2013年3月20日水曜日

マチュリティのミスマッチ

金融危機に際して表面化した「錬金術」は、証券化だけではなく、SIVと呼ばれるものもそうでした。格付けが高くて期間の長い債券を購入し、それに対して、期間の短いCPやMTNを発行、短期と長期の利鞘を出資者に還元するという取引を背景にしたものでした。広い意味では「資産担保」型のビークルですし、また、保有していた資産の多くが、格付けが高く、格付けの割には利回りが高い証券、つまりは(サブ・プライムを含めた)証券化ものが多かったため、誰もSIVの発行する証券を買わなくなり、SIVは借金返済のために保有している証券を売却せざるを得なくなり、それによって他のSIVが保有していた証券の価格が下がり、それを見てSIVの資金調達がますます難しくなり…というスパイラルが起きたわけです。

ところで、今、アメリカではジャンク債(格好よく言えば「ハイ・イールド債」→日本の投信会社がよくつかう表現で、結構ダマしに近いと思いませんか?)の利回りが急低下していて、これは、絶対利回り(米国債利回り)があまりにも低くて、利回りとるためにはクレジット・リスクを追っかけるしかなくなっていることが背景にあるわけですが、買い手は保険会社や年金などの中長期資金ではなく、投資信託なんじゃないの?という話がFT紙のジリアン・テット氏のコラムに出ています。考えてみればそのとおりで、日本の(オープン・エンド型)投信同様、アメリカも一般的なミューチュアル・ファンドはいつでも純資産価額で解約できますから、その意味では脚の速いお金です。だからちょっと心配じゃん!というのがテット氏の言っていることで、それは確かにそうなんだろうなと思います。彼女自身、「そうなる(暴落する)と言っているわけではなくて、そういうことも気にはすべきだけ」と書いてます。

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