2013年1月31日木曜日

イギリスの金利スワップ問題

イギリスの金融サービス機構が、英4大銀行による中小企業向け金利スワップ販売に付きサンプル調査を行ったところ、173件中90%で、銀行によるルール違反が見つかったとしています。詳細は私もまだ読めていないのですが、FT紙によると、以前ご紹介した裁判所の判断は、狭すぎて参考にならないと断じているそうです。

米レバレッジド・ファイナンス市場

RSSで購読しないと読めないみたいなのでリンクはないのですが、S&Pによると、米国のレバレッジド・ファイナンス市場が若干過熱気味なのではということです。

昨年は投機的格付け社債の発行額が3500億ドルと史上最高を記録、レバレッジド・ローン(≒投機的格付け企業向けシンジケート・ローン)も4650億ドルと、ピーク時だった07年の5500億ドルに近付き、過去5年で最高額になったとか。さらに、主としてレバレッジド・ローンが裏付けとなるCLOの発行額も540億ドルと一昨年の110億ドルからほぼ5倍に達したそうです。

ただ、今後はデフォルト率の上昇を見込んでいるそうで、2012年9月までの1年間のデフォルト率は3%であったものの、今年9月までの1年間については3.7%に上昇すると見ているとのことです。また、投機的格付け企業では、昨年の格下げ数は格上げ数の1.4倍に達しているなど、信用度の低下も気になるとか。

いわゆる「コベナント・ライト」が増加しているもの気掛かりで、昨年は、とうとうコベナント・ライトが従来型のコベナント付融資を金額で逆転したらしいです。どれだけ信用度分析に自信があっても、あるいは担保に価値があっても、テイルリスクを考えるとコベナントはあるに越したことはないわけですが、市場が過熱している証拠なんでしょうね。

2013年1月30日水曜日

少数株主の権利について

私は特に意見はないのですが、WSJ紙(http://blogs.wsj.com/deals/2013/01/29/minority-investors-cry-foul-in-japan/)とFT紙(http://www.ft.com/cms/s/0/723b20de-6aaf-11e2-9670-00144feab49a.html)の両方に出ているので、それなりに今後騒ぎになるかもしれません、J:COMの少数株主持ち分のスクイーズ・アウトの件…。

動産担保融資

日本では、債権担保はABCP(まやかしも含めてですが…)の形でそれなりに普及していますが、動産担保は普及していません。結局、融資をする側に度胸がなく、(究極的には政策目標があるためいざとなったら)損をしてもしょうがないと考える一部の政府系金融機関以外は思い切れないというのが背景なのでしょう。

ところで、証券化されて発行される証券のことを一般的にABSと言い、ABSはアセット・バックト・セキュリティーズの略です。日本では金融機関が証券投資と融資とを厳然と区別しているため、信託借入などまやかしの手を駆使しながら、技術はABSなのにローンの形となるものも(非常に)多く見られます。これを、巷ではABLと申します。アセット・バックト・ローンの略ですよね。

ただ、アメリカでABLというと、これはアセット・バックト・ローンではなく、アセット・ベースト・ローンの略とされます。具体的には、企業の運転資金のために、債権だけではなく動産を担保にした融資をするのがABLで、考えてみれば、事業会社のバランス・シートの左側には「売掛金」だけでなく「商品・製品」とかがあったりするわけですから、これらを担保にするのは自然というわけです。

フィッチが米国のABL(本式のです)について、最近12件の倒産において1円も損が出なかったというレポート(http://www.fitchratings.com/creditdesk/press_releases/detail.cfm?pr_id=781254)を出しているのですが、こういうのを見るにつけ、彼我の差を感じます。

CPと内部流動性補完

昔から証券化の世界ではABCP(資産担保CP)の流動性補完は金融機関のメシのタネだったわけですが、金融機関の側の格付けの問題があり、また、最近では流動性もタダではないので、いわゆる内部流動性補完というのは今後活用される可能性が高まっていたわけです。

流動性がただではないというのは、ABCPだけの話ではなく、CPの場合(って、実際は他の社債でもそうなのですが)、償還資金は借り換えに依存せざるを得ず、調達主体は充分な流動性がないとデフォルトしてしまいます。それを避けるためには金融機関から流動性補完を得ているわけですが、それにはコストがかかります。そのコストは、これまではなんとなく金融機関がチャージしていたわけですが、上述のとおり、今や流動性はタダではなく、そのため、CP発行に一層のコストがかかるという状況にもなっています。

そこで、アメリカでは「コーラブルCP」なるものが登場しているそうです。「コーラブル」と「延長可能」は意味は同じで、要するに、最長の償還期限はもっと長い(たとえば9か月)が、30日で償還される可能性があるCPという意味です。日本でこのような「新商品」が出ないのはなぜなんだろうといつも思いますが。

ヨーロッパのCLO

日本では歴史的な経緯から、今でもCLOというと、銀行が保有している資産を、銀行のリスク外し/資金調達のために証券化するというものを思いつきがちなのかもしれませんが、欧米では日本とは異なり貸出債権の流通市場が発達、運用会社も多くあるため、レバレッジド・ローン(定義としては「投機的格付企業向け融資」ですが、実際には、LBOに際しての融資)の行く先として機能しています。

アメリカでは、他の証券化と異なり、最終的な借り手が(そうは言っても)企業であって、企業は(通常は)どれだけ向こう見ずであって倒産するために経営はされていませんから、意外と金融危機後も倒産は多くなく、CLOのパフォーマンスは好調、新規の発行も出てきています。

一方、ヨーロッパは日本とアメリカの中間みたいなところで、確かにLBOもあるし、債権の流通市場もあるんだけれども、若干中途半端であって、銀行がまともに機能しているときには意外につまらん市場であったりします。とはいえ、いわゆる(=日本で言う)「リーマン・ショック」前には数多くのCLOが組成(っていう言葉もあまり好きではありませんが)されいました。ただ、金融危機後はLBOも若干機能不全気味であり、かつ、証券化という言葉は(日本同様に)CMBSとともに死語になりつつあって、なかなかアメリカのように市場が回復してきたというわけではありません。

ヨーロッパで、現在2本のCLOが新規に組成されつつあって、今後どうなるかしらという記事がFT紙に出ていて、確かに興味深いところなのは確かです。出てくる名前が若干意外だというか、もう少しデット分野専業でグローバルな運用会社が登場すべきなような気もします(プラメリカは米プルデンシャルなので、充分メジャーですが)。

2013年1月29日火曜日

平成25年度予算政府案

予算政府案については、新聞等でもいろいろと報道されているところでもあり、今後報道されるはずですからあまりユニークな意見はないのですが、穿った見かたということで申し上げると、今回の経済成長率の名実逆転の話と同じで、インフレが前提になっていると当然の数字合わせだということでしょう。

予算規模が90.3兆から92.6兆円というのは、財政破綻しかけている国からするととんでもないという議論がありうるわけですが、これらの数字は名目値ですから、インフレになればなんでもないわけです。税収の伸びもしかりで、政府としては景気がよくなって、とかいろいろと言いたくなるのでしょうけれど、インフレになれば税収が増えるのは当たり前ですよね(累進税の効果も考えればなおさらそうですが、そのような合理的期待仮説ちっくな話はまた別の議論です)。

で、リフレ論者としてはこのあたりの動きは実は大歓迎であったりするわけですが、そのためには、首相にもう少しアオりを入れてほしいなと思ったりもします。結局、なかなか実際に効果のある政策がなく、掛け声ばかりじゃないのという気がしているなか、景気を好くするには掛け声も大事だというのが超リフレ論だったりするものですから、それはそれでいいのですが、であれば、もっと大胆な掛け声が聞きたいですよね?

