VIXは株価指数オプションから計算されるインプライド・ボラティリティです。インプライド・ボラティリティを「予想変動率」と訳すのは若干抵抗があるのですが、というのも、VIX(や日経VI)は所詮アット・ザ・マネーに近いオプションのインプライド・ボラティリティでしかなく、では、スマイルを考慮した他のインプライド・ボラティリティと値が異なることを「予想変動率」という表現からどう説明するんだ、と言いたくなりますけれど、それはさておき、インプライド・ボラティリティが上がると思う人はVIXの先物を買えばいいし、下がると思う人は売ればいいということになります。
で、インプライド・ボラティリティはどのようなときに上がるのかというと、一般的には、株価が下がるときに上がります。本来であれば、ボラティリティは「変動率」なのでしょうから、株価が大きく動くと思われるときには、株価が上がっても下がってもボラティリティは上がるはずなのですが、株価が上がることを「オプションを買う」ことでヘッジしたい人は多くない一方で、株価が下がることをヘッジしたい人は多い(このあたりは、教科書が予定していないマーケットの心理ですね)ので、このようなことが起きるわけです。ちなみに、為替の場合は、ドル円が上がると輸入業者が困るし、ドル円が下がると輸出業者が困るという中で、日本は輸出超基調だからリスク・リバーサルを見るとプット優勢、つまり、円高になるとボラティリティが上がる傾向があるわけです。
ところで、VIXがずっと低下を続けていて、これは、株価が上昇しているにもかかわらず(あるいは上昇しているから)、大幅な下落を予想する人が減っていることを示唆しています。ところが、こうなってくると、VIXのコール・オプションが相対的にすごく安くなっているという議論があります。ですから、VIXのコールって、ヘッジとして結構いいかも!というのがこのWSJ紙のブログであって、実際、VIXのコールはクレジット投資(特にレバレッジド・ローンなど非投資適格企業向けクレジット投資)のヘッジとして結構いいじゃんという話は昔からあるのです。
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