2013年5月23日木曜日

格付会社間の意見の相違について

格付会社が複数あるのは、本来は、それぞれ意見が異なるからのはずです。日本の格付会社の存在意義は日本の会社に甘い格付けを付与することであり、それを投資家が受け容れているからこそ存在意義があるように、他と同じであれば本来は意味がありません。他方、特に証券化のような複雑な案件になってくると、複数の格付会社が同じようなことを言っているということ自体が一つの安心材料なわけで、そうなってくると結構難しい問題になってきます。

ここもと、アメリカで新規のCMBS発行が見られるようになっているのですが、金融危機を経て、格付会社間で意見の相違が出てきています。先日、ムーディーズが他の格付会社を、名指しはせずに批判するレポートを出していましたが、今回はgloves offという感じで、名指しをされていなかった批判に対して名指しで反論するレポートを出しています。ニューヨークのパーク・アベニューにある立派なビルに対して、フィッチは「想定賃料なんかで不動産評価するのはアグレッシブ過ぎて格付けの基礎にできない」と言っているのに対して、ムーディーズは「正しい不動産価値は、将来の安定的な賃料水準であり、現行の賃料に拘泥するのはいかがなものだろう」というのです。どちらかと言えば後者に分があるような気がしますが、どちらに分があるということもさることながら、公の場で意見の違いを戦わせるというのは、それはそれで健全のような気がします。

本来は、格付に使用したすべての情報を入手した上で、勝手格付けをし合うのが競争には一番いいですよね。ま、日本では、投資家が情報開示に応じないという(極めておかしな)状況なため、とても期待できませんけれど。

0 件のコメント:

コメントを投稿