国債発行計画

予算の政府案が出たということは、当然、国債発行計画も出ているわけですが、30年債の毎月発行のほか、物価連動国債の復活が(報道されていたとは言え)ニュースといえばニュースなのでしょうか。

物価連動国債、どうなりますかね。楽しみです。個人向けでない変動利付国債の発行再開はまだ遠いようですが。

税制改正大綱(閣議決定)を読んで

閣議決定されたということは、大蔵省の案として正式っていうことですよね。順不同ですが:

・ 債券の譲渡益課税 → 当然ですよね。個人向けに妙なディスカウント債を発行し、単利利回りはよく見えるけれども複利利回りは・・・というものがなくなるだけでもいいことだと思います。特定公社債等については譲渡損の損益通算ができるというのもいいですね。割り債の発行時源泉徴収も妙な税制なので、なくなることはよいように思います。

・ 金融機関が受け取る公社債の利子の源泉徴収不摘要が所有期間と関係なくなる → いわゆる〝ダーティ〟がなくなるということなのでしょう。ただ、源泉徴収が適用される投資家からの譲渡に際しての経過利息はどうするんでしょう…。法律の問題というよりは実務上の問題ですが。

・ 教育資金贈与の非課税枠 → もう少し簡単な手続きかと思っていたのですが「教育資金非課税申告書」ですか。教育資金の範囲はあまり広くないようですし、受贈者が30歳になったら贈与税がかかるんですね。金持ちの子は海外に留学させようっていう魂胆なんでしょうか? でも、そうしたら海外におカネが流れてしまう(移転収支でしたっけ?)

・ 不動産特定共同事業の不動産取得にかかる登録免許税の軽減 → 信託にはかなわないですが、ないよかましですね。

・ 同、不動産取得税の軽減 → H27.3.31まで半分だそうです。ま、この制度がどの程度使われるのか(SPCが事業主体になるやつですよね?)を見てから効果を判断すべきなのでしょうけれど。

・ TMKの所有権移転登記の登録免許税・不動産取得税軽減期間2年延長 → ま、そうですよね。

・ 支払い給与増に対する税額控除 → ちょっとしたインセンティブにはなるんでしょうね。ま、実際には「インフレにしたい」という気持ちが隠れていると考えて、少しハスに構えて見るべきなんでしょうが。

・ 特定投資事業有限責任組合契約 → 「再生ファンド」屋さん跋扈の予感

・ REITの海外資産保有について → ま、税制上の手当てをするのは当然なのでしょう

・ 債務免除益と相殺できる期限切れ繰越欠損金の制限 → すごくテクニカルですが、債務免除益のほかにも利益があるというケースはあまりないのでしょうから、その分をすべて消すことはできないという制限は理解できるような気がします。

・ 非居住者が受ける振替公社債等の利子の非課税の適用期限撤廃 → 制度の予見性という点で望ましいですね。


2013年1月27日日曜日

国債は暴落しない(日本人が冷静なら)

日本の国の借金が非常に多いことは、いろいろなところで報道されているのでもはや驚くべきことではありません。では、国債はデフォルトするのか、あるいは、デフォルトしないまでも信用不安で暴落するのかとなると、日本人が冷静でいるかぎり、そのようなことはないのではないかと思っています。

最新の資金循環統計によれば、 国債残高の7%程度は外国人が保有しています。日本人が93%程度を保有していると考えても同じです。つまり、大胆に単純化すれば、国債の返済先は日本人だけであって、国債がデフォルトして困るのも日本人だけということになります。

ところで、国債がデフォルトするとはどういうことなのでしょうか? デフォルトの逆、つまり、借金を返すとはどういうことかを考えたほうが分かりやすいでしょう。国が借金を返すためには、借り換えを続ける、つまり、返済のための資金を借りるか、あるいは、返さなくてもよいおカネを調達してそのおカネで借金を減らすかどちらかしかありません。ところが、国というのは事業をおこなっているわけではありませんから、利益を上げるわけではありません。ということは、返さなくてもよいおカネの調達というのは、資産を売却するか、あるいは、増税かどちらかしかありません。

借り換えの議論を少しおいておきましょう。まず資産の売却ですが、購入する人が日本人である場合、実は本質的には意味がありません。というのも、資産を売却して、そのおカネで借金を返済するというのは、資産の買い手が日本人だとすると、結局のところ、国債を現金で償還する代わりに資産という現物で償還するに過ぎません。「利払い負担が減るではないか」という議論について言えば、国債の利払いは結局のところ我々日本人に対するものなので、国全体で見ればチャラです。また、売却した資産を国が再度利用する場合には賃料を払うことになりますから、その意味でも同じです。となると、国債を償還するには増税しかありません。

(※1 国が資産を保有していても有効活用できないのだから民間に払い下げて有効活用したほうが国民経済的にはプラスなのですが、それは別の議論です。)

つまり、というと議論が飛びますが、結局、借り換えを前提としない限り、国債のデフォルトというのは、土地建物などの現物償還か増税とマクロ経済的な意味は同じです。 国債がデフォルトすると国民が富を失う、つまり、富が民間から官に移動しますが、それは税金を追加で払うことと同じなのです。税金が増えるのを好む人はいませんよね? ということは、国債のデフォルトを好む人もいないわけで、日本人が冷静なら、国債はデフォルトしないわけです。デフォルトしないのだから、信用リスクが高まるはずはなく、それを理由とした利回り上昇もないわけで、価格の暴落もしないということになるはずです。

となると、膨大な借金はどうなるのか? 基本的には借り換えを続けるしかありません。借り換えができなくなることがデフォルトなわけですが、今見たとおり、私たちが冷静な限りデフォルトはしないわけですから、借り換えは永遠に可能だということです。このあたりの議論は、地域金融機関が地元の中小企業にしている融資は、結局のところまず間違いなく返済されないというのと同じで、実質的にはエクイティとして機能している債権・債務なので、返済を議論してもしょうがないわけです。

ここまでの議論は、景気回復や期待インフレ率の上昇に伴う金利上昇をまったく織り込んでいません。なぜか? 景気が回復すれば税収が増えるので、そのおカネで借金を減らすことができます。つまり、デフォルトリスクは当然のことながら後退します。インフレも同じで、物価が上昇すれば借金は目減りしますから、やはりデフォルトリスクは後退するわけです。簡単に言うと、金利も上昇しない、借金も減るというのは原則としてはあり得ず、その意味での国債価格の下落は充分に考えられますが、財政の健全性が回復できるというプラス側面を考えれば、そのくらいは我慢すればいいのではないかという気がしています。私は基本的には時価主義ですが、景気回復やインフレによって国債の元本の健全性が保たれたまま、金利上昇によって国債の価格が下がるのであれば、価格の下落は一過性なのでそれはそれでしょうがないというか、時価を実質的に無視すればいいのではないかと思います。信用リスクの変化に伴う時価の変化を放置することは問題ですが、そうではないわけで。

