2013年4月5日金曜日

一括借り上げ方式とRMBSの格付け

世の中では、アパート・ローンや投資用マンション取得用ローンの証券化の案件が多くあって、証券化分析上の重要な要素であるべきではないものの、少なくともローンを借りる側が物件取得やローン借入をする上での重要な意思決定要素になったのは、デベロッパーによる「(一括)借り上げ」のはずです。新聞でもハウスメーカー(と言いつつ、儲けの源泉は土地持ちにアパート建てさせることなのですが、それはさておき)が一括借り上げによるアパート経営を盛んに持ちかけますが、土地すら持っていない人に投資用マンション買わせようというときに一番効くのが、この借り上げなわけです。「ローン借りても、返済分は賃料(保証)で賄えますよ」というわけですね。

ところが、実際には(一括)借り上げの賃料保証の多くは「近隣賃料の90%保証」「数年後見直し」となっているわけで、そんなもの保証じゃないと言いたくなることが多いというのが実情のようです。ということは、たとえば三重県の液晶パネル工場があった場所のように、企業業績悪化→人減らし→雇用減少→借家需要減少、といった場所では、下手するとローン返済できない賃料しかもらえなかったりするわけです。デベロッパーの側は「嫌だったら、自分で不動産屋と契約して、テナント探せば!」とケツをまくる気でいますが、大家さんの多くは楽なカネ儲けだと思っていて自分で不動産経営をしているつもりなど実はないわけで、結構大変なわけです。

という背景を知っていると、S&Pが今年度の日本の証券化市場について書いているレポートで、RMBSではアパート・ローンと投資用マンション取得用ローンを裏付けとするものでは借り上げ賃料引き下げのリスクがあって、その場合には格付けに影響するかも、と言っていることも、妙に納得できたりします。

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