2013年4月20日土曜日

インパクトとしての格付け

 格付け屋さんの存在意義は、投資家がその格付けに意味があると思うか否かにあるわけですが、その意味では、独英米仏の格付けというのは結果としてあまり意味がないというか、確かに、将来的な不安が払拭できないという気持ちは分からなくはないものの、仮にこのあたりの国がトリプルAでないのだとすると、トリプルAでないことにどのような意味があるのかという問題を突き付けます。私自身は、米国と真剣に戦争をして勝てる国がないという意味で究極的には米国の信用度に疑問を持ってもしょうがないと思っていて、その範囲での頭の体操にどこまで意味があるのかとは思っています。

 一方、格付けというのもビジネスである以上、存在意義をアピールする必要があります。「安全だ」という評価をしていても存在意義のアピールにならないのはその意味では明らかであって、少しひねった見かたを表明しないと「お、なかなかヤルね」と思われないわけで、日本の格付けとかはさすがにちょっとヤバいという見かたは多いですからすでにそのカテゴリーを外れていますが、独英米仏あたりにはまだそのあたりのノベルティ・バリューというのは残っているということなのでしょう。その意味では、S&Pが米国を格下げしたみたいに、多くの人から疑義を呈されようと話題になること自体にも意味があると言えます。

 話題にされることが重要なのは、どの格付け屋さんも同じですが、S&Pとムーディーズはそうはいっても寡占状態にあるわけで、となると他の格付け屋さんということになります。特に、「大手3社」という括りかたをかろうじてされるフィッチの場合はなおさらです。最近、ムーディーズと意見が異なるという意味で話題になったクロールとかDBRSとかモーニング・スターとかもありますが、とりあえずフィッチが頭一つ抜けてはいるわけで。

 フィッチが金曜日にイギリスを格下げしていますが、このタイミングはなんなんですかね。サッチャー元首相が亡くなったタイミングと合わせたわけでもないのでしょうに。ま、サッチャー元首相については賛否両論がいまだにあるほどあの国の方向を変えた人だという評価であり、その意味では偉大な政治家だったのでしょうから、ふと思い出したっていうことなんですかね。

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