2013年1月26日土曜日

なぜボラティリティが上がるとオプション価格が上がるのか

ボラティリティとオプション価格との関係は、分かってしまえばなんでもないのですが、悩む人にとっては相当悩みのタネとなります。そこで、こんなものを考えてみました。

現在、100円の資産があるとします。面倒なので、金利はゼロとし、この資産を保有していることにより得られるインカム・ゲイン(利息や配当金)もゼロ、保管コストもゼロだとします。

仮に、この資産を1年間保有していた場合、1年後の価格は50%ずつの確率で、105円になるか95円になるかのどちらかだとしましょう。この資産の価格が100円なのは、1年後に期待(=予想)される価格の平均が100円であるから、特に驚くべきことではありません。

では、この資産を1年後に100円で買う「権利」の価格はいくらになるでしょうか? 答は簡単で2円50銭です。

この資産の価格が105円になったとすると、100円で買う権利を行使することによる利益(つまり、オプションの価格を無視した利益)は5円です。一方、この資産の価格が95円になったとすると、100円で買う権利は放棄されますから、利益(同上)はゼロ円です。ところで、105円になる確率は50%、95円になる確率は50%ですから、そうすると、利益の期待値(100円で買う権利を持っていることによって平均的に得られる利益の額)は、5円×50%+0円×50%=2円50銭です。だから、この権利の価格は2円50銭なのです。

ちなみに、この権利(コール・オプションですね)の価格が50%であることは、ヘッジという観点からも示すことができます。計算は省略しますが、このコール・オプションを買うことのヘッジは、この資産を0.5単位空売りすることです。仮に価格が100円から105円になったとすると、0.5単位の空売りからは2円50銭(=5円の価格変動/単位×0.5単位) の損失が発生します。ところが、オプションを2円50銭で買い、権利行使により5円の利益が上がっていますから、差し引き2円50銭の利益が出ていて、プラマイゼロになっています。

また、仮にこの資産の価格が100円から95円になったとすると、空売りのほうからは利益が2円50銭出ます。ところが、2円50銭で購入したオプションが無価値になっている(行使できないから)ため、そちらの損失も2円50銭です。結果、やはりプラマイゼロになっているわけです。

当初の条件から、この資産の価格は105円か95円にしかならないのですから、どちらの場合も確実にヘッジができています。逆に言えば、オプションの価格は2円50銭で正しいのです。

では、同じように現在、100円の資産があるとし、金利、インカム・ゲイン、保管コストはゼロだとします。さらに、この資産を1年間保有していた場合、1年後の価格は50%ずつの確率で、110円になるか90円になるかのどちらかだとしましょう。

この場合、この資産の価格はやはり100円ですが、この資産を1年後に100円で買う「権利」の価格は5円になります。110円になったときの利益は10円で確率は50%、90円になったときの損失はゼロで確率は50%ですから。

ボラティリティが高いということは、平均は同じでもブレが大きいという意味で、今の例であれば、同じように平均値が100であっても、片や105円か95円、片や110円か90円というとき、後者のほうがボラティリティは高いのですが、これによってオプション価格が高くなることはこのような簡単な計算で示せるわけです。もっとも、これを簡単だと思えること自体、どれだけ説明を尽くしても無理という投資家層がいることは間違いないわけでして…。

2013年1月24日木曜日

デリバティブの時価評価

ここもとの急激な円安の進展で、いわゆる為替デリバティブに取り組んでいる企業にも少なからぬ影響が出ているようです。取り組んだ時期によっては、レバレッジ条件やギャップ条件がはずれるものも出てきているようですし、なかにはノックアウトしてしまう(ユーザーにとって有利だったものが消滅してしまう)取引もあるようです。

ここで経営陣を悩ませているのが、デリバティブの時価評価です。中小企業の多くが、「中小企業の会計に関する指針」になんと書いてあろうが、税務上も会計上もデリバティブの時価評価などしていないわけですが、時価評価をしている会社は、これまで、本業と関係のないところで大きな損失を(会計上)出し、税金を減らす/欠損金を積み上げることをしてきたわけです。

ところが、急激に円安が進んだことによって、この状況が一変しています。なるほど、銀行が本当に積極的にセールスをしていたときの契約はまだ含み損の状況には変わらないでしょうが、時価評価のマイナス幅が急激に縮小しているわけです。マイナスの縮小=プラス、ですから、これは時価会計をしていれば今期の(ま、営業外なんでしょうけれど)収益になりますし、税務上は多額の益金となってきます。当然のことですが、評価益はキャッシュ・フローにはなんのポジティブな影響も与えないため、この分はキャッシュ・アウトしていくだけということになります。「これまで税金払ってないんだから、当然でしょ」ということではあるのですが、経営者としては心外ということになるでしょう。

もちろん、この状況を打開するには「税の繰り延べ効果」のある商品が必要ということで、そんなものがいくらでもあれば苦労しないですよね。そうして、また、その筋のプロの人が活躍することになるのでしょう。

リスク・リバーサルについて

今日、なんとなく為替のリスク・リバーサルを見ていたのですが、確かデルタが0.25だったと思うのですが、5年くらいまではプラス、それより長いとマイナスなんですね。もともと見たかったのはボラティリティのターム・ストラクチャーだったのですが、短いところのリスク・リバーサルがプラスになったのはここ最近のことであって、なんとなく興味があったのでついふむふむと思ってしまいました。

ちなみに、リスク・リバーサルというのは、要するに、コールを買いたい人とプットを買いたい人のどっちが多い(優勢)かという話であって、オプションを保険だと考えると、コールを買う=円安への備え、プットを買う=円高への備え、ですから、日本は一般的に輸出国ですからプット優勢のはずなのですが、最近はコール・オプションのほうが価格が高くなっているわけです。円高リスクをヘッジする人よりも円安リスクをヘッジする人のほうが多い、別の言いかたをすると、市場はドル高のほうにバイアスがかかっているということが言えるのです。ただし、短期ではという話であって、長期では引き続き円高のヘッジのほうが優勢ということなのでしょう。

ちなみに、ボラティリティのターム・ストラクチャーを見ていた理由は、結局、日本でいちばん取引されている通貨オプションというのはシンセティック・フォワードの形であって、シンセティック・フォワードの正確な評価には、ボラティリティのターム・ストラクチャーが不可欠だからです。たとえば、期間5年で行使(=円と外貨の交換)が毎月というシンセティック・フォワードでは、期間が1か月から60か月の60パターンあり、各期間に対応したボラティリティと用いなければ正確ではありません。しかも、たいていの場合はノック・アウト条項が付いているため一層複雑になるわけです。

このように考えると、実は、モンテカルロ・シミュレーションができても完璧ではないことに気付くでしょう。モンテカルロ・シミュレーションは一般的には期間にかかわらず同じボラティリティを用いますが、市場が正しい、つまり、インプライド・ボラティリティを用いることが適切なのだとすると、相当複雑なモデルにしないといけないわけです。

