金融商品化には問題があると思ってます。現在のテーマは、少なくとも資産インフレなわけで、ヘンな金融屋に踊らされてはいけないよなー、と金融屋としては思うのでした。

2013年5月14日火曜日

事業証券化なるもの

事業証券化というのは、日本の場合、不動産の証券化だと言ってしまうと、「調達したい額>不動産の評価額」となって都合が悪いため、不動産の価値を上回る資金調達が可能になるような理屈として用いる表現です。実態は、ほとんどの場合不動産の証券化であって、アレンジする側の無理と投資家の無邪気さが重なっているものです。

本件がそうだというわけではありませんが、熱海ビーチラインの証券化案件が今日ムーディーズから格下げされていて、しかも、格下げ含みのウォッチ継続なんだそうです。リファイナンスされることが前提で、リファイナンスされない場合のシナリオ云々という当たり、ほとんど不動産と同じですよね、基本的な発想が。それがいいとかいけないとかではなく、そういうものだということを分かった上で投資・分析しましょうねということなんだろうと思います。

実際、LBOなんて、いちおう担保は取ってますが、担保処分で回収がほんとうにできると思っている人がいるかというと必ずしもそうではなく、あくまでも優先度を確保する上での飾りですよね。あれこそ事業の証券化というか事業価値を見ているわけで、結局、日本では本当の事業証券化はなかった(か、あるいはソフトバンク・モバイルの案件はそうだったかも→でもあれもLBO)ということなのでしょう。

格付会社間の意見の相違

FT紙にも出ていたように、パークアベニュー375番という著名なビルの証券化案件につき、フィッチが批判を展開しています。もっとも、理屈は面白くて、損をすることはないかもしれないが、格下げの可能性はそれなりにあり、格下げするのは嫌だからトリプルAは付けたくないということのようです。

トリプルAを付けているのはムーディーズクロールですが、このような形で格付け会社がお互いを批判し合うことはある程度健全なのではないかと思います。明治・大正時代の文豪同士の公開書簡みたいになるとなおいいのにと思ったりもしますが。

太平洋クラブ

今朝の日経に出ていて「へぇー」と思っていたのですが、東洋経済では既に報道されていたんですね。こうなると、アコーディアもどっかに買われるのでしょうか…。

株主割当増資

第三者割当増資には有利発行の問題が常につきまといます。判例等で90%まで(10%のディスカウントまで)は裁量の範囲とされることが多いものの、じゃ、たとえばMSCBはどうするんだという話もありますし…。

実際、増資の方法としては株主割当増資が最も適切というか、少なくともイギリスでは極めて一般的ですが、日本ではこれまでほとんど実例がありませんでした。上場手続とかの技術的な問題があったからです。

今朝の日経にもありましたが、某ノンバンクがライツ・イッシューで資金を調達しようとしています。イギリスでは、ライツ・イッシューは証券会社/投資銀行が引き受け、行使されない分については証券会社が行使することで発行会社の資金調達額がぶれないようにしますが、その手法は選択していません。ま、個人大株主が行使することは間違いないから、最低の金額は確保できているし、とりあえずは大丈夫ということなのかもしれませんね。

国債の利回りが…

国債の利回りが、ちょっと見ていない間に0.85%ですか。利回りが上がる理由は実質金利が上がるか、期待インフレ率が上がるかのどちらかで、どちらかがここ数週間で劇的に変化したとは思えないのですが、景気回復期待による後者なんでしょうか。日銀さんの意図とはおそらく違うんでしょうけれど、どう出ますかね。

2013年5月13日月曜日

証券化の格付けを意味あるものにするには

以前から何度か申し上げているとおり、ここにきて米国のストラクチャード・ファイナンス案件、特にCMBSでは、他の格付け会社の格付けに対して「僕はそんな高い格付け付けないもんね(だからおカネ払ってもらえなかったんだよーん)」という内容のレポートが何度か出されています。フィッチやムーディーズが格付けを付けないで、クロールだ、モーニング・スターだ、ドミニオンなんちゃらだ、という格付け会社の格付けが付いているのを見れば、アヤしむべきなのが当然なわけですが、もっとも、それでもCMBSが飛ぶように売れているというのは、日本の一時期の某二大投資家の時代をほうふつとさせたりもいたします。

それはさておき、米国ではこの問題をどう対処するか、真剣に議論がなされているようで、それなりに健全な方向に行きつつあるようです。FT紙によれば、S&Pとムーディーズは、他の格付け会社を批判できるようにすることで市場の健全性が保てるという意見のようで、私もそれは非常に賛成です。私はかつて、ストラクチャード・ファイナンスの勝手格付けもありなのではと思っていたことがあって、実際には情報が限定されているためなかなか難しいのでしょうが、そういういことがあってもいいですよね。

