2013年1月5日土曜日

確率と「ハイ・リスク、ハイ・リターン」

ジャンク債など、デフォルト・リスクの高い債券の利回りが高いことを捉えて「ハイ・リスク、ハイ・リターン」だと説明する輩がいます。少しでも金融理論をかじったことがある人ならば、デフォルト・リスクの分利回りが高いことは、ハイ・リスク、ハイ・リターンではないということにすぐ気付きます。

金融理論でいう「ハイ・リスク、ハイ・リターン」は『リターンの分布における標準偏差(や分散)』が大きい投資は『期待リターンも高くなければならない』と言い換えることができます。デフォルト・リスクの高い債券というのは、その分、元本の期待毀損額(デフォルトの確率×デフォルト時の元本毀損額)が大きいですから、利回りが高かったとしても、期待リターンは高くないのです。

同じことは仕組債でも言えて、仕組債の(見た目の)利率が高いことを「ハイ・リスク、ハイ・リターン」と説明するのは間違いです。仕組債の期待リターンは、業者が利益を上げていなくても、同じ発行者が発行する同じ年限の債券と同じでしかないため、ハイ・リターンではないのです。さらに、実際には、業者が(無リスクで、あるいは無リスクに近く)利益を上げているため、仕組債の実際の期待リターンは同じ発行者が発行する同じ年限の債券よりも低くなります。

さらに、金融理論的な意味でのリスクは、通常、仕組債のほうが大きくなります。ということは、金融理論的には仕組債は割りの合わない投資対象なわけです。もちろん、割に合わない行動というのは私たちは沢山していて、宝くじや競馬というのは、テラ銭の分、期待リターンは必ずマイナスですから合理的な人間がやるべきものではないのですが、業界でいう「合理的根拠適合性」でいう『合理的』というのはこの意味での経済合理性までは含んでいないわけです。

ま、いいんですけどね。

0 件のコメント:

コメントを投稿