保険に投資するヘッジ・ファンド

 ヘッジ・ファンドに明確な定義があるわけではないので、何に投資をしていても驚くべきではないのですが、KKRは自然災害リスクの投資(保険引受)会社に投資をしたそうです。
 保険の引受はオプションの売りなわけで、金融ちっくですよね。なお、今回の投資はKKRの傘下のファンド(他人のお金)ではなく、KKR自身の(つまり出資者ですが、KKRはパートナーシップの出資持分っを上場しています)お金が使われているそうです。そういえば、カーライルはこないだ債券を発行してましたね。


(1月26日追加)
KKRは30年債を発行するそうで、S&PからA-、フィッチからAの格付けを取得してますね。LBOで対象会社にレバレッジをかけ、そこから利益を上げる(もちろん、投資顧問料もあるでしょうが、利益構造としては出資持分の価格上昇のほうが大きい)ビジネス・モデルで、さらに、債券発行でレバレッジをかけるわけですか。それにシングルAの格付けがつくのも凄いですね。

材料出尽くし感

ほうぼうで報道されているのでいまさら私がどうこう申し上げてもしょうがないのですが、今後の日本経済をどうするつもりなんですかね。識者が反対しにくいし、総論としてはまったく正しい規制緩和を進めていただくのは当然としても、『政府としては』デフレ脱却のためになにをしてくれるのか、興味津々です。聖域なき大胆な規制緩和をして(じゃなくてもどんな政策でもいいのですが)、デフレ脱却を目指し、名目GDPの成長という分かりやすいものを目指して欲しいですね。

このままだと、政府に対する施策催促相場になりそうですね。

2013年1月22日火曜日

住宅ローンの証券化と金利リスクのヘッジ

住宅ローンを証券化するときに厄介なのが、金利リスクです。全期間固定金利の住宅ローンを固定金利で証券化する場合には問題になりませんが、そうでない場合には結構面倒です。また、変動金利の住宅ローンの場合には、適用金利が上昇しても返済金額が5年間据え置かれるのが一般的で、また、返済金額が見直されるときも前回の金額の1.25倍以上にならないという条件が付いていることが多いので、金利上昇局面だと、毎月の返済額が金利分にすら満たないという状況が起きます。元本に追加される(孫利が付く)わけではないので、いわゆるネガティブ・アモチではないのですが、元本が全然減らないという意味では同じことです。

証券化しようとする格付けを取得しなくてはならないので、このあたりは、投資家がどう思うかというよりも、格付け会社をどう説得するかという話になってくるわけですが、結局は、ある程度ありうるシナリオを想定した上で、お金が足りるのかどうかを検証していくしかありません。多くの証券化案件では、劣後部分があって、本来的には信用リスクの議論ではないはずなので純粋性という意味では疑問符が付きますが、この劣後部分がこのリスクも吸収するようになっていることが普通です。

ということを、今日発表されている某地方銀行の住宅ローン証券化案件のリリースを見て思いました。「サービサー受益権」として、特に金利リスクを吸収するためのあるのは凄いなぁー、このオリジネーターさんは金利リスクのヘッジとしては証券化を捉えていないのかなぁー、などといろいろと考えさせられるところではあるのですが…。

今度は政府の番

これまでは、とりあえず日銀を攻めておけば格好はついたのでしょうけれど、今度は政府の番ですね。デフレを解消するのが日銀だけの役目のはずはなく、政府側の断固とした姿勢もみたいものです。よもや「不確実」とか、「副作用」とか、言いっ子なしですよね。

毒を食らわば

日銀の政策決定会合は、結局、想定の範囲内でしかなかったですね。どうせ政権与党の圧力に屈するのであれば思いっきりはじけちゃえばいいのに、やはり、純粋中央銀行派としてはそこまで直ぐには踏み切れなかったのでしょう。FEDの踏み込み方と比較すると、まだ吹っ切れてないわけで、為替市場の反応も理解できますね。

2013年1月21日月曜日

行動ファイナンスと債券

つまらん株が面白いという話 http://ryosuke1967.blogspot.com/2013/01/blog-post_18.html という話題のとき、人間は90%から100%に移行するのに異常なプレミアム払うので、逆に、90%のほうが割安に放置される、つまりつまらん株は安いという考えを紹介しました。しかし、この考えは、債券に限定するとあたらないことも多いように思います。

たとえば、国債と現金とでは、前者には価格変動と日本デフォルトのリスクがありますが、みんなよろこんで、10年で元本の1割も利息がつかないものを買ってます。また、仮に国債が確実なんだとすると、社債はすべて割安に放置されるはずですがそんなことはありません。

って、日本の投資家が少し違っているのはむしろ当然で、外国人の分析が該当するハズはないということなのでしょう。

2013年1月19日土曜日

組織の理論と部署の理論

FT紙のジリアン・テット氏のコラムで、「なぜウォークマンを聴かなくなったか」というのがありました。内容は、ソニーは成功しすぎて大きくなりすぎた結果、組織の成功よりも部署の成功を旨とするような人達が集まる部署が並立してしまったということで、ソニーを責めているというよりも、人間とか組織運営といったものの難しさについて触れているものです。

「今をときめく」という会社が、そのままエトスを継承できるのかという点がこのコラムのポイントなのですが、むしろ、「審査と営業」とか「個人向け(リテール)と法人向け(ホールセール)」といった、金融機関(特に一流でないところ)の組織論としても面白いなぁーと思って読みました。往々にして、審査の人達はノーというのが仕事ですが、ノーと言い続けても存在意義がなくなりますから、適度にイエスを言わなくてはいけません。そのとき、組織の目的(利益の極大化)が分かっていれば、審査基準は完璧ではないことを知りながらイエスというのでまだ害が少ないのですが、「自分・自部署がイエスと言った案件でコケるわけにはいかない」という凝り固まったことを考え始めると、結果としてロクなことがないことが多いのです。というのも、全知全能でない人が失敗を避けようとすると、たいてい、自分の見える範囲にだけ細かいこだわりをするわけですが、その場合、周囲(営業)がそこだけを一点突破しにいきます。その結果、凝り固まった人・審査部門の頭の中にある安全な案件が集まるわけですが、それは、全知全能でない人がやったことですから、特定のポイントに強い、逆に言うと、特定のポイントに弱いわけです。ま、世の中、そんな人・審査部門ばっかりらしいですけど。

2013年1月18日金曜日

国債の格付け

フィッチが日本の財政についてコメントを発表していますね。財政赤字の膨張を食い止める、信頼性の高い政策がない限り、今後も格付けの下方圧力は続くとのことで。
個人的には、とりあえず景気を好くする、デフレを解消しようとすることが大事だと思うので、特にフィッチのコメントは無視すればいいと思っていますが、円安懸念が突然報道され始めるなど、一筋縄では行きにくいようで。

つまらん株が面白いという話

Return-free risk:why growth plays don’t pay - http://www.ft.com/cms/b181447c-60b3-11e2-a31a-00144feab49a.html

FT紙に出ていた話で、リスクの低い株は、少しリターンを覚悟するとものすごくリスクが少なくなる(社債を買えばいい)ので、結果、割安に放置される傾向があり、その結果、リスクの高い株と比較してリターンが実は遜色ないそうです。