2013年5月11日土曜日

お札を刷ればデフォルトしない

国の現地通貨建て債務はお札を刷り続ける限りデフォルトしない、という考えかたは間違っているというレポートをフィッチが出しています。お札を刷り続けるというのはインフレなんですが、インフレになると、結局、借り換えに際して必要なおカネが増えるので、もたなくなるよねというのが結論です。

そりゃそうでしょ、というかこんなこと格付け会社に言われなきゃ分からないというのも悲しい話のような気がしますよね。インフレで債務問題を片付けるのは不可能で、適度なインフレは債務問題の緩和になるのに過ぎないというだけなのは常識のような気がしますが…。だからハイパー・インフレにはならないというつもりもありませんけれど、日本について(日本がハイパー・インフレにならなかろうというのは、合理性ではなくて、単に国民がdocileなだけという感じがいたしますが)。

大学とデリバティブと訴訟

私自身は、紛争を裁判で解決することは合理的だと思っているので、裁判になったこと自体が報道されることや、下級審での判決を一面的に評価することは避けるべきだと思っていますが、でも、つい見てしまいますよね。ちゃんと見ていなかったから気付かなかったのですが、駒澤大学と外資系証券の件では投資家側敗訴が出ているようで夕刊紙にも報道されているようですし、豊明の藤田学園が日本の証券会社を被告に民事訴訟を提起したことも出ているようですね。

当然、個々の事例があるので一般化はできないのでしょうけれど、是非、情緒的な議論ではなく、冷静な議論の積み重ねで争点が絞られ、その争点についての判断がされるよう期待したいと思っています。個人的にはいろいろな考えがあるものの、話すと長いので…。

円安の効果

円安になっても日本の経済成長にはつながらない!、というのがこのコラムの趣旨です。なぜかというと、円安になったからといって日本の輸出企業は輸出価格(ドル建て)を下げるわけではないからというのです。

市場経済というのを考えてみれば当たり前で、価格は製造者ではなくて市場が決めるわけですから、日本車が売れるか売れないかは日本車の質で決まるし、そのドル建て価格は市場で決まってきますから、円安によってドル建てのコストが下がるか否かは消費者には無関係なわけです。ということは、企業業績がプラスになって働くという効果になりますが、このコラムの著者が見たレポート(UBS)によれば、結局、そのおカネがきちんと国内に回らない限りGDPの成長にはつながらないと。

おカネの流れという意味からはそうなんでしょうけれど、これはこれで短絡的なような気もしますよね。というのも、資産効果とか、英語でいえばFeel Good Factorっていうんでしょうか、要するに「なんとなく気分がいいからおカネ使っちゃえ」というのが経済成長にプラスなのは明らかですから。でも、こういう経済的あるいは経済学的な見かたをたまには冷静になってしてみるのも、確かに大切なようにも思います。

担保の有用性

担保はないよりもあるに越したことはない、というのはカネを貸すほうの論理だと思います。信用補完という形で使われる場合にはそのとおりであって、担保がなくても貸すのかもしれないけれど、担保があればなおさらという場合にはまさに「補完」であって、あるに越したことはないわけです。

しかし、担保に依存ということになると若干状況が変わるかもしれません。特に、担保の「市場価値」が重要ということになると、システミック(システマティックではなく)リスクが顕在化したときに負のスパイラルが起きるからです。最近の例では、既に死語になっていますが、SIVの瓦解がそうであって、SIVは「格付けの髙い」証券の「市場価値」を見込んで格付けが附与されていたわけですが、市場価値の低下という信用度と関係のないところから崩れていったわけです。

レポ市場でも同じことがおきつつあるのではと感じさせられるのが、フィッチのこのレポートで、米国の三者間レポ市場(担保の管理を第三者が行う資金取引)で、担保が国債でない取引の水準が高止まりしているそうです。MMFは取引相手の信用度を見て取引しているので担保の質・信用度にはあまり注目していないということで、多分それは正しいのだとは思いますけれど。

2013年5月9日木曜日

ジャンク債がたいへんなことになっているらしい

投資適格の債券にしか興味がない人にはピンとこないのでしょうが、ジャンク債の中でもきちんとしたランクがあって、ダブルBというのはピッカピカの部類に入り、シングルBでも、ま、ちゃんと中身見ればいいんじゃないという感じです。これがトリプルCになってくると結構怪しいぞという話になり、よほどの自信がないと怖いよねというふうに思われていきます。投資適格しか見ない人だとトリプルBでもちょっと不安なんでしょうけれど、ハイ・イールドやレバレッジド・ファイナンスの人達からすると、トリプルBなんてデフォルトの確率が低すぎて面白味がないくらいなのです(日本の格付会社のトリプルBは例外です。あれは、なんちゃって投資適格であって実際はジャンクなので)。

