FT紙のジリアン・テット氏のコラムで、「なぜウォークマンを聴かなくなったか」というのがありました。内容は、ソニーは成功しすぎて大きくなりすぎた結果、組織の成功よりも部署の成功を旨とするような人達が集まる部署が並立してしまったということで、ソニーを責めているというよりも、人間とか組織運営といったものの難しさについて触れているものです。
「今をときめく」という会社が、そのままエトスを継承できるのかという点がこのコラムのポイントなのですが、むしろ、「審査と営業」とか「個人向け(リテール)と法人向け(ホールセール)」といった、金融機関(特に一流でないところ)の組織論としても面白いなぁーと思って読みました。往々にして、審査の人達はノーというのが仕事ですが、ノーと言い続けても存在意義がなくなりますから、適度にイエスを言わなくてはいけません。そのとき、組織の目的(利益の極大化)が分かっていれば、審査基準は完璧ではないことを知りながらイエスというのでまだ害が少ないのですが、「自分・自部署がイエスと言った案件でコケるわけにはいかない」という凝り固まったことを考え始めると、結果としてロクなことがないことが多いのです。というのも、全知全能でない人が失敗を避けようとすると、たいてい、自分の見える範囲にだけ細かいこだわりをするわけですが、その場合、周囲(営業)がそこだけを一点突破しにいきます。その結果、凝り固まった人・審査部門の頭の中にある安全な案件が集まるわけですが、それは、全知全能でない人がやったことですから、特定のポイントに強い、逆に言うと、特定のポイントに弱いわけです。ま、世の中、そんな人・審査部門ばっかりらしいですけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