そもそも、実現リターンと理論とを比較するという前提に無理があるようにも思いますが、面白い話ではあります。

2013年1月17日木曜日

ドイツとゴールド

ドイツ連銀(ブンデスバンク)が、金(ゴールド)を手元に置いておくために、パリとニューヨークから移動させることを発表してますね。

いろいろと調べてみると、ドイツは外貨準備が中央銀行の勘定になっているんですね。日本だと、政府のために日銀が管理している分が多いのですが、このあたり国によって違うみたいです。

移動の理由は、ドイツ国内の信頼感醸成ということで、「海外にある金の延べ棒などいざというときに役に立たない」というのがドイツの国民感情なのでしょう。いざという時だから、海外にあるべきだとも思うのですが、そのときにはゴールドで支払いをしてほしいというのが国民感情なのかもしれません。

2013年1月16日水曜日

プライベート・エクイティ

カーライルが昇格人事を発表してますが、日本の拠点の人はいないんですね。日本でのファンドによる企業投資の現状を示しているといったら読みすぎ?

別にフィッチに言われなくても(米債務上限問題)

アメリカが、債務上限を適切な時期に引き上げなければ、格付けを見直すよん、というフィッチのお説。なにをいまさら(しかもフィッチに)という気もいたします。

2013年1月15日火曜日

米債務上限問題(財務長官のお手紙)

ガイトナー財務長官がベイナー下院議長にまたお手紙を出してます。今のままだと2月半ばから3月初めには、現在の一時的な方策も尽きてしまって、米連邦政府いは充分な資金がなくなるそうです。

それ以外の内容は、ま、政治的というか、要はアメリカがデフォルトするなんて大変だから、早く上限問題なんとかしてね、っていうお願いですかね。

バブルの抑制と金融機関規制

個人的には、日銀(金融政策)よりも政府(財政政策)にほうにリフレを期待しているのですが、日銀の独立性とか含め、リフレはバブルになりかねない、また、インフレ・スパイラルが起きたらどうするんだという反論が知識人層には多いように見受けられます。

ハイパーインフレよりデフレのほうがいいと言っている人たちは、功成り名遂げていて、守るものがあるんですよね。なので、将来に対する明るい展望が持てない若者が世に溢れ、人口がどんどん減っていく社会になってもいいんでしょう。不確実な発展より、予見性の高い緩やかな衰退のほうがいいと言っているわけで、ほんとにそれでいいのかなぁーと思います。

それはさておき、自己資本や流動性など、金融機関規制は根本的に景気に追随します。たとえばですが、融資姿勢が緩和され、バブルが形成されている時には、本当であれば規制をきつくすべきなのですが、実際にはリスクが低く見え、規制は甘くなります。逆に、現在のような危機のあとでは、皆が慎重になっているため、本当は安全性も上がっているし、社会的にもお金を回すことが重要なのに、反省と称して規制がきつくなります。

ところでバブルというのは、多分に金融的現象です。みながおっちょこちょいになっているからこそバブルが起きるのですが、日本の80年代後半から90年代前半、あるいは先般の欧米も、金融機関による(今から思えば明らかに非合理的な)信用(マネー)創造・信用度(金融資産・不動産の担保価値上昇)創造があったのは明らかです。バーゼル3とか流動性規制、あるいはいわゆるボルカールールなどは、世界経済の現状を考えると(金融機関のカジノ化をけしからんというのは置いておくと)厳格すぎるというか、景気にはマイナスですが、次のバブル形成させないという効果は期待できるのかもしれません。

日本の場合、実体経済のインフレはともかく、国民性的には資産インフレが怖いわけで、それは抑制して欲しいけれど、傾向的にデフレなのに不動産だけ価格が上昇したのもどうかいなぁーと思いつつ誰もとめようとはしなかったんですよね。でもデフレが継続するよかマシじゃん、と思うわけです。まとまってませんが。

2013年1月14日月曜日

いわゆるチャプター・イレブン

アメリカのチャプター・イレブンは日本の会社更生法と民事再生法を足して2で割ったような感じの倒産法で、裁判所が監視しながら日常業務は倒産会社が継続するという感じになります。日本よりも倒産が頻繁なため、DIP融資も既存の債権者が平気で付けることも多いようです。日本と同じで、倒産法の精神は、債権者間の権利を公平に調整することで、再建型の法的整理の場合はそこに債務者企業を立ち直らせたほうが社会的にはプラスが多いという(一般的な)信念があります。

WSJ紙の記事によると、最近、債権者が早期の資産・事業売却を求めるケースがチャプター・イレブンで増えているそうです。10日で売却に成功した例などがあるものだから、判事が「こんな前例できると害がありそうなのよね」と言っているにもかかわらず、まさに、前例・先例としての扱いを受けつつあるとか。

アメリカのいいところは、とりあえずなんでも裁判になるので、それなりにいろいろなトラブルが公に解決されるところでして、日本でも、がんがん判決が出て、その判決についてみんなが語り合えるようになるのも面白いのになぁーと妙なところで感心したりもいたします。

金融の役割

信販会社の学資ローンが好調だという朝日新聞の記事を見て思ったこと。

1. 返済をアテにしないのであれば、融資するだけというのは意外と簡単なビジネスである(不良債権を出してもよいのであれば、銀行はいくらでも融資できるというのと同じ)

2. 大学側にとってのメリットは、資金繰りの改善と信用リスクのどちらなのかすぐには分からない。仮に、大学の資金繰りにとって入学金というのが重要なのであれば、確かに、信販会社→親・学生→大学、とお金が流れることは大切なのでしょう。実際、受験料も結構な収入源だと聞いたこともありますが、受験させるための場所とか人員の確保にお金がかかっていることを考えると、2月から4月に現金収入がないと困る大学は多いのかもしれません。一方、多くの大学が仕組債やデリバティブなどの「運用」で失敗したらしいという話を聞いていますから、そのような大学(学校法人というほうが正確でしょうか)は資金繰りそのものに問題があるわけではないはずです。資金繰りに問題がなければ、入学金の後納を認めればいいだけのはずです。
 ただし、後納や分割払いを認めると、それを履行できないリスクが大学側に残ってしまいます。信販会社を利用すれば、そのリスクは信販会社が引き取ってくれるわけですから、その点は大学側にとって都合がいいですね。
 実際には、仮に資金繰りに余裕があっても、分割払い等認めると後の事務手間もありますから、債務不履行リスク含めて信販会社に丸投げということなのでしょう。信販会社の個人債務者を相手にした事務処理能力が高いのは間違いありませんし。

ヨーロッパでの不動産融資

ヨーロッパは日本と同様で、企業の負債性調達に占める銀行の地位が非常に高く、それは不動産融資であっても同じだそうです。FT紙の記事によれば、米国では55%に過ぎない不動産融資における銀行シェアがヨーロッパでは90%だそうで、金融危機後に銀行が不動産向け融資を絞る中、今後、リファイナンス(借り換え)資金の提供者が足りずに困る人が増えそうです。記事の内容は、ノンバンクを設立してその分野にいこうという人が出てきたという話ですが。