で、世界中で中央銀行が国債を買い、米国ではモーゲージも買ってしまっているので、格付けの高い投資対象の利回りが極めて低くなってしまい、ある程度の絶対利回りが必要な人達がジャンク債に走っているそうです。FT紙のこの記事によると、トリプルC格の債券ですら凄い人気なんだそうです。

絶対利回りが下がるとワケわかんない債券への投資を余儀なくされるのは日本だけの現象ではなく、単に、絶対利回りが低いという状態が日本で長かったから目にすることが多かっただけなのでしょう。ま、ジャンク債買うのと、妙な仕組債買うのと、どっちがいいのよ?と聞かれたら、どっちもオプションの売りと言う意味では同じなんですけどね。

空売りのチャーンス、っていうこと?

クレジット投資の世界の金科玉条として、日本、キャノン、トヨタをショートして儲かった人はいないというのがあります。キャノンとトヨタはともかくとして、日本のクレジット(信用度)については「いずれはダメだ」と(日本人以外の)多くの人が思っているにもかかわらず、いつまでたってもダメにならないというのがあり、いろいろと総合的に考えると、これも国力のひとつなのかしらんと思ったりもします。実際にはもう少し利己的というか、返さない借金はデットではなくてエクイティであるということに過ぎないという気もしておりますが、それはまたいずれということで。

しかし、やはり日本はもうダメだと思っている人はいっぱいいて、NYの投資家セミナーでそんな人達が語った内容がFT紙に出ています。

実際のところは、逆ブラック・スワンと言いますか、ショートしたってコストは知れている(国債を保有していてもさほど儲からないという議論の逆)のですから、ショートしたい人はすべきなんですよね。問題は、実質金利のマイナスがどこまで拡大するのかが分からないところではありますが。

どうやったら88億ドルを失くせるか

HP and Autonomy: how to lose $8.8bn - http://www.ft.com/cms/7a52adb4-b70d-11e2-a249-00144feabdc0.html 戦略の定まっていない会社が、拙い戦術の失敗を繰り返す例とまで言われるかどうかはともかく、確かに凄いかもしれません。いつまでコア業務が見つけられない某銀行とか、証券業界全体とかに共通しているともいえますが。

2013年5月8日水曜日

価格弾力性

 円高になっても日本の産業が壊滅するわけではないのは、日本の製品がそれなりに価格競争力があるからであって、結局、なんやかんやでアジャストするのが国の競争優位性だったりするわけです。FTアルファビルのこのエントリーを見てなるほどと思ったのは、それって実は逆も真理なわけで、円安になったからといって強烈に輸出競争力が回復するわけではないんですよね。

 ということは円安は日本経済にプラスにならないのかというと、それは誤りで、仮に需要に価格弾力性があまりないんだとすると、価格を下げてもそれ以上に輸出は増えないわけで、であれば価格を据え置くほうが賢いと考えるほうが自然です。となると、ドル建ての価格が同じならば、円安になれば円建ての売上が増え、利益も伸びるわけです(今日、どっかの自動車会社の営業利益が凄まじいという話が報道されてましたが)。

 通常、企業というのは互助組織としての側面を持っていて、利益水準が同じであれば売上が伸びるほうが従業員を数多くハッピーにできるので、価格弾力性の議論は一層複雑になりますし、厳密な経済学的議論をするときっと頭痛がするのだと思いますが、ま、輸出で日本企業がうるおい、それによって日本人が潤うことで内需も拡大することも期待してもいいような気がしますけど。

ゾンビ続編

世の中では、新規の案件のほうが上等で格好いいという風潮もあるのですが、やってみると流通市場のほうが面白かったりします。特に金融の世界ではそうで、もともとが新車と中古車という意味では株のビジネスは中古車業なわけですが、実は債券も、それどころか債権(ローン)も、結構セカンダリー市場のほうが業者にとっても、投資家にとっても妙味があるし、売り手に流動性が生まれていいわけです。

そこで出てくるのがPEセカンダリーであって、LPがファンド持ち分を売却したがることがあって、それを買いたい人もいるんですね。ゾンビかどうかともかく、売り主はそれなりに、常にいるはずで、昨日もアダムズ・ストリートっていうとこが10億ドルのファンドを組成してますね。

