2013年4月29日月曜日

国際商品価格と為替レート

 金融の世界では、ヘッジのためにデリバティブを用いることができるのはいわば常識です。特に、テキストに出てくるような大企業が相手で、相手が自らの財務ニーズを的確に把握している場合には、先方の悩みにデリバティブをぶつけてあげればいいわけです。

 また、「掘り起し」というのが営業上は大切になるわけですが、そこで効いてくるのは「要素」のヘッジです。たとえば、金価格というのは国際的にはドル建てで表示されますが、報道のとおり、円安によって円建のゴールド価格が上昇することはありますから、為替レートの影響も受けているわけです。

 国際価格が存在するものとしては、その他、たとえば天然ガスとかがあります。ここもとの円安でガソリンの価格が上昇していることになっているのは報道のとおりであって、天然ガスも同様に国際商品ですから、円安になれば日本の需要者にとっては価格が上昇する、なのでヘッジが必要であるというのは、金融側の人間からすると常識なわけです。

 ところが、実勢は必ずしもそうではありません。たとえば、日本に輸入されてくる天然ガスの価格というのは財務省貿易統計で容易に把握できる(把握は簡単ですが、データは月ごとに大量のものが出ているので、集計は大変です)のですが、ちょっと用事があって、ある5年間の通関価格(CIFベース)を日銀が発表している為替レートの月中平均と比較してみると(エクセルのLINEST関数ですね)、なんと、逆相関していることがわかりました。R2検定的にはそれほど強くないため、ほとんど相関していないという評価もできる(つまり、たとえば別の5年間を採ってみると全然違う傾きや切片が出てくる可能性が高い)のですが、それでも逆相関というのは驚きでした。

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