日本では、いけるときは銀行がどんどんいくという市場で、しかも、ここにきて(妙に自信をつけている)銀行がさらに積極的になっているようで、とは言え、銀行は銀行ですからいいものにしか貸さないのでしょうけれど…。資産インフレが来るのだとすると、ますます日本の銀行は元気になるので、ニッチ産業は苦戦するのでしょうか。

2013年1月13日日曜日

米債務上限問題(つづき)

1兆ドルのプラチナ硬貨の話は当面なしということになったようです(WSJ紙WP紙ハフィントン・ポスト)。仮に、連邦政府閉鎖ということになったときに、共和党の責任にする戦略なのかもしれません。

ホワイトハウスが短い声明を出していて、 債務上限問題の終結は、米議会(要するに共和党ということですね:上院も民主党が過半数ですが60議席に達していないので、議事妨害フィリバスターが可能です)が可決する以外になく、そうでなければデフォルトだと言っています。米憲法修正第14条を用いて、行政が勝手に支払ってしまえというも当面見送りという解釈のようです。

筆記体

25年ほど前、周囲の日本人以外の人というのはほとんどイギリス人だったのですが、いわゆる筆記体で文章を書く人がほとんどいなくてびっくりした記憶があります。FTのジリアン・テット氏(東京にも長く居て、長銀・新生銀買収の「セイビング・ザ・ザンで有名な人。今はアメリカ常駐で、ビル・マーの番組とかにたまにでてますよね)がこんな記事を書いていて、初めて、英語ではcursiveとかjoined-upというのねということを知りました。

日本で通常の高等教育を受けていると、少なくとも我々の年代だと筆記体は読み書きができるのですが、他方、じゃあ草書が書けたり読めたりできるかと言われると無理なわけで、また、日本の場合、公式な文章は楷書で書いてありますからとは思うものの、テット氏の結論である「中身のほうが大事」というのは、そりゃそうでしょうけど、当たり前に納得できる話なんでしょうね。

英語で思い出したのが、同じくFT紙に以前でていたこの記事。「アメリカよ、『英』語を救ってくれてありがとう」といった感じでしょうか。

2013年1月12日土曜日

為替予約は予約ではない

最近、法律家の方々をお話をする機会が増えているので、言葉の使いかたに気を付けなくてはと常々思っています。たとえば「予約」という言葉を私たちは何の気なしに使いますが、法律的には、通常、予約というのは当事者が意思表示をして初めて成立する取引について用いる表現です。したがって、「予約完結権(の行使)」という概念と対になっているわけです。

ところで、金融の世界では、先物・先渡しといって、将来、約束した取引を必ず実行しなくてはならない類型があります。この場合、私たち金融界の人間はなんとなく、将来のレート・価格を「予約」し、その「予約したレート・価格で」取引するという表現を使いがちです。しかし、この表現は法律家を著しく混乱させる可能性があるわけです。

ですから、銀行が通常用いる「為替予約」という表現は、法律的には予約ではありません。受け渡しが将来であるだけの、売買そのものだというわけです。ということは、「予約」という表現で、実際には強制(もしくは強制と同じ経済効果)となる取引を勧誘した場合、ユーザー側は「予約完結権を行使しなければ取引が強制されることはない取引だと思っていた」という抗弁が成り立つのかもしれませんね。ちょっと屁理屈ですが。「だって、ホテル(や旅行)の『予約』って、簡単にキャンセルできるじゃない」っていうわけで…。

ちなみにですが、ホテルや飛行機の「予約」は、デリバティブ的にはオプションです。というのも、その取引を強制されたり、強制されたのと同じだけの経済的負担を強いられるわけではないからです。キャンセル料というのは、後払いのオプション料なんですね。これについてはまたいずれ。

デリバティブと「固定化」

たいていの場合、金利スワップに代表されるスワップ取引がなぜ成立するかについて、書物を繙けば、(一方当事者から見た将来の)受け取りと支払いの(現在)価値が等しいからと説明されます。一方、公刊されている裁判例に現れる事例を当時の市場実勢と比較してみると、とてもではありませんがこれは正しくない、つまり、ユーザーの側から見ると「受取側の現在価値」<<<「支払側の現在価値」となっています。

公刊されている裁判例では、たいていの場合、金融機関側は、ユーザーは相場を張っているわけではなく、一定の水準で(ドル買いの為替レート、金利といった本来であれば変動・不確実なものを)固定できていること自体がメリットなのであるという主張をなさるようです。固定できていることが重要なのだから、その水準は無関係なのだということですよね。

一方で、金融機関の方が著してらっしゃる書物には、両者の価値が等しいから交換ができると書いてあるわけで、両者を少なくとも比較できることは重要な要素ということになりますね。

2013年1月11日金曜日

緊急経済対策を読んで

批判だけならタコにもできるわけで、それはあまりよくないことだとはわかっているのですが、一読後の感想は『で?』ですかね。この段階では具体性はなく、今後各省庁が数字合わせに奔走することで形が見えるのでしょうけれど…。

書生臭くて申し訳ないのですが、今の私達に必要なのは名目GDPの成長であり、そこには夢とか将来に対する明るい展望というのが必要だと思います。そういう雰囲気が醸し出されるような経済対策とは、各論ではなく総論が重要で、それには足りなかったんですかね。

分かりかけているようにも見えるのですが、デフレは結果ではなくて原因であること、デフレは心理現象であること、あたりが反映された文を見たいものです。

ルー次期財務長官候補

「候補」という日本語は選挙で選ばれる側という語感があるような気がしますが、それはさておき、ルー氏については、その署名が面白いことが話題になってますね。確かに、誰の署名だか全くわかりませんが、花押に近いということなのかもしれません。

2013年1月10日木曜日

信託借入と銀行

たまたまニュースを見ていたら、フォルクス・ワーゲンの自動車金融会社が証券化をしていました。ストラクチャー的には、オリジネーターが債権を信託、優先・劣後にした上で優先部分を信託が借り入れることで償還します。この理由は、信託の優先・劣後構造も本当に裁判になったときに尊重されるかどうか分からない(劣後受益者が劣後するという100%の確信は持てない)からと思われ、信託債権者がいれば受益者よりも信託債権者が優先されることが明らかだからでしょう。

ま、ここまではまだ分かります。

さらに、この信託借入に伴う債権が、もういちど信託されます。こんどは優先・劣後化しないのですが、この第二信託はさらに信託借入をして、受益権の一部を償還します。この理由はなにかというと、投資家の中に、受益権を買える人と、なんらかの理由で受益権は買いたくないが信託向け融資だったらしてもいいという人の両方がいるからですね。受益権を買うのは「(有価証券)投資」だけれども、融資は融資だから、部署が別だとか、会計上の扱いを別にしているとかそういう理由なわけです。「アホくさ」と正直思いますが、所詮、ストラクチャード・ファイナンスなんてそんなものなのかもしれません。

ストラクチャー図はR&Iのリリースが一番詳しいのですが、ムーディーズS&Pも格付けは付与しています。ま、当然トリプルAですが…。

サブ・サービサーという名称で、ジャックスとセディナが入っていて、「サブ・サービサーって(この場合は)なにやるんだろう?」などとも思いましたが、これも、R&Iの絵を見れば分かります。

