有名な財政赤字論文に計算間違いがあったからといって、その中心となるテーマが間違っているわけではないというのは当然のことであって、たとえば私自身は少なくともヨーロッパについては緊縮財政は間違っていると思いますし、日本はまだ緊縮財政にすべきではないと思っていますが、クラウディング・アウトを含め、財政赤字が多すぎるのは問題だということそのものには納得します。
WSJ誌にも同じような意味の意見が出ていて、結局、赤字そのものが問題なのではなく、赤字でなにをファイナンス(あるいは投資)しているかが重要だという話です。まさにそのとおりだと思います。財政赤字によって成長が買えるのであれば安いし、同意見によれば、日本やドイツを戦争でやっつけるのは投資としては正解であったということですが、社会保障費に回るのはいかがなものかと。
おそらく問題は2つあって、まず、社会保障費は、そうでないかぎり収入がゼロの人に向かうのであれば、そのほとんどが商品に回されるため、必ずしもムダなおカネの使いかたではないはずです。公務員の給料も同じことです。限界的な効果がどのくらいあるのかを計測するのはなかなか難しいですが。また、限界効用が逓減するのはどのような場合でも同じであって、仮に、当初は財政赤字のいわば成長ファイナンス効果はそれなりにあるのかもしれませんが、だんだん、「財政赤字」慣れを社会がしていくので、同じ10兆円の財政赤字の効果は減っていくのでしょう。
ただ、私自身は、外国から借りない限りは、国債=エクイティ説を採っているので、あまり心配しないことにしようと思っていますけれど。
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