ここもとの急激な円安の進展で、いわゆる為替デリバティブに取り組んでいる企業にも少なからぬ影響が出ているようです。取り組んだ時期によっては、レバレッジ条件やギャップ条件がはずれるものも出てきているようですし、なかにはノックアウトしてしまう(ユーザーにとって有利だったものが消滅してしまう)取引もあるようです。
ここで経営陣を悩ませているのが、デリバティブの時価評価です。中小企業の多くが、「中小企業の会計に関する指針」になんと書いてあろうが、税務上も会計上もデリバティブの時価評価などしていないわけですが、時価評価をしている会社は、これまで、本業と関係のないところで大きな損失を(会計上)出し、税金を減らす/欠損金を積み上げることをしてきたわけです。
ところが、急激に円安が進んだことによって、この状況が一変しています。なるほど、銀行が本当に積極的にセールスをしていたときの契約はまだ含み損の状況には変わらないでしょうが、時価評価のマイナス幅が急激に縮小しているわけです。マイナスの縮小=プラス、ですから、これは時価会計をしていれば今期の(ま、営業外なんでしょうけれど)収益になりますし、税務上は多額の益金となってきます。当然のことですが、評価益はキャッシュ・フローにはなんのポジティブな影響も与えないため、この分はキャッシュ・アウトしていくだけということになります。「これまで税金払ってないんだから、当然でしょ」ということではあるのですが、経営者としては心外ということになるでしょう。
もちろん、この状況を打開するには「税の繰り延べ効果」のある商品が必要ということで、そんなものがいくらでもあれば苦労しないですよね。そうして、また、その筋のプロの人が活躍することになるのでしょう。
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