殿下

外務省的には「ケンブリッジ公殿下」となるのでしょうが、ウィリアム王子のお子さんたちはすべて『殿下』の称号がつくことになったそうです。

BISの流動性規制

流動性規制が当初より緩くなったことは歓迎すべきなのでしょうが、詳細を見るとあんまりメリットないかもという声もちらほら。
FT紙によれば、預金流出見積りを低くできる預金は預金保険のうち事前に保険料を徴収しているものだけで、英伊豪は対象にならないとか、流動性の高い資産とされるRMBSにはノンリコース型住宅ローンが含まれていてはダメで、米カリフォルニア州やテキサス州(アメリカでは担保物権法は州法)が除外されるため、米RMBSが対象にならないとか…。

BISの実際の文書もリンクしておきます。

クレジット投資とリスク

米国の著名なクレジット投資会社オークツリーの会長が「今の市場、ちょっとヤバいんじゃないの」という投資家向けメモを公開してます。本来であれば、金融危機によってリスクに対する姿勢が厳しくなっている現在、勇気ある投資家に とっては好機であるはずなのに、実際には絶対金利が低下し過ぎて、投資家が高いリスクをとってしまっているため、市場が既に非合理的な領域に入っているのではないかと。

すべての投資家が少なくとも心すべき点だとは思うものの、これを読んで納得できる人は既にプロであるという矛盾…。

VIX(いわゆる『恐怖指数』)

米国で株式のインプライド・ボラティリティが低下、5年ぶりの低水準になっています。株価が大きく変動しそうだと皆が思ってオプションの買い手が増えていることを示すのですが、一般的には、理屈はともかく、実際には株価が上がることを心配する人はいないので、株価が下がることを心配する人の恐怖指数として機能するわけです。

もっとも、為替のボラティリティ指数も下がっていますから、やはり、市場の変動そのものに対する見方が変わっているのでしょうけれど。

2013年1月9日水曜日

組合契約

通年データが一昨年のものなのですが、有限責任事業組合(日本版LLPですね)と投資事業有限責任組合(日本版LPです)の登記件数を調べていたら、前者のほうがぜんぜん多いんですね。投資ファンドとしては後者のほうが使いやすいわけですから、共同事業としてのLLPが多いっていうことなのでしょうか?

2013年1月8日火曜日

米債務上限問題について

アメリカの債務上限問題は、本質的に、極めて政治的なもののようです。というのも、債務上限というのは政府支出の上限を設けるものではなく、支払いをするために国債を発行する、その残高の上限を引き上げるものだからです。もっとも、日本でも、赤字国債を発行しなきゃいけないことが分かっていながら予算が通り、ところが赤字国債を発行するための法案が通らないかもしれないということが起きたわけですから、近いと言えば近いと言えるのかもしれません。いずれにせよ、共和党の中の急進派(茶会党ですな)が、これをタテに歳出削減(茶会党だけに増税はいやだから)を迫っているわけです。2月末まで大丈夫ちゃうの?という議論は、財務長官のこのお手紙(http://www.treasury.gov/connect/blog/Pages/Secretary-Geithner-Sends-Debt-Limit-Letter-to-Congress-12-26.aspx)に基づくものといっていいでしょう。

一方、債務上限問題は存在しないという考えかたもあります。合衆国憲法修正第14条(http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/GPO-CONAN-1992/pdf/GPO-CONAN-1992-10-15.pdf)(こう書くと、修正憲法というのがあって、そこに第何条、第何条…とあるようですが、各修正はそれぞれ歴史的な背景があるので、個人的には「第○次修正」というほうが語感としては正しいように思います)によると、連邦政府の債務は必ず履行されるという内容があるため、大統領はこの条文に依拠して、支払いを約束した金額のための国債発行は無尽蔵にできるというのです。

最近はやりなのは、合衆国法典第31編51章5112条(USC31§5112)(http://uscode.house.gov/download/pls/31C51.txt)で、 この(k)項によれば、財務長官は、プラチナ硬貨についてだけは、どんな単位のものも鋳造してもよいとあると読めます。適当なプラチナ硬貨を1兆ドル硬貨として鋳造してしまって、それをFEDに預金してしまえばいいではないかというのです(たとえばクルーグマン教授のブログ:http://krugman.blogs.nytimes.com/2013/01/07/be-ready-to-mint-that-coin/)。

下手すると、また格下げになっちゃいますから、早くなんとかすべきであって、プラチナ硬貨とか、あるいは修正14条を用いる形で、とりあえずさっさと終わらせるというのも手は手ですが、格付け会社てきには、やっぱり、適切なリーダーシップと、機能する議会っていうのが見たいんでしょうね。もっとも、ここでアメリカがダブルAになったとしても、トリプルAの価値がむしろ下がる(意味がないことにみんなが気付く)だけなのでしょうけれど。

そうなると、日本の格付会社が日本の格付をトリプルAのままにしておくことなんか、世界的には嗤いものですよね、なんとなく。

緊急経済対策

『緊急』経済対策と銘打たれても、緊急感を感じないのはなぜなのでしょう? 思うに、「日本経済再生本部」とか「産業競争力会議」とかいう表現を聞くと、この国にありがちな『おエラいさんの会議』が思い浮かんでしまって、緊張感とか緊迫感とは無縁に思えるからなのでしょう。20兆円という規模は、国家予算の規模100兆円からしたらそれなりにインパクトがあるのでょうけれど、会議をやるための会議、そのための数字っていう感じがしてしまうのです。

実態のない興奮や高揚感は困るのですが、所詮、経済は人間が動かすものですし、人間は将来に対する思惑で動くものですから、もっと私たち庶民の気分が高まるような政策が次々と出てくるといいですよね。所得倍増とか列島改造というのは、首相のお祖父さまや大叔父様の政策ではないから真似しづらいのかもしれませんが、ああいったワクワク感というのもあってもいいのでは、と思ったりもします。

今の若い人たちは白けているとか、価値観が多様化していて戦後すぐとは異なるという議論にも一理あるとは思うのですが、白けていたり価値観が異なっているものデフレのせいだっていうのは言い過ぎですかね?