2013年5月4日土曜日

プライベート・エクイティの「セカンダリー」

プライベート・エクイティのセカンダリーと呼ばれる領域は、実は、2つの、しかも相互にあまり関係のない分野に分かれます。

ひとつは、既存のPEファンドに対するLP持ち分を他の投資家から購入するもので、大手の金融機関が大量に手放したものを購入するという形でひとつの運用対象になっています。いわゆるPEセカンダリーというのは、こちらに入ります。AXAとかコラー・キャピタルが著名ですね。こちらは、それなりに意味があるというか、社債などもそうですが実はセカンダリーのビジネスはそれはそれで非常に面白いものです。

もうひとつは、セカンダリー・バイアウト(2次買収)とかターシャリー・バイアウト(3次買収)と呼ばれるもので、投資会社間で会社の売買をするものです。これには批判がつきもので、PEが価値向上を目的にしているのであれば、あるPE投資家が別のPE投資家に売却するときは企業価値は向上し尽くしているはずですし、そうでないのだとすると、売主側が安く売りすぎということになるわけですが、PEはファンド形態であって、ファンドには投資期間があるため、買う側も売る側も時間のプレッシャーがあり、このような案件が増えることになります。日本でも、PE投資の対象となる会社自体が限定的で、特に大型ファンドの買収対象となるような規模の会社が売りに出ることは少ないため、このファンド間転売が増えることになります。

なので、ロイターのこの記事も、内容的には定期的に出てくるものであって、ま、正直新鮮味はないのですが…。

2013年5月3日金曜日

信用スプレッドと信用度

信用スプレッドは、理屈の上ではデフォルトリスクを反映しているものですから、さらに理屈の上では、信用スプレッドはそのときの市場が予想するデフォルト率そのものの指標であって、仮にそこで示される確率が正しければ、格付けなど不要ということになります。あるいは、格付けは本来静態的な様相のほうが多いですが、市場が予想するデフォルト率を無視しないほうがいいという態度にもつながります。

もちろん、市場は市場であって、行動経済学とか行動ファイナンスなどという分野があるぐらい、要するに間違っていることも多いのです。これはボラティリティも同じであって、そもそもボラティリティが上下するなんて統計学的にはおかしい話なわけで(もっとも、期間の取りかたによってボラティリティが変化するということ自体も充分におかしいですが)、にもかかわらずオプションのプライシングでは当然のようにボラティリティを用います。

でも、「ボラティリティのボラティリティが高すぎて、信用リスクの精緻な指標としてはちょって…」なんて、わざわざ格付け会社の人が言ってどうするのかしら?という気がしますけどね、フィッチさん

2013年5月2日木曜日

無借金経営とは

アップルの社債発行が、6時のNHKニュースのトップでびっくりしました。ジョブズ氏のカリスマ性と絡めたい話も分からないわけではないですが「無借金経営からの転換」とまで言うような話なのかどうか。

そもそも、無借金経営って、実質、つまり、現預金のほうが有利子負債よりも多ければ充分ですよね。また、全ての支払を現金でしているわけではありませんから、無負債というわけでもない。というあたりを見ないと意味がないことを無視しないほうがいいと思うのですが。

連結決算と単独決算の差も大事ですよね。アップルのキャッシュは、海外子会社にあるわけで、子会社と本体は決算は同じでも、社債を発行するのは特定の会社ですから。

2013年5月1日水曜日

金融商品訴訟雑感2つ

順不同ですが:

1) 業者側は、なぜ、フォワードの理論値を認めようとしないのか? 金利差によって理論的な先物価格が一意的に決まるのは当然なのに、「将来のことは分からない」と理論をすりかえようとする手法が多く見られますよね。説明義務を負わされるかもしれないことが怖いのかもしれませんが、たとえば、競馬や宝くじは期待値が1(100%)を下回ることなど説明するまでもなく皆がしっているわけで、それと同じように、別に、説明する義務がないと思うのであればそういい切ればいいだけだと思うのですが。

2) 客側は、商品性そのものを問題にしますが、デリバティブの無限の組み合わせは、逆に言えば組み合わせでしかないわけで、化学反応を起こして別のものになるわけでなし、商品性そのものが世の中的に認められないという主張は通りにくいのではないかと思います。リスク・リターン特性が一部の人には向いていないという議論はあるのでしょうし、あとは、対価との関係が分かりにくいという主張もあるとは思いますが。デリバティブが悪いのだとすると、それは相場が悪いというのと同じ話なので、ちょっと通りにくいですよね。

実際には、弁護士さんたちも商売なのであって、勝つためには手段を選んでいないだけなのでしょうから、その主張の大人気の有無を問うこと自体が大人気ないんでしょうけれど、子供に夢を与えられる商売ではないですよね、そうなっちゃうと。書生くさい言いかたですけれど、理論は理論として正しいことを確認し合った上で、より洗練された土俵で議論がなされた上での判決が見たいんですけれど…。