2013年1月8日火曜日

米債務上限問題について

アメリカの債務上限問題は、本質的に、極めて政治的なもののようです。というのも、債務上限というのは政府支出の上限を設けるものではなく、支払いをするために国債を発行する、その残高の上限を引き上げるものだからです。もっとも、日本でも、赤字国債を発行しなきゃいけないことが分かっていながら予算が通り、ところが赤字国債を発行するための法案が通らないかもしれないということが起きたわけですから、近いと言えば近いと言えるのかもしれません。いずれにせよ、共和党の中の急進派(茶会党ですな)が、これをタテに歳出削減(茶会党だけに増税はいやだから)を迫っているわけです。2月末まで大丈夫ちゃうの?という議論は、財務長官のこのお手紙(http://www.treasury.gov/connect/blog/Pages/Secretary-Geithner-Sends-Debt-Limit-Letter-to-Congress-12-26.aspx)に基づくものといっていいでしょう。

一方、債務上限問題は存在しないという考えかたもあります。合衆国憲法修正第14条(http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/GPO-CONAN-1992/pdf/GPO-CONAN-1992-10-15.pdf)(こう書くと、修正憲法というのがあって、そこに第何条、第何条…とあるようですが、各修正はそれぞれ歴史的な背景があるので、個人的には「第○次修正」というほうが語感としては正しいように思います)によると、連邦政府の債務は必ず履行されるという内容があるため、大統領はこの条文に依拠して、支払いを約束した金額のための国債発行は無尽蔵にできるというのです。

最近はやりなのは、合衆国法典第31編51章5112条(USC31§5112)(http://uscode.house.gov/download/pls/31C51.txt)で、 この(k)項によれば、財務長官は、プラチナ硬貨についてだけは、どんな単位のものも鋳造してもよいとあると読めます。適当なプラチナ硬貨を1兆ドル硬貨として鋳造してしまって、それをFEDに預金してしまえばいいではないかというのです(たとえばクルーグマン教授のブログ:http://krugman.blogs.nytimes.com/2013/01/07/be-ready-to-mint-that-coin/)。

下手すると、また格下げになっちゃいますから、早くなんとかすべきであって、プラチナ硬貨とか、あるいは修正14条を用いる形で、とりあえずさっさと終わらせるというのも手は手ですが、格付け会社てきには、やっぱり、適切なリーダーシップと、機能する議会っていうのが見たいんでしょうね。もっとも、ここでアメリカがダブルAになったとしても、トリプルAの価値がむしろ下がる(意味がないことにみんなが気付く)だけなのでしょうけれど。

そうなると、日本の格付会社が日本の格付をトリプルAのままにしておくことなんか、世界的には嗤いものですよね、なんとなく。

0 件のコメント:

コメントを投稿