デフレというのは、功なり名を遂げた人にとっては、望ましい現象です。安定した収入がある人にとっては、物価は上がらないほうがいいし、貯蓄があればデフレの進展によって購買力は増える一方です。予見性というのも保守的になりがちなこの手の人達には快適です。
一方、デフレは発展とか明るい未来とは一般的には併存しないので、これからの世代、あるいは苦しい生活をしている人達には苦痛でしかありません。名目賃金が下がることで意欲が削がれ、社会全体の生産性も下がります。
安倍政権の経済政策に対する評価は、細かな技術論を別にすると、結局のところ、安定した収入を得ていて将来が明るくなくてもいい人達には味方するのか、次代を担う人達の活力を換気したいのかの差と考えればいいでしょう。過去20年間ははからずもデフレによって社会がどうなるかを実地に観察する機会になりましたが、あまりいい経験ではなかったように思います。
今日の日経の経済教室を見て、デフレは錯覚であって問題視する必要はそもそもなかったという評価は、日銀の政策の技術論の当否以上に驚きました。
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