過払い金訴訟(最三判H24.6.29・判タ1378号86頁)

類似同種の判決(最三判H23.3.22・集民236-225、最二判H23.7.8・集民237-159)も見てみたのですが、過払い債権を譲渡した場合、譲受人が過払い金の返還義務を必ずしも負うわけではなく、それは営業譲渡であっても変わらないということになるようですね。ま、個別の事情もあるんでしょうけれど。

譲り受ける側としては、それもさることながら、引き直し計算後の元本しか存在しないと言われるのが怖いわけで、H24判決では明示されてませんけれど、債権譲渡後の過払い金については認容されているわけで、ということは債権を買う側では引き直しを前提に買わなきゃいけないっていうきとなんでしょうね、やっぱり。

2013年1月7日月曜日

米ジャンク債利回り

米ジャンク債の利回りが6%を下回ったというのでそれなりに大騒ぎになっているようです。ジャンク債の定義とか本質的な意味(必ずしも、日本で直訳されている「屑」という意味ではない)は置いておくにしても、デフォルトの確率が高い分、見た目の利回りが高くなければ期待リターンが他の安全な債券に劣ってしまいますが、その利回りが下がっているということで「買われ過ぎ」という議論になりかけているわけです。

もちろん、実際には、デフォルトの確率(リスク)は利回りそのものではなくて利回り格差に現れますし、その意味ではCDS料率のほうが適切な指標ではあるのでしょうけれど。

ただ、クレジットに「割安・割高」はないという考えかたもあって、ま、正確に言うと「割安・割高」はあるのだろうけれど、割安なものを買っておけばよい、割高なものを買ってはいけないという発想をする人は、長期的にはクレジット投資には向いていないという流派があるのです。詳細は省きますが、要するに、世の中で必要とされるモノやサービスを提供している(=存在意義がある)会社で、かつ、フリー・キャッシュ・フロー(これにもいろいろな意味がありますが、ここでは単純に「営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを控除したものと考えましょう)を生んで借金を返済している会社は、そんな簡単には潰れないと考えるのです。その上で、投資適格でない銘柄の利回りはどっちにせよ高いのだから、割安とか割高とかを考えてもあまりしょうがなく、デフォルトを極小化できれば超過リターンが得られると考えるのです。

ちなみに、米国では、投資適格未満(投機的格付)の中では格付の高いダブルB格に投資資金が集中しているよう(http://ftalphaville.ft.com/2013/01/07/1322823/the-zombie-credit-mispricing/)で、所詮、なんだかんだ言っても、みな、格付依存なんですよね。

根保証の随伴性

昨年12月14日の最二判で、根保証の随伴性が肯定されているんですね。たまには最高裁のホームページをちゃんとチェックしなきゃいけないという話でした。

財政赤字

財政赤字(単年度)が問題なのはなぜか? 日本の場合、国債の大部分が国内で消化されているわけで、税金であろうと国債であろうと民間から国にお金が移動するのは同じですよね。外国に借金しているのでない限り、あんまり心配しなくてもいいようにも思います。

債務残高についても、同じことが言えます。借金を返済するには、資産を売却するか、返済しなくてもよい資金を調達するかどちらかしかないわけで、前者は、国民にとって別にプラスではないし、後者は増税です。これらを避けるには、借り換えを続けるしかありません。債務残高の問題は、元本という意味では、借り換えを続けられるかどうかということなのです。債務残高が多いと、借り換えなくてはならない金額が増え、そのときの資金供給者の思惑にデフォルト発生の如何が依存します。そこが問題なんですね。

もちろん、債務残高が多いと、利払いという固定費が増え、財政運営が硬直化します。それも問題です。ただ、国債の大部分が国内で保有されていると考えると、結局、利息を受け取っているのは日本人なので、国として問題
とは必ずしも言えないですよね。

2013年1月5日土曜日

確率と「ハイ・リスク、ハイ・リターン」

ジャンク債など、デフォルト・リスクの高い債券の利回りが高いことを捉えて「ハイ・リスク、ハイ・リターン」だと説明する輩がいます。少しでも金融理論をかじったことがある人ならば、デフォルト・リスクの分利回りが高いことは、ハイ・リスク、ハイ・リターンではないということにすぐ気付きます。

金融理論でいう「ハイ・リスク、ハイ・リターン」は『リターンの分布における標準偏差(や分散)』が大きい投資は『期待リターンも高くなければならない』と言い換えることができます。デフォルト・リスクの高い債券というのは、その分、元本の期待毀損額(デフォルトの確率×デフォルト時の元本毀損額)が大きいですから、利回りが高かったとしても、期待リターンは高くないのです。

同じことは仕組債でも言えて、仕組債の(見た目の)利率が高いことを「ハイ・リスク、ハイ・リターン」と説明するのは間違いです。仕組債の期待リターンは、業者が利益を上げていなくても、同じ発行者が発行する同じ年限の債券と同じでしかないため、ハイ・リターンではないのです。さらに、実際には、業者が(無リスクで、あるいは無リスクに近く)利益を上げているため、仕組債の実際の期待リターンは同じ発行者が発行する同じ年限の債券よりも低くなります。

さらに、金融理論的な意味でのリスクは、通常、仕組債のほうが大きくなります。ということは、金融理論的には仕組債は割りの合わない投資対象なわけです。もちろん、割に合わない行動というのは私たちは沢山していて、宝くじや競馬というのは、テラ銭の分、期待リターンは必ずマイナスですから合理的な人間がやるべきものではないのですが、業界でいう「合理的根拠適合性」でいう『合理的』というのはこの意味での経済合理性までは含んでいないわけです。

ま、いいんですけどね。

「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」

以下、金融庁のパブコメ回答(2007年7月31日)からの引用です:

『「速やか」との用語は、「直ちに」ほどではないものの「遅滞なく」よりも早い場合を指します。したが
って、顧客からの照会時に回答しなければならないものではありますが、遅くとも、2~3日程度以内には…』

つまり:

直ちに → すぐに
速やかに → 2~3日程度以内
遅滞なく → ??? 1週間以内???

なんでしょうね。

為替レートと中央銀行

新聞報道によると、首相は日銀に為替レートも責任を負わせるとかおっしゃっているみたいです。お気持ちは分かるのですが、ちょっと調子に乗り過ぎなのかなぁーという気もします。期待インフレ率の上昇や名目経済成長率の上昇(プラス転換?)で株価は上がっていますし、そうすると世の中も明るくなってきたように見えるのも確かなのですが、神通力というか、そんなものが自分にあると思ってらっしゃるように見えて、若干危険だなぁーと。リップサービスというか、とりあえずこれまではマーケットは反応していますが、経済政策は日銀の専管ではないですよね。財政政策の方も責任というか、ちゃんと理屈に合うことをやってくれないと、今からスケープゴートを作ろうとしているだけのように思ってしまうのですが。

それに、市場で決まる為替レートを誰かのせいにできるのであれば、国債利回りとか、物価連動国債のブレークイーブンインフレ率とか、日経平均とか、不動産価格とか、原油価格とか、すべて誰かのせいにできるわけで、さすがにそこまで非資本主義的な国ではないように思いますが。

2013年1月1日火曜日

丁寧な説明

 有志の方々の前で金融商品の仕組みについてお話をする機会があるのですが、その際、たとえば仕組み債で、元本が毀損する確率を構成する要素の一つである将来の価格の理論値であるとか、プロであれば必ず比較するであろう他の金融商品との違いであることについても触れるようにしています。そうすると「そこまで細かい説明をしたら、誰も買わないではないか」というコメントを頂戴することがよくあります。

 そこで思うのですが、細かい説明をしたら誰も買わなくなるようなものであるということは、裏を返すと、そのようなものを買う人というのは細かい説明を受けていないことはおろか、細かい説明に含まれる正確な状況を把握しないで購入を決めていることになりますよね。

 「説明したら売れない」というのは業界の側も感じていることのようで、そもそも、金融商品取引法のコンセプトは「ちゃんと説明したら売ってもよい」というものなので、当局もなかなかそこから踏み込めないようではあります。

 でも、今年はなんとかならないかしら…なんていうのが初夢ですかね。